日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授によりますと、避難所として使われることの多い体育館などは床が冷たく、体温を奪われて低体温症になるリスクが高まるということです。
体の内側の体温が35度以下になると、体の震えや判断力の低下などが起こり、重症化すると意識を失い、最悪の場合は死に至るおそれがあります。
暖かい室内で過ごすことは難しく、厳しい環境にとどまらざるを得ないなかでも、関連死を防ぐため、互いに見守りあってほしいとしています。
例えば、体が“ブルブル”と震える、歯が“カチカチ”と鳴るなど軽度の低体温症の症状を自分で感じたり、周りで見かけたりしたら、毛布などをかけて体を暖めたり、隣で寄り添ってあげたりして、体温の低下を防ぐことが大切だといいます。
さらに、可能であれば温かい食べ物や飲み物を積極的にとるのがよいということですが、緑茶やコーヒーには血管を収縮させる作用のあるカフェインが含まれるため、さ湯などを飲むのがよいということです。
避難生活 “低体温症に注意 互いに見守りを” 専門家が解説
今回の能登半島地震では、厳しい寒さや各地で停電や断水が相次ぐなかでの避難生活を余儀なくされています。
専門家は気温の低下などによる「低体温症」に特に注意が必要だとして、体を温かくすることや、周りの人たちの体調の変化を互いに見守りあうなどしてほしいと呼びかけています。
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体育館など 低体温症になるリスク高まる
冷たい床の上で直接過ごさない
避難所などでの対策としては、冷たい床の上で直接過ごさないようにすることが大切です。
段ボール素材のベッドを使用したり、床の上に毛布などを重ねて敷くと効果的ですが、これらがない場合にはパイプいすの上で過ごすなど、床に触れる時間を減らすことが大切だということです。
暖房機器を使用する場合は換気を意識
石油ストーブなどの暖房機器を使用する場合には一酸化炭素中毒にならないよう換気を意識するとともに、部屋の中で練炭を使ったり、発電機を回したりすることは大変危険なのでやめるよう呼びかけています。
また、自家用車などで寝泊まりするいわゆる「車中泊」をする際にはエンジンを切ると車内の温度が急速に下がり、低体温症になるリスクがあり、注意が必要です。
低体温症を防ぐため「保温と加温」を意識して
(根本昌宏教授)
「低体温症を防ぐために『保温と加温』を意識して避難生活の環境を整えるとともに、体調を保つためにもマスクの着用や手指のアルコール消毒などもしてください。また、持病のある方はふだん飲んでいる薬を飲み続けることが大切です。医療従事者がみなさんのもとへ向かっているので、それまではふだんどおりに飲み続けて下さい」