【4日 詳細】物資搬送の手が足らず 何も届かない地区も

一連の地震の影響で現地では道路が土砂でふさがり、“地区に物資が何も届いていない”という声が聞かれます。一方、県外から支援物資が市役所に届いているものの、各地の拠点に運ぶ人手が不足して届けられないという地域も。

4日の現地の状況を、まとめています。

《石川県》

七尾市 県外から支援物資届くも搬送の人手足りず

七尾市によりますと、市役所には県外から飲料水や食料などの支援物資が届けられています。一方で、こうした物資を各地の拠点に運ぶ人手が足りていないということで、市は、搬送に協力してくれる人を募っています。

茶谷市長は、自身のSNSでも協力を呼びかけていて、3日は1人が協力してくれたということです。

市長は「職員数にかぎりがあり搬送に手が回っていません。支援物資の搬送に協力してもらいたい」と話していました。

また、市役所ではペットボトルの飲料水の配布がはじまり、続々と住民が受け取りに訪れていました。

受け取った男性は「はじめは避難所にいましたが自宅が心配で戻りました。スーパーなども品切れなので助かります」と話していました。

約120の高齢者施設で断水や停電 トイレも流せず

石川県によりますと、4日午前10時時点で県内の特別養護老人ホームやグループホームなどおよそ120の高齢者施設で断水や停電などの被害が確認されています。

このうち、石川県七尾市にある特別養護老人ホームやケアハウスを運営している「エレガンテなぎの浦」では1日の地震の後から断水が続き、入居者の生活に影響が出ています。

入居者の入浴ができないほか、トイレも流すことができず、衛生面で懸念があるということです。

さらに、階段の壁にひびが入るなど建物の一部も被害を受けたほか、エレベーターが使えなくなっていて、職員らは入居者を抱えながら階段を上り下りしていました。

地震発生時に施設の5階の部屋に入居していて、いまは2階でほかの入居者と一緒に避難生活をしている70代の男性は「部屋にいたときに地震が起こりテレビやたんすが倒れてきてなにも考えられませんでした。もう二度と経験したくないです。早く自分の部屋に戻ってゆっくり寝たいです」と話していました。

「エレガンテなぎの浦」の藤澤優子さんは「入居者の人たちも先の見えない状況にストレスがたまっていると思います。水が使えないのが衛生面でもとても困っています。水や食料など物資が早く届いてほしい」と話していました。

通常の2、3倍の時間が…配送の遅れはなぜ?

県によりますと、国が手配した水や食料などの支援物資は金沢市内の輸送拠点に集められたあと、トラックで各自治体に運ばれます。

しかし、最初の地震で大きな段差ができるなど道路状況が悪いことに加えて、その後の余震や雨で土砂崩れなどが起きて回り道が必要になることもあり、金沢市から珠洲市まで通常なら片道3時間ほどのところを2,3倍の時間がかかっているということです。

