【被害状況 8日】石川県で168人死亡 安否不明者323人(14時)

能登半島地震から8日で1週間です。
石川県ではこれまでに168人の死亡が確認され、いまも被害の全容がつかめないなか、安否が分からない人の捜索や必要な物資を届けるための道路の復旧などが急がれています。

各地の被害について、随時更新でお伝えしています。

《石川県》

今回の地震では、これまでに石川県で168人の死亡が確認され、5県で少なくとも合わせて660人がけがをしました。

石川県によりますと、8日午後2時の時点で、県内で、あわせて168人の死亡が確認されたということです。

輪島市で70人、珠洲市で70人、穴水町で18人、七尾市で5人、能登町で2人、志賀町で2人、羽咋市で1人となっています。

重軽傷者は石川県内全体で少なくとも565人にのぼっています。

安否不明者323人の氏名や年齢など公表

石川県能登地方を震源とする地震で、県は住民基本台帳をもとに8日午後2時の時点で安否が分かっていない人として、323人の氏名や年齢などを公表し広く情報の提供を求めています。

【輪島市】
亡くなった人が最も多い輪島市では、観光名所として知られる市中心部の「朝市通り」周辺で地震のあとに大規模な火事が発生し、およそ200棟が焼失しました。

そのほか、広い範囲で建物が倒壊するなどしていて市も被害の全容を把握できていないのが現状です。

また、7日午後2時の時点で、市内のほぼ全域となるおよそ1万戸で断水が続いているほか、午後6時の時点でおよそ7800戸で停電が解消されていません。

こうしたなか、160か所の避難所で1万2000人近い人が避難生活を続けています。

さらに、道路が通れなくなるなどして孤立している地区も多くあり、石川県が把握しているだけで13地区などに上っています。

支援が必要な集落もあり実態の把握と孤立状態の早期解消が喫緊の課題となっています。

【珠洲市】
輪島市に次いで亡くなった人が多いのが珠洲市です。

珠洲市では7日午後2時の時点で市内の62の避難所に6800人あまりが避難しているほか孤立状態の地区が残っています。

また、およそ4800戸で断水が続いているほか、およそ6400戸で停電が続いています。

津波の被害も深刻で、国土交通省によりますと、隣接する能登町とあわせて、少なくとも120ヘクタールが浸水したということです。

ただ、津波の被害については市や県が把握できていない部分も多く、さらに広がる可能性があります。

建物被害 少なくとも1401棟の被害確認

石川県によりますと、8日午後2時時点で県内では穴水町などで、少なくとも1401棟の住宅被害が確認されたということです。

一方、輪島市や珠洲市、かほく市、内灘町、それに能登町でも、多数の住宅に被害が出ていますが依然として全体状況は把握できていないとしています。

自治体別にみると
▽金沢市では全壊が4棟、
▽七尾市では全壊が225棟、
▽加賀市では全壊が5棟、半壊が6棟、一部破損が49棟、
▽羽咋市では全壊が15棟、
▽川北町では一部破損が1棟、
▽志賀町では全壊が8棟、半壊が15棟、一部破損が16棟、床上浸水が6棟、床下浸水が5棟、
▽中能登町では全壊が20棟、半壊が10棟、一部破損が16棟、
▽穴水町では全壊または半壊または一部破損が1000棟となっています。

一方、▽輪島市と▽珠洲市、▽かほく市、▽内灘町、▽能登町では多数の住宅に被害が出ていますが、現在も全体状況は把握できていないとしています。

石川 5つの市や町で1342棟の建物が「危険」判定

石川県七尾市などあわせて5つの市や町では、地震で被災した建物に倒壊などの危険性がないかを調べる「応急危険度判定」が進められています。6日までの3日間にあわせて1342棟の建物が倒壊などのおそれがある「危険」と判定されたことがNHKのまとめでわかりました。

今回の地震で被災した建物に倒壊のおそれなどがないか確認するため、石川県内では七尾市、羽咋市、穴水町、志賀町、中能登町の5つの市と町で今月4日から「応急危険度判定」の調査が進められています。

