韓国大統領 北朝鮮の方針転換「反民族的集団みずから認めた」

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記が韓国を統一の対象ではなく敵対的な国家とみなす方針に転換したことについて、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は「北が反民族的な集団であることをみずから認めた」と非難したうえで、北朝鮮の挑発には強い姿勢で臨む考えを示しました。

これは、韓国のユン・ソンニョル大統領が16日開かれた閣議の冒頭で述べました。

この中で、北朝鮮のキム・ジョンウン総書記が韓国を統一の対象ではなく敵対的な国家とみなす方針に転換したことについて、ユン大統領は「北の政権が反民族的で反歴史的な集団であることをみずから認めた」と非難しました。

そして、年明けの北朝鮮軍による朝鮮半島西側の黄海に向けた砲撃や、14日の中距離弾道ミサイルの発射に言及したうえで「北が挑発すれば何倍にもして懲らしめる。挑発に屈して得る平和はわれわれの安全保障を危険にさらすだけだ」と述べ、北朝鮮の挑発には強い姿勢で臨む考えを示しました。

また、ユン大統領は「脱北者が韓国社会に定着できるようにするための支援を惜しまない」として、南北関係を担う統一省に対し「脱北者の日」を新たに制定するよう指示しました。

北朝鮮 韓国向けの宣伝など一斉に停止

北朝鮮は、キム・ジョンウン総書記が韓国を統一の対象ではなく、敵対的な国家とみなす方針に転換したことを受けて、韓国向けの宣伝などを目的にしたウェブサイトやラジオを一斉に停止しています。

このうち、15日に開かれた最高人民会議で廃止が決まった、韓国との窓口機関の祖国平和統一委員会が運営する「わが民族同士」などのウェブサイトは、すでにアクセスできなくなっています。

また、北朝鮮の報道を分析しているラヂオプレスによりますと、韓国向けのラジオ「ピョンヤン放送」も、1月12日の夜から放送が途絶えているということです。

一方、キム総書記は15日の演説で、朝鮮戦争で分断され、過去の南北首脳会談で鉄道の連結で合意していた朝鮮半島西側のキョンウィ(京義)線について、北朝鮮側の区間を復旧できないように遮断することを指示しました。

さらにキム総書記は、憲法から平和統一や民族大団結といった表現を削除すべきだとしたうえで、南北統一を願って設けられたアーチ型のモニュメントも撤去するとしています。