また、配送にあたった金沢市の運送会社によりますと、夜間の走行は危険なため中止していることも配送が大幅に遅れている要因だということです。

石川県は「できるだけ早めに送るなどして必要な物資が避難所に迅速に届くようにしていきたい」としています。

能登地方への一般車両の移動控えるよう呼びかけ

石川県と北陸地方整備局は、被災地での人命救助や復旧作業を進めるため、4日能登地方への一般車両の移動を控えるよう協力を呼びかけました。

石川県内では能登半島方面につながる能越自動車道やのと里山海道などの一部区間で道路が崩落するなどの被害が起きています。

こうした中、通行可能な一部の道路では被災によって道路幅が狭くなっていて渋滞が発生するケースもあり、円滑な物資の輸送の支障になっているということです。

さらに一般の車両が混在することで人命救助や復旧作業に支障が生じるとしています。

県や北陸地方整備局は「被災地の親族や知人などの安否を確認したい気持ちや個人で支援物資を届けたい気持ちもあると思うが、ご理解とご協力をお願いしたい」としています。

石川県内 自衛隊トラックによる救援物資輸送が始まる

被災者を支援しようと石川県内では4日から自衛隊のトラックによる救援物資の輸送が始まりました。

石川県内では、国からの救援物資の輸送は2日から民間のトラックを活用して行われていましたが、陥没や亀裂が入るなど、道路状況が悪化しているため、難航していました。

こうした状況を受け、4日からは自衛隊のトラックによる救援物資の輸送が始まりました。

金沢市にある石川県産業展示館では
▼2リットルの飲料水5400本
▼カップ麺5000食分
▼毛布やブルーシート
といった、県の要望に基づいて国が用意した救援物資を自衛隊員が次々とトラックに積み込んでいました。

救援物資は七尾市や志賀町に運ばれたあと、近隣の自治体などに配布されるということです。

また、自衛隊によりますと、孤立集落など陸路での輸送が困難な地域については、ホバークラフトやヘリコプターを使って物資の輸送を行っているということです。

輪島市大川浜 建設用の重機や車両を積んだ船が海上から上陸

防衛省が4日午前、配信した上空からの映像です。

輪島市にある大川浜で午前9時半すぎに海上自衛隊の2隻のホバークラフトが海上から砂浜に上陸しました。

船にはそれぞれショベルカーなどの建設用の重機や車両が積み込まれていて、複数の自衛隊員が誘導しながら砂浜に移動している様子が確認できます。

防衛省によりますと、このあと沿岸から山あいに向かって伸びる県道6号線上にある障害物を排除して通れるようにする作業にあたるということです。

七尾市 北陸電力 火力発電所見通し立たず

七尾市大田町にある北陸電力の「七尾大田火力発電所」の1号機と2号機は、地震の影響で緊急停止し、今も運転を取りやめています。

北陸電力は4日、会見を開き、発電所を点検した結果、地震による設備の損傷が激しく、復旧の見通しは立っていないことを明らかにしました。

ただ、管内で必要な電力は他の発電所の稼働率を高めることや、ほかの電力会社から調達することで当面は確保できるとしています。

一方、石川県内ではおよそ3万世帯の停電が続いていて、北陸電力送配電は自治体などと連携し復旧作業や被害状況の把握を急ぎたいとしています。

緊急消防援助隊 4日正午までに25人救助

今回の能登半島地震で大きな被害が出ている石川県には、全国から消防隊員が派遣され倒壊した家屋を中心に救助や捜索にあたっています。

総務省消防庁によりますと、今回の能登半島地震で大きな被害が出ている石川県には、4日の時点で、18の都府県から2080人の消防隊員と18機のヘリコプターが「緊急消防援助隊」として輪島市と珠洲市に派遣されています。

4日は、昼前に京都府から派遣された消防隊が珠洲市若山町の倒壊した住宅から70代の男性を救助しました。男性は、その後、死亡が確認されたということです。

「緊急消防援助隊」は、4日正午までに25人を救助したということで、引き続き、救助や捜索にあたることにしています。

輪島市 警察の救助隊が倒壊家屋で捜索活動

4日午後、輪島市河井町では生存率が大きく下がるとされる発生から72時間が迫るなか、警察の救助隊15人ほどががれきを工具で壊しながら住宅の下敷きになった人の捜索にあたっていました。

現場のそばに住む、重蔵神社の能門亜由子禰宜は「捜索していた家のおばあちゃんとは毎日のように顔をあわせていました。早く見つかってほしい」と話していました。

また「地震のあと、町なかでは多くの遺体を見かけます。町の人たちの心は冷え切っているので炊き出しで温かいスープを提供して身も心もあたためたい」と話していました。

輪島市 京都から応援の警察官が活動

家屋が多数倒壊し、道路に亀裂が入るなどの大きな被害が出た石川県輪島市河井町では京都府などから応援に入った警察官が交代で、バールなどの機材を使いながら倒壊した住宅の木材を取り除き中に取り残された人がいないか確認していました。

