米アカデミー賞「君たちはどう生きるか」などノミネート

アメリカ映画界で最高の栄誉とされるアカデミー賞の各賞の候補が発表され、原爆の開発を指揮した学者を題材にした「オッペンハイマー」が作品賞など最多の13部門に選ばれたほか、日本の関連では3つの作品がノミネートされました。

ことしで96回を迎えるアカデミー賞は23日、ロサンゼルスで各賞の候補が発表され、日本の関連では3つの作品がノミネートされました。

長編アニメーション賞に宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」、視覚効果賞に山崎貴監督の「ゴジラー1.0」がそれぞれ候補として選ばれたほか、国際長編映画賞にはドイツのヴィム・ヴェンダース監督が東京・渋谷の公共トイレを舞台に撮影した映画「『PERFECT DAYS』」がノミネートされました。

また、メーキャップ・ヘアスタイリング賞に「マエストロ:その音楽と愛と」で特殊メイクを担当した京都市出身のカズ・ヒロさんがノミネートされました。

ことしのアカデミー賞のノミネート作品では、日本に投下された原爆の開発を指揮した学者を題材にした「オッペンハイマー」が作品賞や監督賞など最多の13部門で候補に選ばれました。

アカデミー賞の発表と授賞式は3月10日にロサンゼルスで行われます。

ノミネート作品「君たちはどう生きるか」

「君たちはどう生きるか」はスタジオジブリの宮崎駿監督の10年ぶりの長編映画です。

タイトルは宮崎監督が子どものころに読んで感動したという児童文学者の吉野源三郎の作品からとったということですが、ストーリーは全く異なります。

太平洋戦争が始まった日本を舞台に、火事で母親を失い、父とともに疎開した少年が青サギと人間の姿を行き来するサギ男に導かれて不思議な世界に迷い込む宮崎監督のオリジナルストーリーで、去年7月の公開時には映画の内容に関する情報を事前に明らかにしない異例の対応が取られ、話題となりました。

宮崎監督は東京都出身の83歳。

アニメーション作家の巨匠として世界的に知られ、「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」、「もののけ姫」など数々のヒット作を発表し、2001年の「千と千尋の神隠し」はアメリカのアカデミー賞の長編アニメーション映画賞を受賞しました。

宮崎監督は2013年の「風立ちぬ」の公開後、一度は長編アニメからの引退を表明しましたが、その後、引退を撤回し、原作と脚本も担当しておよそ7年の制作期間をかけて今回の作品を作り上げました。

「君たちはどう生きるか」は今月発表されたアメリカでアカデミー賞の前哨戦とされるゴールデングローブ賞で、日本の作品として初めてアニメ映画賞にも選ばれています。

鈴木敏夫さん「2度目のオスカーがもらえたら」

「君たちはどう生きるか」はスタジオジブリの宮崎駿監督の作品としては「千と千尋の神隠し」、「ハウルの動く城」、「風立ちぬ」に続き、4回目のアカデミー賞のノミネートとなりました。

鈴木敏夫プロデューサーは「『千と千尋の神隠し』に引き続き、2度目のオスカーがもらえたら、本当にうれしいです。3月の発表を心待ちにします」というコメントを発表しました。

ノミネート作品「ゴジラ-1.0」

「ゴジラ-1.0」は1954年のシリーズ第1作の公開から70周年を迎えるのを前に去年11月に公開されました。

実写のゴジラ映画としては30作品目で、今回は戦後の日本が舞台です。突如、出現し、復興途中の街を容赦なく破壊していく巨大怪獣のゴジラや、ゴジラに立ち向かっていく人々の姿が迫力ある映像で描かれています。

「ALWAYS 三丁目の夕日」などのヒット作で知られ、CGによる高度な映像表現が特徴の山崎貴監督が脚本をはじめ、「ビジュアルエフェクツ」=VFXも担当しました。

主演は神木隆之介さん、ヒロインは浜辺美波さんが務めています。

作品は国内で興行収入が50億円を超えるヒットとなっているほか、アメリカの興行収入が邦画の実写作品として歴代1位となるなど、海外でも人気を集めています。

山崎監督「新しい扉が開いた感じ」

東宝によりますと、アカデミー賞の「視覚効果賞」に日本映画がノミネートされるのは今回の「ゴジラ-1.0」が初めてで、これまでにアジア映画が受賞した実績はないということです。

山崎貴監督は「まさかオスカーに絡むことができるとは想像してなかったです。ゴジラを作った時も全然想像してなかったので、凄くうれしいです。新しい扉が開いた感じです」とコメントしています。

ノミネート作品「PERFECT DAYS」

「PERFECT DAYS」は、「パリ、テキサス」や「ベルリン・天使の詩」など、これまでに数々の作品を手がけてきた世界的な映画監督、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督の作品です。

東京・渋谷区の公共トイレを舞台に、トイレの清掃員とその周囲の人々の日常が丁寧に描かれ、主演を役所広司さんが務めています。

去年5月、この作品で役所さんは世界3大映画祭の1つ、フランスのカンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞し、日本人の俳優が最優秀男優賞を受賞するのは19年ぶり2人目ということで注目されました。

ヴェンダース監督は去年、生誕120年を迎えた日本映画の巨匠、小津安二郎監督のファンだと公言しています。

今回のノミネートにあたり、ヴェンダース監督は「私の偉大な映画界の師、小津安二郎の祖国である日本の代表としてアカデミー賞に参加できることを大変光栄に思います。『PERFECT DAYS』は彼の魂に導かれた作品です。この作品がノミネートされたことは、私にとってこの上ない喜びです」とコメントしています。