拒食症 “症状の重さ関係する脳の部位をつきとめた” 発表注目

太ることをおそれ、食事を極端に制限してしまういわゆる拒食症について、国立精神・神経医療研究センターなどのグループが多くの患者の脳の画像を詳しく調べたところ、症状の重さに関係する脳の部位をつきとめたと発表し、拒食症をより正確に診断する技術につながるとして注目を集めています。

この研究は国立精神・神経医療研究センターの関口敦室長などのグループが行いました。

グループでは国内の5つの医療機関で「神経性やせ症」、いわゆる拒食症と診断された女性103人の脳のMRIの画像を詳しく分析し、健康な女性の脳の状態と比較しました。

その結果、拒食症の患者では症状が重くなるほど、脳の「腹側前頭前野」と「後部島皮質」という2つの部位の体積が増加していることが分かったということです。

2つの部位はそれぞれ感情や食欲を抑制したり、吐き気などの感覚を処理したりする際に働く場所だということです。

拒食症は初期では患者自身が気づかないことも多く、正常な「やせたい」という願望との区別が難しいということで、グループではより正確に診断する技術への活用が期待できるとしています。

関口室長は「拒食症は精神疾患の中で突出して死亡率が高い。客観的な検査で診断できるようにして、治療体制を充実させたい」と話していました。