倒壊した住宅近くで作業を見守っていた女性によりますと、倒壊した住宅には90代の義理のおばが1人で住んでいますが当時、その娘と孫が訪れていて、3人と連絡が取れず、「自分の息子が1日の午後におばの家が潰れているのを確認して、それから避難所を回って探してみたがどこにも見当たらない。自分の家も被災しているので片づけをしながら見に来たら、警察の方が対応してくれていてありがたい。とにかく見つかってほしい」と話していました。

この女性によりますと、その後、探していた3人と連絡が取れ、いずれも輪島市役所に避難していることが分かったということです。

珠洲市 ドラッグストア 開店前に50メートルを超える列

今回の地震で大きな被害を受けた珠洲市では、営業する数少ない店に食糧や物資を買い求める人たちが訪れています。

このうち、市中心部の野々江町にあるドラッグストアには、午前9時の開店を前に、50メートルを超える列ができていました。

車で30分ほどかけて店を訪れたという女性は「水が不足し、ここ数日間はストーブで雪を溶かして米を炊いたりしていた。親戚からこの店で数を限定して水が販売されていると聞いたので開店前から並んでいます」と話していました。

また、土砂で道路がふさがれ孤立に近い状態にあるという地区から訪れた男性は「地区には物資が何も届かない状況です。備蓄してあったカップ麺や水などで数日間はしのげたがそれもなくなってしまうともう何も食べるものがありません。親戚も帰省していたので何か調達できればと思い買いに来ました」と話していました。

輪島市 スーパーは仮設売り場で営業再開 商品はどれも100円

輪島市宅田町にあるスーパーでは地震で屋根のガラスや看板が落下するなど大きく損壊し、営業を見合わせていました。

ただ、店内にあった日用品や食料品などの一部は被災をまぬがれたことから、店では仮設の売り場を設けました。

当初、オープンは4日朝9時の予定でしたが、長蛇の列ができたため急きょ8時すぎに営業を再開しました。

被災した人たちが買い求めやすいように商品はどれも100円で販売され、店を訪れた人たちはお茶やお菓子、それにティッシュやガスボンベなどを次々に購入していました。

市内の47歳の母親は「地震のあとおなかの調子が悪い子どものためにパックのごはんを買いました。私もカップめんしか食べられていないのでこのあと避難先で一緒に食べます」と話していました。

また、33歳の男性は「おかしを買ったので、避難所のみんなと分けて食べようと思います。このような形でオープンしてくれてとても心強いです」と話していました。

スーパーの担当者は「店は被災して本格的な再開のめどは立っていませんが、このような形でみなさんに少しでも商品が届けられたらうれしいです」と話していました。

輪島市 「朝市通り」 焼け落ちた建物確認する住民も

200棟以上が焼けたとみられる火災が発生した輪島市の「朝市通り」の周辺では4日も白い煙がわずかに上がっていましたが、火はおおむね消し止められ、消防が1軒1軒回って確認をしていました。

現場では、焼け落ちた建物の様子を確認する住民も見られました。

中華料理店を営んでいた板谷吉生さんは火災のあと初めて店の場所を訪れました。将来、店を再開した時に使えそうな道具を探しにきたということで、板谷さんは1階も2階も焼け落ちた店内から中華鍋などを掘り出していました。

板谷さんは「テレビで火事の様子は見ていたので覚悟はしていましたが、真っ黒に変わり果てた店を目の前にしてがっくりしました。悲しすぎて今は涙も出ません」と話していました。

《富山県》

氷見市 病院断水で地域医療に影響

氷見市の病院では地震の直後から断水が続いていて、地域の医療に大きな影響が出ています。

氷見市にある「金沢医科大学氷見市民病院」では、160人ほどの入院患者がいてこれまで毎日120トンほどの水を使用してきましたが、地震の直後から断水していて、外部からの給水に頼っています。

