柿沢前法務副大臣を起訴 東京地検特捜部 公選法違反の買収の罪

去年4月に行われた東京の江東区長選挙をめぐる選挙違反事件で、東京地検特捜部は区議会議員らに選挙運動の報酬として現金を提供するなどしたとして、柿沢未途前法務副大臣を公職選挙法違反の買収などの罪で起訴しました。また、この選挙で柿沢前副大臣の支援を受けて当選した木村弥生前区長も、支援者の元区議会議員を買収した罪などで在宅起訴しました。

起訴されたのは前法務副大臣で衆議院議員の柿沢未途被告(52)と、去年11月に江東区長を辞職した木村弥生被告(58)です。

東京地検特捜部によりますと、柿沢議員は去年4月の江東区長選挙をめぐり、
▽秘書に指示するなどして、区議会議員など10人に選挙運動の報酬として、合わせておよそ280万円を提供したり提供を申し込んだりしたほか
▽インターネットに木村前区長への投票を呼びかける有料広告を掲載させたとして、公職選挙法違反の買収などの罪に問われています。

関係者によりますと、柿沢議員はこれまでの調べに対し、いずれも認めているということです。

また、木村前区長は
▽選挙運動の報酬として選挙後に100万円を提供して元区議会議員を買収したほか
▽違法な有料広告を掲載させたとして、公職選挙法違反の罪に問われていて、関係者によりますと、特捜部の任意の事情聴取に対し、「区長選に協力してくれた感謝の気持ちがあった」などと供述しているということです。

このほか、柿沢議員とともに逮捕された秘書4人のうち2人が略式起訴され、裁判所から罰金50万円の略式命令を受けました。

また、2人は不起訴になりました。

さらに、特捜部は買収の対象とされた区議会議員など5人を在宅起訴したり、略式起訴したりしました。

林官房長官「起訴は遺憾 適切に説明責任果たすべき」

林官房長官は午後の記者会見で、「前法務副大臣である衆議院議員が逮捕・起訴されるに至ったことは遺憾だ。選挙や政治活動は公職選挙法などの関係法令に基づき適切に行われるべきで、一人一人の政治家が必要に応じて適切に説明責任を果たすべきだ」と述べました。

共産 小池書記局長「政府や自民党はしっかり責任を」

共産党の小池書記局長は静岡県熱海市で記者団に対し、「政治家として絶対にやってはならない買収の容疑で現職の国会議員が逮捕され、起訴されたことは非常に重大だ。自民党の責任も極めて重大で、離党でトカゲの尻尾切りのような対応は許されない。政府や自民党には経緯をきちんと国民に説明し、責任をしっかり果たすことを強く求めたい」と述べました。

江東区 大久保区長「大変残念 誠に遺憾」

木村弥生前区長が在宅起訴されたことを受け、江東区の大久保朋果区長は「大変残念であり、誠に遺憾だ。今後、司法の場における審理の状況を引き続き注視していく。区役所におけるコンプライアンスに徹底的に取り組み、区民の皆様の信頼回復に全力で取り組んでいく」というコメントを出しました。

江東区議会 山本議長「心からおわび」

区議会議員の起訴を受け、江東区議会の山本香代子議長は「多大なるご迷惑をおかけし、心からおわび申し上げる。議員は区民からの厳粛な信託を受けた立場を十分認識し、職責を果たしていかなければならない。司法の場における審理の状況を注視するとともに、区民に信頼される議会運営に全力で取り組んでいく」というコメントを出しました。