「H2A」ロケット打ち上げ成功 衛星「光学8号機」軌道に投入

政府の情報収集衛星を搭載したH2Aロケット48号機は、12日午後1時44分に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられました。衛星を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

「H2A」ロケット48号機は、12日午後1時44分、種子島宇宙センターから打ち上げられました。

補助ロケットや1段目のエンジンを切り離しながら上昇を続け、打ち上げからおよそ20分後に政府の情報収集衛星「光学8号機」を切り離して予定の軌道に投入し、打ち上げは成功しました。

政府の情報収集衛星は、高度数百キロの上空から地球上のあらゆる場所を撮影できる事実上の偵察衛星で、北朝鮮のミサイル発射施設の動向や災害時の被害の把握などに活用されます。

「H2A」ロケットは打ち上げ能力を強化した「H2B」も含めると、成功率98%と世界的にも高い水準を誇っていますが、打ち上げ費用の高さなどが課題となっていて、来年度に予定されている50号機の打ち上げを終えたあとは後継の新型ロケット「H3」に完全に移行する予定です。

「H3」は去年、初号機の打ち上げに失敗していて2号機の打ち上げが来月15日に予定されています。

内閣衛星情報センター「情報収集態勢強化に非常に重要」

政府の情報収集衛星を搭載した「H2A」ロケット48号機の打ち上げ成功を受け、内閣衛星情報センターの安田浩己次長は「情報収集態勢を一層強化するためにも非常に重要な衛星で、光学8号機の早期の運用に向け、わが国の情報収集がより強固なものになるよう努めていく」と述べました。

また、三菱重工業執行役員の江口雅之防衛宇宙セグメント長は、来月15日に予定されている日本の新たな主力ロケット「H3」2号機の打ち上げについて、「H3の失敗以降、トラブルの種となるところを対策し、今回も無事、2段エンジンの着火が作動し、次のH3に向けてより信頼度が高まった。きょうの打ち上げ成功で非常に大きなステップを踏むことができた。関係者一同、士気高く前向きにやっているので、来月の打ち上げ成功に向けてまい進していきたい」と述べました。

岸田首相「わが国の安全保障や危機管理に万全を期す」

岸田総理大臣はコメントを発表し、「H2Aロケット48号機が打ち上げられ、搭載していた情報収集衛星『光学8号機』は所定の軌道に投入された。政府としては、この『光学8号機』を含む情報収集衛星を最大限活用し、今後ともわが国の安全保障や危機管理に万全を期す所存だ」としています。

また、村井官房副長官は記者会見で「この情報収集衛星は、安全保障や大規模災害への対応など危機管理に必要な情報収集を行うことを目的とするもので、昨今の北朝鮮の動向をはじめ、必要な情報収集を行うために不可欠だ。今回打ち上げられた『光学8号機』を最大限活用し、引き続き国民の生命と財産を守るため、万全の情報収集体制の確保に努め、確実に実行していく」と述べました。