MRワクチン接種率低下 “新たな流行につながるおそれ” 専門家

就学前の子どもを対象としたはしかと風疹のワクチン「MRワクチン」の接種率が低下しています。小学校入学前に行う2回目の接種の昨年度の接種率は過去10年で最も低くなっていて、専門家は「新たな流行につながるおそれがあり、忘れず接種してほしい」と呼びかけています。

はしかや風疹を予防する「MRワクチン」は、公費で接種できる「定期接種」として、1歳以上2歳未満のときに1回目、小学校入学前の5歳以上7歳未満の時に2回目を接種することになっています。

厚生労働省によりますと、昨年度のMRワクチンの接種率は、
▽1回目では95.4%と過去10年で2番目に低く、
▽2回目は92.4%と、過去10年で最も低くなりました。

はしかは感染力が非常に強い感染症で、重症化すると死亡したり、後遺症として極めて重い脳炎が起きたりすることがあります。

また風疹は軽症のことが多いですが、妊娠中の女性が感染すると、おなかの子どもにも感染し、難聴や、心臓の病気になる可能性が高まります。

ワクチンに詳しい川崎医科大学の中野貴司主任教授は「90%台と聞くと高く感じるかもしれないが、毎年数万人の子どもが未接種となり、流行を引き起こすきっかけになるリスクがある」と懸念を示しています。

公費でワクチンを接種するには、決められた期間があり、1回目は2歳の誕生日の前日まで、2回目は小学校に入学する前の3月末までとなっていて、中野主任教授は「対象となっている人は、忘れず接種してほしい」と話しています。