4日も富山県立山町と神奈川県川崎市の給水車が病院を訪れ、1時間おきに病院のタンクに水を運び入れていました。

1回に給水できるのは2台の給水車であわせて5トンで、朝の7時から夜の8時まで水のピストン輸送を続けているということです。

病院には人工透析が必要な患者も80人ほどいますが、透析には1人1回40リットルの水が必要で、水不足は患者の命に直結するということです。

余震が続く中、給水が途絶えるおそれもあるため断水が解消されるまでは入院患者たちには入浴を控えてタオルで体を拭いてもらったり、トイレを使う頻度を減らしてもらったりしています。

金沢医科大学氷見市民病院総務課の高島拓也主任は「人工透析や食事の提供に水が必要ですし、きょうからは通常の診療も始まり、水の使用量が増えます。早く水道が復旧してほしいです」と話していました。

氷見市 災害廃棄物の受け入れ始まる

能登半島地震の発生から4日目の4日、富山県氷見市では壊れた家具や食器など災害廃棄物の受け入れが始まりました。

今月1日の地震で震度5強を観測した氷見市では住宅などが壊れる被害があり、氷見市鞍川の「ふれあいの森」第2駐車場に壊れた家具や食器など、災害廃棄物の仮の集積所が新たに設けられました。

4日昼から市の職員が分別を促すため種類ごとに看板を設置し、手続きを済ませた住民が、車の荷台などに載せたガラスの破片やブロック塀、それに壊れた棚などを次々と運び入れていました。

廃棄した20代の男性は「地震で棚から落ちた食器が散乱し、片づけていましたが、やっと家から出すことができてよかったです」と話していました。

氷見市環境防犯課の大浅寿治課長は「断水や安否確認などを優先し、ようやく仮置き場を開設できました。地震で壊れた家財道具などを受け入れ、通常の生活環境に戻れるよう支援していきたい」と話していました。

災害廃棄物は2月末まで毎日午前9時から午後4時の間、受け入れる予定だということです。

富山県警 地震の混乱に乗じた空き巣などに警戒

富山県警察本部は地震の混乱に乗じた空き巣などに警戒しパトロールを強化するとともに、外出する際には戸締まりを徹底するよう呼びかけています。

富山県警察本部では地震の混乱に乗じた空き巣などに警戒していて、避難者が多い県の「呉西地区」を中心にパトロールを強化したり、車の移動交番を設置したりしています。

自宅や事業所を空けて外出する際には扉や窓の戸締まりを徹底し現金や貴重品などを置かないよう呼びかけていて、不審な人物を見かけたら警察に通報してほしいとしています。

また、被災した住宅の補修や点検に訪れた業者から高額な料金を請求されるトラブルなども懸念されることから、業者に依頼する際には慎重に検討してほしいとしています。

また、災害に乗じた悪質商法や振り込め詐欺などにも注意するよう呼びかけています。

高岡市 ブルーシート高額売りつけ 「国から依頼」とうそ

富山県高岡市で4日「国から依頼された」などとうそを言ってブルーシートを高額で売りつけようとする業者の訪問が確認され、警察は地震の被害に便乗した悪質商法に注意するよう呼びかけています。

警察によりますと4日午前11時ごろ、高岡市の太田地区で被災した住宅の復旧作業をしていた人のもとに「国から依頼されて家屋の損壊状況を調査している」と名乗る業者が現れました。

業者は、国からブルーシートの販売を依頼されたと言い、10メートルで1万円の高い値段で売りつけようとしてきたということです。

警察によりますと、この業者は富山県外のナンバーの車に乗っていて、国から依頼を受けた事実はないことが確認されたということです。

警察は、被災地では地震の被害に便乗した悪質商法が横行する危険が高まるとして、業者が訪問してきた際は、社員証や本人証明書などを確認するほか、少しでも不審に感じたら身の安全を確保したうえで警察に通報するよう呼びかけています。

