ロシア軍が各都市に大規模攻撃 16人死亡 揚陸艦破壊の報復か

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは29日、首都キーウをはじめ各地の都市に対し、ミサイルなどによる大規模な攻撃が行われ、ウクライナ政府はこれまでに16人が死亡したとしています。ロシア軍は3日前にウクライナによるミサイル攻撃で大型揚陸艦を破壊されていて、今回の攻撃は報復の可能性もあります。

ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、首都キーウのほか、東部の都市ドニプロやハルキウ、西部のリビウや南部のオデーサなど各地の都市に対し、ロシア軍によるミサイルなどを使った大規模な攻撃が行われたと、SNSで明らかにしました。

そして、被害を受けたのは、産婦人科の病院や教育施設、ショッピングセンターなど民間の施設だったとして「テロリストの攻撃には必ず反撃する」と強調しました。

また、ウクライナの検察当局は、一連の攻撃でこれまでに16人が死亡し、97人がけがをしたと明らかにした上で、ミサイルなどの数は合わせておよそ150発に上ったとしています。

一方、ロシア軍は、大規模な攻撃を行って、すべての標的に損害を与えたと発表し、3日前の26日に、南部クリミアでロシア軍の大型揚陸艦「ノボチェルカスク」がウクライナによるミサイル攻撃で破壊されたことへの報復の可能性もあります。

ゼレンスキー大統領「テロリストには必ず反撃する」

ウクライナ各地の都市に大規模なミサイル攻撃が行われたことについて、ゼレンスキー大統領は29日、SNSで「合わせておよそ110発のミサイルがウクライナに撃ち込まれた」と明らかにしました。

この中でゼレンスキー大統領は、攻撃には無人機や巡航ミサイルなど複数の種類の武器が使用されたとした上で、大半を撃墜したものの、産婦人科の病院や教育施設、ショッピングセンターなどが被害を受け、死傷者が出ているとしています。

また、ゼレンスキー大統領は、被害を受けた場所の動画や写真も投稿していて、建物から炎や煙が上がる様子や、崩れた建物に取り残されたとみられる市民の姿などが確認できます。

ゼレンスキー大統領は「テロリストの攻撃には必ず反撃する。われわれは、国家や国民のために戦い続ける」と述べ、ロシア側を強く非難しました。

首都キーウ 市中心部のビルではガラスなど散乱

29日のロシアによるウクライナへの大規模な攻撃では、首都キーウの少なくとも3つの地域で建物が被害を受けました。

このうち、市の中心部にあるオフィスなどが入るビルでは、ガラス張りの壁面などが激しく壊れ、ガラスの破片や1メートルほどあるがれきが周囲に散乱していて、作業員が片づけにあたっていました。

また、このビルのそばの路上に止まっていた複数の車も、フロントガラスが割れるなどしていて、所有者の1人の46歳の女性は「運転中に防空警報が出て地下に避難したが、強い地響きを感じた。警報が解除されてから地上に出ると、車の窓ガラスが粉々に割れていた」と話していました。

また、駅に買い物に来ていたという37歳の男性は「警報が出たので駅の中に避難した。けがもなく無事でよかった」と話していました。