量子コンピューター実用化へ前進「量子ビット」の開発に成功

次世代のコンピューター「量子コンピューター」をめぐり実用化に必須とされている誤作動による計算ミスを、光のパルスを特殊な状態にすることで修正する機能を持たせた「量子ビット」の開発に成功したと東京大学などが発表しました。光を使った量子コンピューターの実用化に向けて大きく前進する成果だとしています。

桁違いの計算能力の高さを持ち、次世代のコンピューターとして期待されている量子コンピューターは、周辺環境などからのノイズに弱く誤作動が起きるため、計算の途中でミスを修正していく「誤り訂正」の機能を持たせることが、実用化には必須の課題の一つとされています。

光を使った量子コンピューターの研究を進めている東京大学の古澤明教授などの研究チームは、光のパルスを特殊な状態にすることで、計算を担っている「量子ビット」に「誤り訂正」を行う機能を持たせることに成功したとして、アメリカの科学雑誌に論文を発表しました。

この「量子ビット」の「誤り訂正」機能をさらに改良できれば、ほかの方式の量子コンピューターよりも、はるかに効率的に計算ミスを減らすことができ、将来的に光を使った量子コンピューターを実用化レベルまで引き上げることが期待できるということです。

研究チームの古澤教授は「全く新しい方法を実証したパラダイムシフトであり、光の量子コンピューター開発における節目だ」と話しています。