輪島の土砂災害現場 「流れ盤」が地震の揺れで崩壊か

能登半島地震で複数の住宅が巻き込まれた石川県の輪島市市ノ瀬町の土砂災害の現場を専門家が調査した結果、地震の揺れで崩壊しやすい斜面と平行に地層が重なる地形だったことが分かりました。専門家は「地震では崖崩れだけでなく、規模の大きな土砂災害に注意が必要だ」と呼びかけています。

土木研究所の杉本宏之上席研究員のグループは大規模な土砂災害で複数の住宅が巻き込まれた輪島市市ノ瀬町の現場を1月11日に訪れ、現地調査の結果とヘリコプターで撮影した写真から崩壊のメカニズムを詳しく調べました。

それによりますと、現場では山の斜面が尾根から崩れて地すべりが発生し、大量の土砂が流れ下りながら2つの方向に分かれて移動していました。

このうち、片方は川を塞いでせき止める河道閉塞を起こし、もう一方はさらに下流に進んで集落へ到達し、住宅を巻き込んでいました。

流れ下った距離はおよそ1キロに及んだということです。

また、現場は斜面と平行に地層が重なり崩壊しやすい「流れ盤(ながればん)」と呼ばれる構造だったことも分かりました。

このため、比較的緩やかな傾斜の尾根でも、地震の揺れで大規模な地滑りが発生し、土砂が流れ下ったとみられるということです。

調査した土木研究所土砂管理研究グループの杉本宏之上席研究員は「地震で尾根の斜面が大きく揺さぶられた可能性がある。強い揺れを伴う地震では大規模な土砂災害が起きるおそれがあり、土砂災害警戒区域に指定されていない場所でも発生する可能性があることも知ってほしい。地震が起きたときには斜面から離れるなど、少しでもリスクが低くなる行動を取ってほしい」と話しています。