ダイハツ認証不正 3車種の「型式指定」取り消しへ 国土交通省

自動車メーカーの「ダイハツ工業」が国の認証を不正に取得していた問題で、国土交通省は3つの車種で特に悪質な不正行為が確認されたとして、これら3車種で大量生産に必要な「型式指定」を取り消すと明らかにしました。

ダイハツ工業をめぐる国の認証の不正取得問題では、先月、現在、生産・開発を行っている全28車種などで不正が明らかになり、国土交通省は、基準への適合が確認されるまで、現在生産する車の出荷を停止するよう指示し、会社は国内すべての自動車工場の稼働を停止しています。

この問題を受け、国土交通省はダイハツへの立ち入り検査を行い、その結果、3つの車種のトラックタイプで特に悪質な不正行為が確認されたとして、これらの車の大量生産に必要な「型式指定」を取り消すと明らかにしました。

3車種は、
▽「グランマックス」
▽ダイハツが製造し、トヨタが販売している「タウンエース」
▽ダイハツが製造し、マツダが販売している「ボンゴ」で、
取り消しに向けて手続きを始めたということです。

国土交通省によりますと、これらの車では衝突試験でエアバッグの作動確認をする際、センサーで自動的に検知するのを確かめる必要があるにもかかわらず、タイマーで作動させていたことがわかったということです。

「型式指定」が取り消されると、大量生産ができなくなるほか、再び指定の取得を申請した場合でも通常より審査は厳しくなり、時間がかかることが見込まれるということです。

また、ダイハツから基準に適合しない可能性があると報告があった▽「キャスト」、▽ダイハツが製造し、トヨタが販売している「ピクシスジョイ」の2車種について、リコールが必要な場合、速やかに届け出るよう指導したということです。

今回の問題を受け、国土交通省はダイハツに対し、抜本的な改革を求めるとして、道路運送車両法に基づく是正命令を出しました。

16日夕方、国土交通省を訪れたダイハツ工業の奥平総一郎社長に対し、斉藤国土交通大臣は「会社の体制や体質を抜本的に改革しなければ失墜した信頼を取り戻すことができないことを肝に銘じ、2度とこのような不正を行うことがないよう再発防止に真剣に取り組んでください」と述べ、是正命令書を手渡しました。

国土交通省によりますと、今後、1か月以内に再発防止策を報告するよう求めたということです。

ダイハツ工業によりますと、「型式指定」が取り消されることになったのは、「グランマックス」のトラックタイプ、ダイハツが製造しトヨタが販売している「タウンエース」のトラックタイプ、それにダイハツが製造しマツダが販売している「ボンゴ」のトラックタイプの3車種です。

各社によりますと、去年1月から11月までの間に3車種合わせて国内でおよそ6000台が販売されたということです。

ダイハツ 奥平社長「不正の原因は経営の問題だと受け止め」

ダイハツ工業の奥平総一郎社長は、是正命令書を受け取ったあと記者団に対し、「今回のわれわれの不正によって失われた信頼は大きく、是正命令については、大変重く受け止めている。組織のあり方などについてしっかりと検討し、1か月以内に報告したうえで公表する」と述べました。

また、不正の原因については、「経営の問題だと受け止めている。身の丈をこえる仕事を詰め込みすぎたことや硬直的なスケジュールを変えられなかったこと、また、そうせざるをえなかった現場の環境などを含めて経営がつくってきたものだ」と述べました。

斉藤国交大臣「製造業の信頼性に関わる問題」

斉藤国土交通大臣は、16日の閣議後の会見で「自動車認証制度の根幹を揺るがす、ひいては日本の製造業の信頼性に関わる大きな問題だ。ユーザーの安全安心を確保することが重要であると考え、速やかに確認試験を行って、結果の出た車種から順次、公表したい」と話しました。

トヨタ 佐藤社長「ダイハツの経営体制見直し」

トヨタ自動車の佐藤恒治社長は、子会社のダイハツ工業が是正命令を受けたあと記者団の取材に対し、「是正命令を大変重く受け止めている。ブランドを信頼していただいているお客さまにご迷惑をおかけしていることを改めて深くおわび申し上げます」と述べ、陳謝しました。

そのうえで、「われわれが小型車の開発でダイハツの遠心力を期待した事業構造になっている。一定の自立性を持って小型車の開発をリードすることがトヨタにとっての遠心力になるという前提で進めてきた結果、この状態が生まれている」と述べ、両社の関係性に課題があるという認識を示しました。

そして、ダイハツの事業領域を見直す考えを示したうえで、「事業スキームが健全に機能するように経営の体制も見直していく」と述べ、経営陣の刷新も含めて検討する方針を明らかにしました。