被災地での寒さ対策どうする? 在宅看護の専門家に聞く

厳しい冷え込みが予想される中、在宅看護の専門家に今の被災地でとりうる寒さ対策について聞きました。

愛知医科大学看護学部の佐々木裕子准教授は在宅看護が専門で、阪神・淡路大震災をはじめ各地の地震や豪雨災害の被災地で避難者の支援や環境整備に携わってきました。

首や足首それに頭や腰を温める

佐々木准教授によりますと、寒さを防ぐためにまず重要なのは、太い血管が通る首や足首、それに頭や腰を温めることだということです。

なかでも足は冷えると指が縮こまって転倒や骨折につながる危険もあるため、厚手の靴下や靴下を2重に履くなどして保温してほしいとしています。

ペットボトルなどにお湯入れ湯たんぽ代わりに

炊き出しなどがあり、お湯が手に入る場合はペットボトルなどにお湯を入れて湯たんぽ代わりにし、暖をとることも効果的だということです。

その際には低温やけどをしないよう肌には直接あてず、服やタオルごしに温めるようにして、高齢者や体にまひがある人は熱さを感じにくいため、周りの人が注意してあげてほしいとしています。

重ね着をして空気の層を作る

重ね着をして空気の層を作るのも効果的で、衣類が十分にない場合は新聞紙や荷造り用の緩衝材、新品のゴミ袋など身の回りにあるものでも代用できるということです。

また、新聞紙や段ボールは足元に敷くと冷気を防ぐことができます。

できるだけ体を動かすよう心がける

寒いと体を動かすのを控えがちですが、体がこってくると血の巡りが悪くなり寒さを感じやすくなるため、首を回したり、腕を上げてわきの下を伸ばしたりするほか、手首や足をぶらぶらと振るだけでもいいので、できるだけ動かすよう心がけてほしいということです。

特に足の指を動かしたり、ふくらはぎを下からもみあげたりするのは、エコノミークラス症候群の予防にも効果があるとして、こうした運動を互いに声をかけあって一緒に行うことを考えてほしいとしています。

このほか、感染症対策にもなるので、少しでも口をうるおし、加湿することを心がけてほしいとしています。

佐々木准教授は「本当に苦しく厳しい環境で避難生活を送っている人が多いと思います。ひとりで我慢せず、まわりの人たちと自分の状況や気持ちを分かち合っていただきたい。対策をしても震えが止まらないなど異変があれば医療者に相談してほしい」と話しています。