高岡市 断続的な雨 復旧作業への影響が懸念

震度5強を観測した高岡市の伏木地区では、道路の至るところで液状化が発生したほか、建物が倒壊するなどの被害が出ています。

伏木地区では、3日から断続的に雨が降り、道路にできた陥没やくぼみに水がたまるなどして路面の状況が悪くなっています。

4日朝は、住民たちが陥没などを避けながら慎重に車を運転する姿が見られました。

道路には液状化で噴き出した泥も大量に残っていて、この雨で泥が水分を含んで重くなるなどして復旧作業への影響が懸念されています。

3つの市 「はたちの集い」式典延期

地震の被害が大きかった富山県内の3つの市では、1月に開催する予定だった「はたちの集い」の式典を延期することを決めました。

富山県の各地では、例年「はたちの集い」の式典を開いていてことしも1月に県内12の市と町が開催を予定していました。

しかし、地震の被害が大きかった氷見市、高岡市、小矢部市では震災後の混乱が続いていることなどを理由に式典を延期することになりました。

このうち高岡市は5月の大型連休中に開く予定だということです。

射水市新湊漁港 初競りを延期 液状化などが影響

今回の地震で震度5強を観測した富山県射水市の新湊漁港では、地震の影響で製氷機が使えなくなり、敷地が液状化したことなどから、4日に予定されていた新年最初の競りを延期し、復旧作業にあたっています。

新湊漁業協同組合によりますと、射水市にある新湊漁港では地震の影響で水道管が壊れて水漏れし製氷機が使えなくなったほか、岸壁や道路が液状化したりひび割れたりしたため、漁港の運用や輸送にも影響が出ているということです。

このため、4日に予定されていた新年最初の競りを延期し、6日の実施を目指して漁港や近くの道路では、重機を使って液状化した場所などの復旧作業が行われていました。

例年は、新年最初の競りでは旬のベニズワイガニやブリ、マグロなどが並び、競り人の威勢のよい掛け声が聞こえますが、4日は静寂に包まれていました。

また漁場では、定置網が一部損傷する被害が確認されたほか、ベニズワイガニ漁に使うかごも損傷している可能性があるということです。

新湊漁業協同組合の、塩谷俊之組合長は、「少しでも早く復旧できるようにというその一念だけです。厳しい状況ですが、少しでも新鮮なものをできる範囲で早く供給していきたいです」と話していました。

《新潟県》

新潟市西区 一部で断水続く

新潟市西区では3日午後9時の時点で408戸で断水が確認されていて市民生活への影響が続いています。

新潟市水道局は4日も区内の4か所で午前7時から午後9時まで給水所を設けています。

このうち、西区役所には近くに住む人たちがペットボトルや非常用の給水袋を持参し、水を持ち帰っていました。

1人で暮らす80代の姉に水を届けるために来たという70代の男性は「姉の自宅は水もガスも止まっていて飲み水もなく、風呂もトイレも使えません。断水などが続き生活は大変で早く直るのを待つだけです」と話していました。

また、近くに住む70代の女性は「きのうから水道の水がよく出るようになりましたが、沈殿物があるので飲み水を確保するために来ました。また大きな地震が来たらさらに影響が出るかもしれないので怖いです」と話していました。

給水は、4日も午後9時まで▼西区役所、▼坂井輪中学校、▼坂井輪小学校、▼立仏小学校で行われています。

新潟市 専門家が液状化の現場調査

新潟市によりますと今回の地震の影響で、新潟市西区では4日午前8時までに液状化現象が52か所で確認され道路や建物などに大きな被害が出ています。

こうした中、新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志(うらべ・あつし)所長など合わせて7人の研究者のグループがきょう現場を訪れ、状況を調べました。

