食料尽きる 毛布足りない…救援物資が不足【避難状況は 3日】
“食料はあすにも尽きてしまう”
“毛布が足りない”
一連の地震で、石川県内では、3日午後3時の時点で355か所の避難所が開設され、あわせて3万3000人余りが避難しています。
各地の避難所では、食料や物資が不足しているということで、支援を求める声が相次いでいます。
避難の状況を随時お伝えします。
《石川県》
能登町の避難所 能都中学校で備蓄食料が2日夜に底をつく
石川県能登町では、人口の3分の1ほどにあたる、およそ5200人の住民が避難所に身を寄せていますが、物資が不足してます。
このうち能都中学校では、停電や断水が続く中、備蓄していた食料が2日夜、底をついたということです。
3日に配布できたのは、国から届いたパンや民間の事業者が差し入れた雑炊だけだったということです。
町によりますと、地震の規模が大きかったことや年末年始で帰省していた人たちが多くいたことで避難者が想定を大幅に超えているため、物資の支給が追いつかない状況になっているということです。
一方、この避難所には自衛隊の給水車が到着し、水は確保できていました。
能登町の実家に帰省していた際に被災したという20代の男性は「今後、悪天候で物資が届かなくなったらどうしようかと不安です」と話していました。
珠洲市の避難所 住民が自宅から水やコメなど持ち寄り炊き出し
石川県珠洲市の避難所では水や食料などの物資が不足していて、避難した住民たちが壊れた自宅から水や野菜などを持ち寄り、炊き出しを行うなどして過ごしています。
地震で家屋が倒壊するなどの大きな被害が出た珠洲市宝立町の避難所になっている宝立小中学校には、およそ800人が避難しています。
避難所では水や食料などの物資が不足しているということで、住民たちはお菓子などを分け合ったり、近くの店から配られたカップラーメンなどを食べたりして過ごしているということです。
こうした中、住民たちの一部がみずから炊き出しを行い、800食分の豚汁を作りました。
物資が不足しているため、壊れた自宅からそれぞれ水やコメ、野菜を持ち寄ったほか、近くの店から残っている水を調達したということです。
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輪島中学校の避難所 “食料確保できない状態”
石川県輪島市の輪島中学校に設けられた避難所では、2日、自衛隊から毛布が届いたものの食料を確保することができない状態だということです。
市の職員によりますと、この避難所には3日午前中の時点で1000人ほどの住民が避難しているということです。
2日、自衛隊から毛布が届いたということですが、食料を確保することができず、避難してきた人たちに配布できない状態だということです。
このため日中、いったん自宅などに帰り、毛布や食料品を手にして戻ってくる人たちの姿も見られました。
孫を連れて避難してきた市内の70代の男性は、「食べるものが何もないので、家にあった菓子パンやビスケットを食べて空腹をしのぎました。娘がいる金沢に移動するか、もう一晩ここで過ごすか迷っています」と話していました。
また、市内の実家に帰省中に地震が発生し、母親と避難してきた40代の男性は、「何日も避難所で過ごしていると腰が痛いし体も冷えるので、下に敷く布団を家から持ってきました。夜の寒さが何よりもつらいので、今はストーブがいちばん欲しいです」と話していました。
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珠洲市 “支援物資が届かない避難所も 物資の量も不足”
石川県珠洲市によりますと、3日は石川県から支援物資として1万4000個余りのパンや、250ミリリットル入りのペットボトルの飲料水3600本、それに1万4000個余りの簡易トイレが届き、市内の避難所などに配っているということです。
また、仮設トイレも3日中に30基届くとしています。
しかし、珠洲市では道路が寸断されて孤立している地区が多く、支援物資が届いていない避難所があるうえ、物資の量も不足している状況だということです。
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珠洲市 飯田小の避難所 市職員「食料はあすにも尽きてしまう」
石川県能登地方の各地の避難所では、飲料水などの「水が不足している」という声が上がっています。
このうち、珠洲市飯田町にある飯田小学校の避難所にいる市の職員によりますと、断水のため、飲み水だけでなくトイレや手洗いに使用するものも含めて水が極めて不足しているということです。
自衛隊の給水車が来るという連絡があったものの、いつくるのかはわからず、状況はひっ迫しているということです。
この避難所にはおよそ800人が避難していて、食料は少しずつ分け合うなどの工夫をしていますが、このままでは4日にも尽きてしまうということです。停電などが続き、調理ができないため、そのまま食べることができるものが必要だということです。
