上野公園「牡蠣フェス」で体調不良 ノロウイルス食中毒と断定

今月8日まで東京 台東区の上野公園で開かれたイベントで、かき料理を食べたあと体調不良を訴える人が相次ぎ、東京都は16日、ノロウイルスが原因の食中毒と断定したと発表しました。ノロウイルスによる食中毒は冬に多く発生することから、都は手洗いや、食品の取り扱いなどに注意するよう呼びかけています。

都によりますと、今月6日から8日に上野公園で開かれた「牡蠣フェス」で、会場で調理して販売されたかき料理を食べた16歳から67歳までの35人が、下痢やおう吐などの症状を訴えたということです。

保健所が調べた結果、このうち3人からノロウイルスが検出されたということで、都はノロウイルスが原因の食中毒と断定しました。

いずれも症状は軽く、回復に向かっているということです。

イベントを主催した実行委員会は、かきの加熱が不足していたとして、謝罪しています。

都内のノロウイルスによる食中毒の患者は、コロナ禍だった2022年までの3年間はいずれも年間200人以下でしたが、去年は331人と前の年と比べて3倍以上に増えました。

都の担当者は「新型コロナの感染拡大が落ち着き大人数での会食やイベントなどが再開したことが影響しているのではないか」としていて、手洗いや、食品の取り扱いなどに注意するよう呼びかけています。

東村山市のグループホームでもノロウイルス食中毒

また、東京都は東村山市のグループホームでもノロウイルスによる食中毒が発生したと発表しました。

このグループホームでは今月8日から9日にかけて入所者14人に相次いでおう吐や下痢の症状が出たということです。

入所者はいずれも施設で調理した食事をとっていたということで、このうち12人からノロウイルスが検出されたということです。

また職員1人からもノロウイルスが検出されたということです。

保育園も対策を強化

ノロウイルスが原因の食中毒が相次ぐ中、都内の保育園では、手洗いや消毒をこまめに行うなど対策を強化しています。

東京・北区の保育園「LIFE SCHOOL桐ヶ丘こどものもり」では、子どもたちの手洗いを徹底しています。

16日も指や手のひらといった場所や順番を確認しながら、すみずみまでしっかり洗うように指導していました。

また、子どもたちが触るおもちゃや机などは、ノロウイルスに効果がある次亜塩素酸ナトリウムを使って、頻繁に消毒しています。

同じタオルを使って色々な場所を拭くことでウイルスを広げないように、場所によって使うタオルを分けるなどの工夫もしています。

園児がおう吐してしまった時にできるだけ早く片付けてウイルスを広げないために、使い捨ての雑巾や、手袋、ビニール袋などをひとまとめにした緊急用の片付けセットも用意していて、片付けの手順も決めてあるということです。

保育士の飯田愛実さんは「ノロウイルスはとても感染力が強く、特に冬場はどこに危険があるかわからないので特に注意しています」と話していました。

【予防のポイント】

ノロウイルスの患者は毎年11月ごろから増えはじめ、12月から1月ごろにピークを迎えます。

ノロウイルスは感染力が非常に強く、激しいおう吐や下痢を引き起こし、健康な大人の場合は、数日で回復しますが、子どもやお年寄りなどは重症化することもあり、特に子どもや高齢者が集まる施設などでは注意が必要です。

都によりますと、予防には「消毒」と「手洗い」が大切だということです。

【消毒】

新型コロナウイルスにはアルコール消毒が有効なため広く普及しましたが、ノロウイルスに対してはアルコール消毒はあまり効果が期待できないということです。

ノロウイルスの消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効で、家庭では、市販の塩素系の漂白剤などを薄めて使うことができます。

【手洗い】

また、石けんを使った手洗いも有効で指の間や爪まで入念に洗いよくすすぐことがポイントです。

調理をする前や食事の時、トイレのあとのほか、おう吐したものの処理やオムツ交換をしたあとなどは、特に丁寧に手洗いすることが大切だということです。

【洗濯】

日常の暮らしでは洗濯や調理でも注意が必要で、吐しゃ物などで汚れた衣服がある場合、いきなり洗濯機で洗うと、一緒に洗っているほかの衣類にもウイルスが付くので、ほかのものと分けて洗いさらに消毒する必要があるということです。

【調理】

加熱が必要な食品は、特に子どもやお年寄りなどは十分に加熱して食べるよう呼びかけています。

加熱の目安は、85度以上で90秒以上です。