卜部所長らは大きな被害が出ている西区寺尾地区の住宅地などを歩き地面が隆起している現場を写真を撮ったり、住民に話を聞いたりしたうえで地図上に記録していきました。

卜部所長によりますと、緩やかな傾斜地に広がる住宅地で液状化が起き、住宅が傾くなどの被害が多く確認されたということです。

卜部所長は「被害が多かった場所はもともと液状化しやすい地盤だが、思っていた以上に被害が大きく、住宅の被害がかなりの数に及ぶことがわかった。液状化は何度も繰り返すので、次の災害に備えて正確な位置と記録を残さなければ防災につながらない。地元の大学としてしっかりやっていきたい」と話していました。

新潟市 電子部品メーカー工場 液状化被害で清掃作業

地震による液状化現象が相次いでいる新潟市西区では、電子部品メーカーの工場でも土砂が噴き出す被害が出ていて、4日従業員が清掃作業にあたりました。

新潟市西区にある電子部品メーカーは音響機器や医療機器などに欠かせない「水晶振動子」と呼ばれる精密な部品を製造しています。

会社では地震でけがをした従業員はいませんでしたが、液状化によって工場の床が割れ、床が陥没したり土砂が噴き出したりする被害が出ています。

会社は1月9日に仕事始めの予定でしたが、被害を受け、けさから従業員7人が土砂を土のう袋に入れ、運び出す作業に追われていました。

水晶振動子を作る機械はわずかなほこりや傾きでも製造に支障が出るということで、会社ではあすまでに工場内の清掃を終え、機械が正常に作動するか確認したい考えです。

電子部品メーカー「サンリード」の小山孝広専務は「新潟県中越沖地震でもあまり被害がなかったので、大きな被害に驚いている。機械が動かないと今後の経営にも影響するので作動するかどうか不安です」と話していました。

上越市 酒造会社 貯蔵用酒蔵で大きな被害

上越市の酒造会社では、能登半島地震の影響で割れた日本酒の瓶の片づけや、設備の確認に追われていました。

上越市大潟区の「竹田酒造店」は、150年以上前に創業した老舗の酒造会社です。

上越市大潟区では1日の地震で震度5弱の揺れを観測しましたが、貯蔵用の酒蔵で被害が大きく、高さ数メートルに積まれた一升瓶のケースが倒れ日本酒およそ30本に割れるなどの被害が出たということです。

高品質な大吟醸酒を15年間熟成させる予定でしたが、6年たったところで今回の被害を受けてしまいました。

会社では4日が仕事始めで、9時半ごろから集まった従業員が割れた瓶の片づけ作業にあたっていました。

ほかに被害がないか見回ったところ、酒の材料となる醸造アルコールを入れたタンクにも50センチほどのひびが入っていたことが確認され、安全なタンクに移し替える作業を行っていました。

酒造会社の蔵元の竹田春毅さんは「貯蔵して10年後や15年後に販売したかった酒だったので、それができなくなったのは残念だし、さみしい。貯蔵の方法は変えていかなければいけないかなと思っている。心機一転、酒造りの仕込みを頑張っていきたい」と話していました。

上越市 海水浴場でがれきの撤去作業

地震による津波で小屋や店舗などが被害を受けた新潟県上越市の海水浴場では、4日からがれきを撤去する作業が始まりました。

上越市のなおえつ海水浴場では、「海の家」の建設に使われる資材置き場などの小屋10軒ほどが津波によって流されて傾いたり壊れたりしていて、道路やそばの店舗にもがれきなどが流れ込みました。

浜辺には木材や流木、土砂などが散乱していて、市は海水浴場に続く道路を復旧させるため、きょうからがれきの撤去作業を始め、市から委託を受けた作業員らが重機を使って道路の上の木材などを撤去していました。

海の家を運営する業者でつくるなおえつ浜茶屋組合の桑原尚二組合長は、「撤去作業が始まったのはありがたいです。ただ、その後の海の家の再建についてはかかる時間や費用などについて見通しがたっておらず、なんともいいようがない気持ちです」と話していました。