【解説動画】避難生活 厳しい寒さ対策 和久田アナウンサー実演

今回の能登半島地震では、停電や断水などが続く厳しい環境下で石川県内だけで3万3000人余りが避難生活を余儀なくされています。

避難生活による体調の悪化などが原因で亡くなる「災害関連死」につながるエコノミークラス症候群や低体温症を防ぐための対策を和久田アナウンサーが専門家に聞きました。

【動画:7分15秒】※データ放送ではご覧になれません

被災地の医療支援に詳しい日本体育大学の横田裕行教授によりますと、過去の災害では避難生活による体調の悪化などが原因の災害関連死が相次いでいて、そのほとんどは未然に防ぐことができた可能性が高いということです。

今回の地震では厳しい寒さのなか、停電の影響などで十分な暖房を確保出来ない避難所もあります。

体温が低下して体の内側の体温(深部体温)が35度以下になると体の震えや判断力の低下などが起こり、重症化すると意識を失い、最悪の場合は死に至るおそれがあります。

低体温症を防ぐための寒さ対策として、まずは「加温」が大切でお湯を飲むなどすることが効果的ですが、ハンカチなどで包んだ使い捨てカイロを太い血管の通っている脇や首に当てることなども効果があるとしています。

加えて体の熱を逃がさない「保温」も大事だと指摘します。毛布などで肩を覆うように体を包み、前を閉じて熱を逃がさないようにすることが大切です。

毛布などの物資がない場合には新聞紙を体全体に重ねるように巻き付けて、その上にセーターやジャケットを着ると空気の層ができて熱が逃げにくくなるといいます。

横田さんは、避難所の冷たい床の上で過ごすと体温を奪われ続けるので対策が必要だと言います。直接、座ることは避けて、毛布を敷くだけでなく段ボールや断熱材などをその下に敷くことで保温効果がより高まるということです。

また、避難生活では足に血栓が生じやすくなるエコノミークラス症候群にも注意が必要です。

対策としてこまめな水分補給十分な運動を意識的に行うことが大切だとしています。避難所で同じ姿勢でいると血の巡りが悪くなりリスクが高まります。

特にいわゆる「車中泊」をする際は同じ姿勢が続きやすいため、背伸びや屈伸運動をするほか、ベルトを緩めて血行をよくすることが必要だと呼びかけています。

屈伸運動などが難しい場合にはイスなどに座ったまま脚を少し高く上げたり、足首を動かしたりするほか、股関節を動かすことなどの運動が効果的だとしています。

日本体育大学 横田裕行 教授
「エコノミークラス症候群は女性のほうがなりやすいほか、肥満傾向の人や体にまひのある人なども注意が必要とされています。周りのお年寄りなどと声を掛け合って互いの健康を保ってほしい」