【詳細】ガザ地区 死者2万5000人超に 「1万人以上が子ども」

イスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が続くガザ地区の保健当局は21日、これまでに確認された死者が2万5000人を超えたと発表しました。
市民の犠牲が増える中でもイスラエル側は強硬な姿勢を崩しておらず、緊張が中東各地に広がっています。

国際NGO「死者のうち1万人以上が子ども」

ハマスの壊滅を目指すイスラエル軍は、21日もガザ地区南部のハンユニスなどで空爆や地上部隊による攻撃を続けています。

ガザ地区の保健当局は21日、過去24時間で178人が死亡し、これまでに確認された死者が2万5105人に上ったと発表しました。

国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は、保健当局が発表したデータに基づけば死者のうちの1万人以上が子どもだとしています。

ネタニヤフ首相 パレスチナ国家樹立 認めない考え改めて示す

市民の犠牲が増え続ける中、アメリカやアラブ諸国はイスラエルとパレスチナという2つの国家が共存する形での和平の実現を目指すべきだとしています。

しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は、20日、SNS上に「私はイスラエルの安全を守ることに妥協しない。これはパレスチナの主権の要求と相いれない」と投稿し、パレスチナ国家の樹立を認めない考えを改めて示しました。

こうしたネタニヤフ首相の強硬姿勢に対しては、国内から反発の声も上がっていて、20日もテルアビブ中心部に数千人が集まり、政権の退陣と選挙の実施を求める声を上げていました。

また、イランの支援を受けるレバノンのシーア派組織ヒズボラとイスラエルとの攻撃の応酬も続いていて、ガザ地区での戦闘が収束の兆しを見せない中、中東各地に緊張が広がっています。

イスラエル軍は、20日もガザ地区の広い範囲で空爆と地上作戦を続けていて、南部ハンユニスなどでハマスの戦闘員を殺害したほか、北部ガザ市の近郊でロケット弾や発射装置を発見し、破壊したと発表しました。

またハンユニスなどでは、拘束されていると見られる人質の顔写真が入ったビラを上空からまき、情報提供を呼びかけました。

ガザ地区での戦闘が長期化する中、イスラエルと、ハマスを支援するイランとの緊張が高まっています。

イランの国営通信によりますと、軍事精鋭部隊の革命防衛隊が20日、声明を出し、シリアの首都ダマスカスに派遣していた軍事顧問5人が、イスラエル軍の攻撃で殺害されたとしました。

イラン外務省は「イランには適切なときに適切な場所で対応する権利がある」として、報復の可能性を示唆しました。

これに対してイスラエルはこれまでのところ反応していませんが、ネタニヤフ首相は18日の会見で「われわれはイランを直接攻撃している」と述べるなど、イランとの対決姿勢を鮮明にしていて、攻撃の応酬がエスカレートすることが懸念されます。

イラン大統領 イスラエルを強く非難

イランの軍事顧問5人が殺害されたことを受けて、ライシ大統領は20日、声明を出し「イスラエルはシリアに対する明らかな領空侵犯を伴うテロ行為によってイランの軍事顧問を殺害した。この卑劣な暗殺を非難する」として、強く非難しました。

その上で「このような犯罪行為の繰り返しは、報いを受けずにはすまされない」として、報復を警告しました。

アメリカ軍駐留のイラク基地 ロケット弾攻撃受ける

アメリカ軍によりますと、20日にアメリカ軍が駐留するイラクの空軍基地がロケット弾などによる攻撃を受けたということです。

イランの支援を受けるイラク国内の民兵組織によるものだとしていて、イラクの治安部隊の1人がけがをしたとしています。

この攻撃について、民兵組織は20日、ガザ地区での虐殺などに対する報復措置だとする声明を出しました。

ガザ地区での戦闘がきっかけとなり、中東地域で緊張が広がる懸念が出ています。

イスラエル軍 “ハマスの人質拘束場所” 地下トンネルの映像公開

イスラエル軍は21日、南部ハンユニスでイスラム組織ハマスが人質を拘束していた場所とする地下トンネルの映像を公開しました。

イスラエル軍によりますと、トンネルはハマスがハンユニスの地下に張り巡らしたネットワークの一部で、入り口はハンユニスの中心部にあるハマスの戦闘員の住宅にあったということです。

人質を拘束していた場所だとする部屋などは深さ20メートルほどのところで見つかり、収容していたと見られる空間や鉄格子がついた5つの部屋があったとしています。

イスラエル軍はその後、このトンネルを破壊したと説明しています。

パレスチナとの「2国家共存」を否定 イスラエルが声明

イスラエル首相府は20日、前の日に行われたネタニヤフ首相とアメリカのバイデン大統領の電話会談に関する声明を発表し「昨夜のバイデン大統領との会話の中で、ネタニヤフ首相は長年にわたる一貫した立場を繰り返した。それはイスラム組織ハマスを壊滅させたあとも、ガザ地区がイスラエルにとって2度と脅威とならないよう、イスラエルが地区の安全を管理し続けなければならないというものだ。そして、これはパレスチナの主権の要求と相反する」としました。

ガザ地区でイスラエル軍とハマスの戦闘が続く中、バイデン政権やアラブ諸国は、イスラエルとパレスチナという2つの国家が共存する形での和平の実現を目指すべきだとしています。

19日に行われた電話会談をめぐっては、ネタニヤフ首相が「パレスチナとの『2国家共存』の可能性を完全に排除している訳ではない」と述べたと一部で報じられましたが、イスラエル側はこれを否定した形です。

地元メディアは、イスラエル首相府がこのような声明を出すのは珍しいと伝えていて、パレスチナ国家の樹立を認めない方針に変わりはないことを強調するネタニヤフ首相の狙いがあるものと見られます。

“フーシ派の対艦ミサイル破壊”米軍が発表

アメリカ軍は現地時間の20日の午前4時ごろ、イエメンの反政府勢力フーシ派の対艦ミサイルを破壊したと発表しました。

このミサイルはフーシ派がアデン湾に向けて発射の準備を進めていたものでこの地域を航行する商船やアメリカ海軍の艦船に脅威を与えると判断したということです。

アメリカ中央軍は「この攻撃によって国際水域はより安全で安心なものになるだろう」としています。

アメリカ中央軍は19日にもフーシ派が紅海の南部に向けて発射の準備をしていた対艦ミサイル3発を破壊していますが周辺ではフーシ派による航行中の船舶などへの攻撃が相次いでいて緊張した状況が続いています。