損保ジャパン親会社 経営陣刷新を発表 ビッグモーター問題で

ビッグモーターによる保険金の不正請求問題で、金融庁から業務改善命令を受けた損害保険大手のSOMPOホールディングスは、経営トップを務める櫻田謙悟グループCEOが責任をとってことし3月末で退任するなど、経営陣の刷新を発表しました。

この問題で、金融庁は25日損害保険ジャパンとともに親会社のSOMPOホールディングスに対しても業務改善命令を出し、管理体制に問題があったなどと厳しく指摘しました。

これを受けて、SOMPOホールディングスは26日、記者会見を開き、櫻田グループCEOがことし3月末で退任し、兼務する会長職や子会社の取締役を含めてすべての役職から退くと発表しました。

会見で櫻田グループCEOは「皆様からの信頼を失うような事態を引き起こしたことは痛恨の極みであり反省している。本当に申し訳ありませんでした」と陳謝しました。

その上で「親会社も主体的な指導や監督が十分でなかった責任がある。グループの将来にとって大きな汚点を残した可能性があることを考えれば、グループの最高経営責任者である私が責任なしということはありえない」と述べ、親会社や自身の責任を認めました。

櫻田氏は13年余りにわたり経営トップとしてグループを率いたほか、去年4月までの4年間は経済同友会の代表幹事を務めていました。

後任のCEOには、奥村幹夫グループCOOが昇格します。

また、去年9月に一連の問題の責任をとって辞任を表明していた損害保険ジャパンの白川儀一社長が今月末に退任し、後任に石川耕治副社長が昇格する人事も発表しました。

顧客よりも利益を優先させる企業文化に批判が集まった今回の問題は、親会社と子会社の経営トップを刷新する事態に発展しました。

「親会社にも責任」

櫻田CEOは行政処分を受けた一連の問題の原因について「損害保険制度の社会的使命に対する自覚が乏しかった。自社の都合で代理店の対応に重きを置くあまり真の顧客利益を重視しておらず、リスク認識や対応の前提としての想像力が乏しかった。内部統制システムにも不備があり、機能不全に陥っていたなどとさまざまあげられている」と述べました。

その上で「親会社も主体的な指導や監督が十分でなかった責任がある」と述べ、親会社としてのSOMPOホールディングスの責任を認めました。

「私が責任なしということはありえない」

自身の責任については「グループの将来にとって大きな汚点を残した可能性があることを考えれば、グループの最高経営責任者である私が責任なしということはありえない」と述べました。

「再出発を逃してしまうかもしれないと考えた」

26日に辞任を発表した理由については「このタイミングを逃しては、会社の第2創業、パーパス実現のための再出発を逃してしまうかもしれないと考えた。この場でグループCEOおよび会長職を辞することをみなさんに申し上げる」と述べました。

その上で「私は取締役、執行役、会長、また顧問や相談役いずれにもつかない。グループの監督、執行に関与することはない」と述べ、グループの主要な役職から離れることを強調しました。

櫻田謙悟グループCEОとは

櫻田謙悟グループCEОは、1978年に「損害保険ジャパン」の前身の「安田火災海上保険」に入社しました。

その後「損害保険ジャパン」の金融法人部長などを歴任したあと、2010年に社長に就任しました。

2012年には親会社の「SOMPOホールディングス」の前身の会社の社長に就任、2015年からはグループCEO=最高経営責任者に就き、13年余りにわたり、グループを率いてきました。

また、2019年には、経済同友会のトップにあたる代表幹事に保険業界から初めて就任して4年間務め、経済界でも知られた存在でした。

今回の問題をめぐっては、去年9月の記者会見で、子会社の損害保険ジャパンがおととし7月にビッグモーターとの取り引きの再開を判断する際、事前に報告を受けていなかったと説明した上で、「少なくとも現時点で私の辞任の可能性はゼロである」と述べていました。