県によりますと、6日までの3日間に判定が終わった4067棟のうちあわせて1342棟の建物が倒壊などのおそれがある「危険」と判定されたということです。

このうち最大震度7を観測した志賀町では416棟が、七尾市では398棟が「危険」と判定されたということです。

これらの市や町では引き続き調査を続けていて、「危険」と判定される建物はさらに増える見通しだということです。

県では「危険」とされた建物には近づかないよう注意を呼びかけています。一方、大きな被害が出ている能登町では、8日から調査が始まったほか、珠洲市と輪島市では今月10日から調査を実施するということです。

断水 7市7町で続く

厚生労働省によりますと、石川県内で断水が確認されているのは7市7町です。

内訳は
▽七尾市が2万1500戸、
▽輪島市が1万戸、
▽珠洲市が4800戸、
▽羽咋市が3100戸、
▽かほく市が300戸、
▽金沢市が125戸、
▽能美市が2戸、
▽志賀町が8800戸、
▽中能登町が7000戸、
▽能登町が6200戸、
▽穴水町3200戸、
▽内灘町が1000戸、
▽宝達志水町が50戸、
▽津幡町が40戸となっています

医療機関 10か所で停電や断水などの被害

医療機関でも石川県の10か所で停電や断水などの被害の情報があるということです。

内訳は
▽七尾市で5か所
▽珠洲市、
▽輪島市、
▽能登町、
▽志賀町、
▽穴水町でそれぞれ1か所となっています。

高齢者施設145施設 障害者施設30施設で被害確認

高齢者施設でも石川県内の145施設で断水や停電などの被害が確認されています。

自治体別では
▽七尾市で25施設、
▽輪島市で14施設、
▽かほく市で11施設、
▽羽咋市で10施設、
▽珠洲市で7施設、
▽金沢市2施設、
▽小松市で2施設、
▽能美市1施設、
▽志賀町で16施設、
▽津幡町で15施設、
▽能登町で12施設、
▽中能登町で10施設、
▽穴水町で8施設、
▽宝達志水町で7施設、
▽内灘町で5施設です。

障害者施設でも石川県内の30の施設で停電や断水などの被害が確認されています。

内訳は
▽七尾市で10施設、
▽輪島市で5施設、
▽穴水町で4施設、
▽能登町で3施設、
▽津幡町、
▽羽咋市でそれぞれ2施設、
▽中能登町、
▽かほく市、
▽珠洲市、
▽志賀町でそれぞれ1施設です。

また、高齢者施設や障害者施設の中には停電などの影響でこれまで連絡が取れていなかった施設もありましたが、すべての施設と連絡が取れたということです。

小中学校と高校 新学期開始遅らせる自治体相次ぐ

地震の影響で、石川県内では被災地を中心に9日から予定していた小中学校と高校の新学期の開始を遅らせる自治体が相次いでいます。

【小・中学校】
石川県内ではすべての公立の小学校と中学校であすから3学期が始まる予定でしたが、NHKが県内の自治体に新学期開始の予定を取材したところ、被害の大きかった能登地方を中心に8つの自治体で新学期の開始を遅らせることが分かりました。

▽七尾市と輪島市が12日まで休校とし、それ以降は状況を見ながら検討するとしています。

▽珠洲市と能登町はしばらくの間は休校とし、期間はまだ決まっていないとしています。

▽内灘町は12日まで休校し、15日から開始する予定ですが西荒屋小学校については未定だとしています。

▽志賀町は21日までは休校とし、それ以降は状況を見ながら検討するとしています。

▽中能登町は15日から開始する予定です。

▽穴水町は当面の間、休校とし、開始の時期は未定だということです。

そのほかの自治体では建物などに授業の再開に支障をきたすような被害はないなどとして、予定通りあす、始業式を行うとしています。

【公立高校/特別支援学校】
高校でも授業再開を遅らせる動きが相次いでいます。石川県によりますと、県内にある47の公立高校のうち能登地方を中心に4割近くにあたる17校が授業の再開時期を見通せていないということです。

また、金沢市にある県立金沢泉丘高校の通信制課程は授業の再開を1週間延期するとしています。特別支援学校については七尾市と輪島市、珠洲市にある3校すべてが授業の再開時期を見通せていないということです。

