自民 池田佳隆衆院議員の事務所捜索 政治資金問題 東京地検

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は27日、政治資金規正法違反の疑いで安倍派から4000万円を超えるキックバックを受けていたとみられる池田佳隆衆議院議員の事務所など、関係先を捜索しました。自民党の派閥をめぐる一連の問題で議員側が強制捜査を受けるのは初めてで、特捜部は議員側の認識など詳しい経緯について実態解明を進めるものとみられます。

捜索を受けたのは、
▽東京 千代田区の衆議院第二議員会館にある自民党の池田佳隆衆議院議員の事務所や、
▽東京 港区の議員宿舎、
▽名古屋市天白区にある地元事務所などで、
議員会館の事務所には、午前10時40分すぎに東京地検特捜部の係官数人が入りおよそ5時間にわたって捜索しました。

自民党の安倍派「清和政策研究会」では、所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入を議員側にキックバックし、その分を派閥の政治資金収支報告書にパーティーの収入として記載しない運用が組織的に行われた疑いがあり、特捜部は今月19日、政治資金規正法違反の疑いで安倍派の事務所を捜索し、捜査を進めています。

関係者によりますと、安倍派では大半の所属議員側にパーティー収入の一部がキックバックされていましたが、池田議員側は、その中でも高額の去年までの5年間で4000万円を超えるキックバックを受け、議員側の政治団体が収支報告書に収入として記載していない疑いがあるということです。

一連の問題で議員側が強制捜査を受けるのは初めてです。

池田議員の資金管理団体は、今回の問題が明らかになったあと、去年までの3年間に、記載していない安倍派からの寄付が合わせておよそ3200万円あったとして、収支報告書を訂正し、事務所は「清和政策研究会より受領した金銭について、党から同会を経て支払われる政策活動費であると認識して、政治資金収支報告書には記載していませんでした」などとコメントしていました。

池田議員は、比例代表・東海ブロック選出で当選4回。
おととし10月から去年8月まで文部科学副大臣を務めました。

関係者によりますと、池田議員はすでに、特捜部の任意の事情聴取を受けていて、特捜部は、捜索で押収した資料を分析するなどして、議員側の認識など詳しい経緯について実態解明を進めるものとみられます。

林官房長官「捜査機関の活動内容に関わる事柄 答え差し控える」

林官房長官は記者会見で「捜査機関の活動内容に関わる事柄なので、政府として答えることは差し控えたい。おととい、岸田総理大臣は自民党総裁として党役員と意見交換を行い、年明けのできるだけ早い時期に党の信頼回復のための組織を立ち上げるなど、きぜんとした対応をとっていくことを確認し、今後この方針に沿って対応が行われるものと考えている」と述べました。

そのうえで「政府としても政治に対する不信や物価高、少子化対策など国民のさまざまな声を真摯(しんし)に受け止めながら、国政に遅滞が生じないよう内政・外交の諸課題に全力で取り組み、一つ一つ結果を出していきたい」と述べました。

自民 渡海政調会長「国民の不信解消のため全力挙げて努力」

自民党の渡海政務調査会長は、党本部で記者団に対し「政治全体の問題に広がることであり、深刻に考えないといけない。国民の不信解消のため全力を挙げて努力をする」と述べました。

自民 閣僚の1人「非常にまずい状況だ」

自民党の閣僚の1人はNHKの取材に対し「非常にまずい状況だ。来年の通常国会まで事件に関係する報道が続くことになれば、支持率に直結し、政権運営も困難になってくるかもしれない」と述べました。

安倍派 幹部の1人「捜査には最大限協力」

安倍派の幹部の1人はNHKの取材に対し「個別の議員側に対する捜査について現時点でコメントはできない。ただ派閥としては一連の案件について重大に受け止め、捜査には最大限協力し、真摯に対応していく立場は変わらない」と述べました。

安倍派 閣僚経験者の1人「捜査の進展をまずは見守りたい」

安倍派の閣僚経験者の1人はNHKの取材に対し「捜査中の案件なのでコメントは控える。捜査の進展をまずは見守りたい。それまでは派閥としての今後の行く末も見通せない状況だ」と述べました。

自民 閣僚経験者の1人「国民の不信さらに強まること心配」

自民党の閣僚経験者の1人はNHKの取材に対し「捜査の行方を見守るしかないが、議員会館に強制捜査が入られるような事態はあってはならないことだ。国民の不信がさらに強まることを心配している」と述べました。

立民 泉代表「異常事態 総理は指導力発揮すべき」

立憲民主党の泉代表は、記者団に対し「年末に議員会館に捜査が入るのは異常事態だ。池田議員は臨時国会の終盤も雲隠れを続け、説明責任も国会議員としての職務も全く果たしていない。検察は竜頭蛇尾にならないよう徹頭徹尾、国民の期待に応える捜査をして裏金を一掃するよう真相を究明してほしい」と述べました。

そのうえで「岸田総理大臣には各議員に説明させるよう求める責任があり、今こそ指導力を発揮すべきだ。議員に説明を命じず、年が明けてから自民党に新しい組織をつくるのはあまりに緩い態度だ。来年の通常国会では、政治資金規正法の改正を議論していくことになるので、野党でまとまり、力を合わせて対応していきたい」と述べました。

公明 山口代表「岸田首相に自民党総裁として指導力発揮を」

公明党の山口代表はNHKの取材に対し「派閥だけではなく、議員個人の事務所にも強制捜査が行われ、新たな段階に入った。全容を徹底的に解明して事実を明らかにしたうえで、再発防止策を確立しなければならないし、行政の遅滞を招かないよう取り組むことも重要だ。議員自身に真実を明らかにする努力を期待したいし、岸田総理大臣にも自民党総裁として指導力を発揮してほしい」と述べました。

共産 小池書記局長「議員会館捜査は極めて重大」

共産党の小池書記局長は記者団に対し「議員会館に検察の捜査が入ったことは極めて重大で、現職の国会議員が嫌疑をかけられていることは非常に重い問題だ。池田議員は包み隠さず、洗いざらい真相を明らかにする責任がある。岸田総理大臣は、捜索が行われていることをきちんと受け止め、国民に説明するとともに厳しい処分を行うことを含め対応を求めたい」と述べました。

国民 玉木代表コメント “深刻かつ異例の事態”

国民民主党の玉木代表はコメントを発表し「議員会館に捜索が入るのは深刻かつ異例の事態だ。国民の政治に対する信頼を著しく失墜させた自民党の責任は重い。今回の裏金問題は、組織的な関与が疑われており、自民党総裁である岸田総理大臣は、みずからが先頭に立って全容解明に向けた指導力を発揮すべきだ」としています。