米大統領選 共和党候補者選び ニューハンプシャー州で予備選挙

秋のアメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びの第2戦、東部ニューハンプシャー州の予備選挙の投票が日本時間の23日夜始まります。トランプ前大統領と争うヘイリー元国連大使がここで勢いを示し、選挙戦に踏みとどまれるのかが焦点です。

11月のアメリカ大統領選挙に向けた共和党の候補者選びの第2戦、ニューハンプシャー州の予備選挙は一部を除いて23日朝、日本時間の23日午後8時に投票が始まります。

選挙戦は、トランプ前大統領が「岩盤支持層」とも呼ばれる熱烈な支持者の後押しを得て優位に進めるなか、全米を対象にした世論調査で3位につけていたフロリダ州のデサンティス知事が21日になって撤退を表明し、すでにトランプ氏とヘイリー元国連大使の2人が争う構図となっています。

政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、ニューハンプシャー州で行われた世論調査の平均は、今月21日時点で▽トランプ氏が52.5%、▽これをヘイリー氏が37.5%で追う展開となっています。

トランプ氏は初戦のアイオワ州でほかの候補者に大差をつけて勝利しています。

ヘイリー氏が、ここで勝利するか、トランプ氏に迫る結果を出せなければ選挙戦を続けることが難しくなり、トランプ氏が事実上、党の候補者指名を確実にするとの見方も出ています。

このため、ヘイリー氏がここで勢いを示し、選挙戦に踏みとどまれるのかが焦点です。

ニューハンプシャー州の予備選挙は、日本時間の24日午前、投票が締め切られ、開票が始まる予定です。

ヘイリー氏とは

ニッキー・ヘイリー氏は南部サウスカロライナ州出身で52歳。

インドからの移民2世で州議会議員を経て、2010年のサウスカロライナ州知事選挙で当選し、保守派が強いといわれるサウスカロライナ州で女性初の知事に就任しました。

その後、2017年から2年近く、トランプ政権で国連大使を務め、当時のトランプ大統領を代弁する形で、アメリカ第一主義の立場を強く主張しました。

多くの閣僚や高官がトランプ氏と衝突したり更迭されたりして政権を離れる中、国連大使を離任する際にもトランプ氏との良好な関係を維持した数少ない人物とされています。

2016年には、アメリカの雑誌「タイム」の「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれました。

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルが去年11月末から12月初めにかけて全米の有権者を対象に行った世論調査で「もし、11月の大統領選挙がきょう行われ、共和党の候補者がヘイリー氏で、民主党がバイデン大統領だった場合、どちらに投票するか」と尋ねたところ、ヘイリー氏が51%で、バイデン大統領の34%を17ポイント上回りました。

このときの世論調査では「もし、11月の大統領選挙がきょう行われ、共和党の候補者がトランプ氏で、民主党がバイデン大統領だった場合、どちらに投票するか」という質問ではトランプ氏が47%、バイデン大統領が43%でその差は4ポイントでした。

世論調査の支持率は

政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のまとめによりますと、今月19日時点の各種世論調査の平均では、野党・共和党の候補者選びで▽トランプ前大統領を支持するとした人は66.1%、▽ヘイリー元国連大使は11.5%と、トランプ氏がヘイリー氏に対して55ポイント近くの大きな差をつけています。

今月15日に行われたアイオワ州の党員集会後には起業家のラマスワミ氏に続いて、全米を対象にした世論調査で3位につけていたフロリダ州のデサンティス知事が撤退し、それぞれトランプ氏の支持にまわると表明しました。

一方、ニューハンプシャー州に限ってみてみますと、世論調査の支持率は今月21日時点でトランプ氏が52.5%、ヘイリー氏は37.5%とその差は15ポイントとなっていて、今回の予備選挙でヘイリー氏がトランプ氏を追い上げることができるか注目されています。

ニューハンプシャー州の共和党予備選挙とは

東部ニューハンプシャー州はカナダと国境を接し、人口はおよそ140万で、9割を白人が占めます。

今回、共和党の候補者選びでは代議員の総数は2429人で、大統領候補の指名獲得に必要な過半数は1215人です。

このうち、ニューハンプシャー州には代議員22人が割りふられています。

野党・共和党の候補者選びでは初戦のアイオワ州の党員集会に続いて行われる2戦目で、初戦で出遅れた候補にとっては復活をかけた、序盤の大きなヤマ場となるため、メディアの注目度も極めて高くなっています。

ニューハンプシャー州では、1984年から前回2020年までの10回の共和党の予備選挙で勝利した候補のうち、延べ8人が共和党の大統領候補としての指名を獲得しています。

このうち、2016年には、トランプ氏はアイオワ州の党員集会でテッド・クルーズ氏に敗れましたが、ニューハンプシャー州で勝利して弾みをつけて共和党の大統領候補の指名を勝ち取り、大統領選挙を制しました。