このほか、石川県内にある公立高校29校と特別支援学校8校は、予定通り9日から授業を再開するとしています。

転覆や沈没した漁船 120隻以上にのぼる

農林水産省によりますと、能登半島地震で石川県内では珠洲市を中心に転覆や沈没した漁船が120隻以上にのぼるということです。

農林水産省は8日午前11時半現在の被害の状況を公表し、石川県内では珠洲市を中心に転覆や沈没した漁船が7日からおよそ90隻増えて120隻以上にのぼることが確認されたということです。

また、69ある漁港のうち、半数以上にあたる37の港で防波堤や岸壁が壊れるといった被害が確認されているほか、荷さばき所などの施設も19か所で被害を受けたことが確認されています。

農林水産省は、被害の全容はまだ把握しきれておらず、漁業の再開には時間がかかることも予想されるとしています。

また、畜産農家では、断水が50件、停電が12件、施設の損壊が38件、確認されているということです。

一方、石川県から要望を受けた食料支援の対応として、▽パンやパックごはん、缶詰などをあわせて74万食あまり、▽飲料水35万本あまり、▽乳児用ミルク5400個あまりを金沢市内にある輸送拠点に向けて7日までに発送したということです。

8日開かれた農林水産省の災害対策本部で、坂本農林水産大臣は「人命第一の方針のもと、被害状況の迅速な把握と災害復旧対策、それに的確な情報提供に地方自治体と連携して全力で取り組んでほしい」と述べました。

《新潟県》

住宅被害 1058棟 けが人47人

新潟県によりますと、今月1日の地震で被害が確認された住宅は1058棟となりました。県内でけがをした人は47人となっています。

県によりますと、県内で被害が確認された住宅は新潟市を除く市町村では7日より130棟増えて908棟となっています。

内訳は半壊が1棟、一部損壊が906棟、津波により1棟が床上浸水となっています。

これまで糸魚川市で半壊となっていた3棟は、調査の結果、一部損壊となりました。

一方、今月5日から住宅の被害の集計方法を変えた新潟市は、被害の件数は調査中だとしています。

このため、県内で8日までに被害が確認された住宅は新潟市で今月5日までに職員が巡回するなどして確認した150棟と新潟市以外の被害の908棟をあわせた1058棟となりました。

一方、今月1日の地震で県内でけがをした人は47人となっています。

高齢者施設 19施設で断水や停電などの被害確認

高齢者施設でも新潟県内の19施設で断水や停電などの被害が確認されています。

自治体別では
▽新潟市で9施設、
▽上越市で6施設、
▽妙高市で2施設、
▽燕市でと▽糸魚川市でそれぞれ1施設です。

《富山県》

富山県内では8日時点で140人が避難生活を余儀なくされ、4200戸余りで断水が続いています。

【県外犠牲者】
今回の地震では、富山市に住む中学1年の男子生徒が石川県輪島市に、同じく富山市の30代の女性が石川県珠洲市に帰省中に、住宅の倒壊に巻き込まれて亡くなりました。

【県内けが人】
また富山県によりますと、県内では8日時点で、41人がけがをして、このうち3人が重傷です。

市町村別では、
▼富山市で16人、
▼氷見市で9人、
▼黒部市で5人、
▼高岡市と射水市でそれぞれ3人、
▼魚津市と小矢部市がそれぞれ2人、
▼砺波市が1人です。

【住宅被害】
住宅への被害も相次ぎ、氷見市で38棟が全半壊となるなど、あわせて806棟で被害が確認されています。

市町村別では
▼小矢部市で268棟、
▼高岡市で207棟、
▼氷見市で205棟、
▼朝日町で41棟、
▼滑川市で18棟、
▼上市町で17棟、
▼入善町で13棟、
▼魚津市で11棟、
▼砺波市で9棟、
▼黒部市で7棟、
▼立山町で6棟、
▼南砺市で4棟の被害が確認されています。

【断水】
▼氷見市で4250戸、
▼小矢部市で28戸で断水が続いていて、各地に給水所が設置されています。

【避難】
自主避難している人をあわせて11か所で140人が避難生活を余儀なくされています。

市町村別では
▼氷見市が85人(うち自主避難所18人)、
▼高岡市が37人、
▼射水市が18人となっています。