ダボス会議 15日から 世界の政財界のリーダーら2800人余参加へ

世界の政財界のリーダーが集まる、通称「ダボス会議」が15日からスイスで始まります。ウクライナ侵攻や中東情勢に加え、世界経済の行方やAIの活用のあり方など、重要な課題について議論が交わされます。

「ダボス会議」として知られる世界経済フォーラムの年次総会は、スイス東部のダボスで例年この時期に開かれていて、ことしの開催は15日から19日までとなっています。

120の国と地域から合わせて2800人余りの政財界のリーダーたちが参加する見込みで、ことしは「信頼の再構築」という全体テーマが掲げられています。

ロシアによるウクライナ侵攻や人道危機が深刻化する中東情勢を議題としたセッションが予定され、世界の分断が一段と進む状況に各国がどう対処すべきか議論が行われます。

現地には60人以上の各国の首脳らも訪れる予定で、16日にはウクライナのゼレンスキー大統領が演説し、改めて支援の継続を訴えるものとみられます。

また、根強いインフレや各国の中央銀行が進めてきた利上げによる世界経済への影響、急速に普及が進むAIの活用や規制のあり方についても意見が交わされる見通しです。

このほか、気候変動やエネルギー問題についても議論される見込みで、世界が直面するさまざまな重要課題に有効な解決策が示されるか注目されます。

ことしの注目点は

ことしの世界経済フォーラムの年次総会、通称「ダボス会議」は、「信頼の再構築」という全体テーマを掲げています。

世界経済フォーラム シュワブ会長

これについて、世界経済フォーラムのシュワブ会長は「世界では分断が拡大し、不確実性と悲観主義のまん延につながっている。問題の根本原因に目を向け、より有望な未来をともに築くことで、未来に対する信頼を再構築しなければならない」として、グローバルな課題について対話を進める重要性を強調しています。

5日間の会期中には200以上のセッションが予定され、異なる4つの主要テーマが議論の中心となる見通しで、その内容が注目されます。

1. 分断された世界における安全保障と協力の実現

ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続く中東情勢を踏まえ、安全保障の危機や政治的な分断に対しどう対処するかについて意見が交わされます。

左:ゼレンスキー大統領 右:ブリンケン国務長官

16日にはウクライナのゼレンスキー大統領が初めて対面で出席して演説を行うほか、アメリカのブリンケン国務長官や安全保障政策担当のサリバン大統領補佐官が現地入りする予定で、ウクライナ情勢などについて突っ込んだ議論が行われるか注目されます。

2. 新しい時代の成長と仕事の創出

世界経済の減速を避け、人々の生活を豊かにするためには、どのような政策や協調が必要かも議論されます。

インフレを抑えるため各国で進められてきた利上げや債務の増加などが課題となる中、関係するセッションには、ヨーロッパ中央銀行のラガルド総裁やWTO=世界貿易機関のオコンジョイウェアラ事務局長など、中銀や国際機関の関係者が参加します。

日本からは新藤経済再生担当大臣が参加して、日本経済の現状などについて説明するほか、河野デジタル大臣も出席します。

中国 李強首相

また、中国からは李強首相、G7=主要7か国の中では夏にパリオリンピック・パラリンピックを控えるフランスのマクロン大統領が、現地でスピーチを行います。

3. 経済と社会をけん引するAI

普及や開発が急速に進むAIも主要な議題となります。

世界経済フォーラムが10日に発表した報告書では、社会や政治の分断を拡大させるおそれがあるとして今後2年間で予想される最大のリスクに「偽情報」をあげ、AIがリスクを増大させていると警鐘を鳴らしています。

アルトマンCEO

18日には生成AIの「ChatGPT」を開発したアメリカのベンチャー企業、オープンAIのアルトマンCEOが参加するセッションも予定され、AIの活用や規制について活発な議論が見込まれます。

4. 気候、自然、エネルギーに関する長期戦略

気候変動などの地球規模の課題も去年に続き、議論の柱となります。

企業の代表や研究者のほか、気候変動問題を担当するアメリカのケリー特使などの政府要人も含め、さまざまな立場の参加者が、再生可能エネルギーの活用から異常気象による被害まで幅広い議題で意見を交わす見通しです。