また、灯油ストーブの燃料も不足しているほか、毛布も事前に確保していたのが100枚ほどで、避難している人に対して大幅に不足しているということです。
穴水町にあるグループホーム「ふきのとう」の避難所では、およそ20人の入所者のほか、避難して来た住民およそ30人が滞在しているということです。
この避難所にいる近くに住む女性によりますと、この避難所では電気が使えるので入所している高齢者などの暖をとることができているということです。しかし、ここでも飲み水やトイレを流すための水が不足していて、給水などの支援を待っているということです。
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七尾市の避難所 “毛布が足りない”
七尾市の矢田郷地区コミュニティーセンターでは乳児室を含めて9つの部屋を避難所として使っています。
日中はおよそ500人の住民が避難していて、夜になると800人ほどが過ごしているということです。
避難所では食料や飲料水などは補充ができている一方で、寝る際に使う毛布が足りない状態だということです。
避難所の責任者の矢田郷地区まちづくり協議会の飯田伸一会長は「施設では暖房が使えるうえトイレも貯水槽があり、あと3日ほどは使えるので多くの住民が避難しています。しかし毛布が足りていません。避難する人にはなるべく毛布を持参するよう呼びかけています」と話していました。
石川県 能登空港 空港の利用客や住民などが避難続ける
石川県輪島市にある能登空港のターミナルビルでは、地震の発生から24時間以上がたった2日夜の時点でも、空港の利用客や住民などが避難を続けていました。
通常であれば施設が閉まる夜間も、到着ロビーなどが開放されていて、毛布を敷いて夜を過ごす家族連れの姿がありました。
自宅がある石川県加賀市から珠洲市の実家に帰省していたという20代の男性は、地震が起きた日の夜は車の中で過ごし、昨夜から3人の子どもや自身の兄弟とともに空港に避難したということです。
男性は「石川県では前にも地震がありましたが、今回はすごかった。空港が開放されているのはありがたいです。子どもも一緒なので、早く家に帰りたいです」と話していました。
一方、空港の駐車場には多くの車がとめられていて、車内で過ごす人も見られました。
穴水町に自宅がある50代の男性は「空港の中にはたくさん人がいるので、自分は車で過ごそうと思います。きのうも車で過ごしていてストレスはあります。雨が落ち着いたら自宅の様子を見に行きたいです」と話していました。
石川県 3万3000人余りが避難(3日午後3時時点)
石川県内では、3日午後3時の時点で355か所の避難所が開設され、あわせて3万3000人余りが避難しています。
自治体別に見ると、
▼輪島市が95か所で9863人
▼珠洲市が21か所で6981人
▼能登町が65か所で5200人
▼穴水町が52か所で3828人
▼七尾市が32か所で3521人
▼志賀町が15か所で2650人
▼中能登町が10か所で600人
▼内灘町が7か所で300人
▼羽咋市が7か所で178人
▼宝達志水町が18か所で113人
▼金沢市が16か所で111人
▼津幡町が5か所で78人
▼加賀市が2か所で12人
▼かほく市が9か所で3人
▼小松市が1か所で3人となっています。
厚労省 食中毒への注意呼びかけ
厚生労働省は避難所では多くの人が近接して生活する状況にあるため、食中毒が発生した場合、規模が大きくなり重篤化するおそれがあるとして、今回の地震で被災した自治体に食中毒の発生予防に努めるよう通知を出しました。
避難所で生活している人に向けては、寒い時期でもノロウイルスなどによる食中毒が起きる可能性があるとして、配布された食品はできる限り早めに食べるなど、衛生管理に気をつけてほしいとしています。
その上で食事の前やトイレの後は手洗いや手の消毒を徹底するよう呼びかけています。
《富山県》
富山県 5つの市で490人が避難(3日午前10時半時点)
富山県によりますと、3日午前10時半の時点で5つの市で41か所の避難所が開設されていて、あわせて490人が避難しています。
高岡市が最も多く177人、ついで氷見市が165人、射水市が120人などとなっています。
ほか、富山市で17人、小矢部市で11人が避難しています。
林官房長官「全力で救難救助活動を続ける」
林官房長官は記者会見で、避難している人の数がきょう午前6時時点で石川県や新潟県などであわせて484か所の3万2608人にのぼっているほか、建物の倒壊がきょう午前8時時点で石川県の輪島市や珠洲市を中心に200軒以上確認され、今後さらに増える見込みだと説明しました。
その上で「輪島市と珠洲市を含めて孤立地域が発生していると承知しており、警察や消防のヘリを活用して把握に努めているが、具体的な状況などは情報収集中だ。刻一刻と時間が過ぎており、全力で救難救助活動を続けていく」と述べました。