イスラエル 司令部破壊を発表 南部中心都市制圧も数か月必要か

ガザ地区への地上侵攻を続けるイスラエル軍は、北部でイスラム組織ハマスの中核的な司令部だと主張する地下トンネル網を発見し破壊したと発表しました。一方、イスラエル軍が攻勢を強めている南部では、軍の予想を上回る多くのトンネルや武器が見つかっていると伝えられ、南部の中心都市の制圧にも北部と同様に数か月が必要になるという見方も出ています。

イスラエル軍のハガリ報道官は24日、制圧を進めるガザ地区の北部ジャバリアで地下数十メートルの深さにあるトンネル網を新たに発見したと発表しました。

トンネルでは武器の製造施設やハマス幹部のための緊急避難所が内部に見つかったほか、10月7日の大規模な攻撃を指揮したとされる北部地区の司令官の自宅につながっていたということです。

また、トンネル内からはイスラエル人の人質5人の遺体も収容され、イスラエル軍はこのトンネルがハマスのガザ地区北部での中核的な司令部だと主張し、破壊しました。

イスラエル軍は、北部をほぼ制圧したとしてハマスの指導部が潜伏しているとみている南部で攻勢を強めていて、南部のハンユニスでは24日、幹部の潜伏先とする建物を戦闘機で爆撃した様子などを映像で公開しました。

一方で、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは24日、南部で軍の予想を上回る多くのトンネルや武器が見つかっていて、部隊を指揮する軍の幹部は、ハマスの軍事ネットワークの広さに驚いていると報じました。

その上でハンユニスを制圧するまでには北部と同様に、数か月が必要になるという見方を伝えています。

ハマス指導者「イスラエル軍 人命と装備で多大な損害」

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは25日、ハマスのシンワル指導者が、ガザ地区への地上侵攻を続けるイスラエル軍が人命と装備の面で多大な損害を被っていると指摘する報告をハマス内部の政治部門に行ったと報じました。

報告の中で、シンワル指導者はハマスの軍事部門、カッサム旅団がイスラエル軍を地上戦で撃破し続けており、占領者には屈しないと述べたほか、ガザ地区のパレスチナ人の不屈の精神を称賛し、人々の気持ちを強くすることが政治部門の義務だと強調したということです。

イスラエル軍が南部で攻勢を強めるなか、報告の存在が明るみに出たシンワル指導者がその健在ぶりを示した形となりました。