【25日詳細】ネタニヤフ首相「完全に勝利するまで戦う」

ガザ地区への地上侵攻を続けるイスラエルのネタニヤフ首相は、24日の閣議で「ハマスとの戦いは長期戦になるが最後まで戦い続ける」と述べて強硬な姿勢を示し、引き続きガザ地区への激しい攻撃を続ける構えです。ガザ地区の保健当局は24日、過去24時間だけでガザ地区では166人が死亡し、これまでに2万424人が死亡したと発表しました。

イスラエルやパレスチナに関する日本時間12月25日の動きを、随時更新してお伝えします。

ハマス指導者“イスラエル軍 人命と装備に多大な損害”

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは25日、イスラム組織ハマスのシンワル指導者がガザ地区への地上侵攻を続けるイスラエル軍が人命と装備の面で多大な損害を被っていると指摘する報告をハマス内部の政治部門に行ったと報じました。

報告の中で、シンワル指導者はハマスの軍事部門、カッサム旅団がイスラエル軍を地上戦で撃破し続けており、占領者には屈しないと述べたほか、ガザ地区のパレスチナ人の不屈の精神を称賛し、人々の気持ちを強くすることが政治部門の義務だと強調したということです。

イスラエル軍は、北部をほぼ制圧したとしてハマスの指導部が潜伏しているとみている南部で攻勢を強めていますが、報告の存在が明るみに出たシンワル指導者がその健在ぶりを示した形となりました。

イスラエル軍 “ガザ北部でハマス司令部トンネル網を破壊”

イスラエル軍のハガリ報道官は24日、制圧を進めるガザ地区の北部ジャバリアで地下数十メートルの深さにあるトンネル網を新たに発見したと発表しました。

トンネルでは武器の製造施設やハマス幹部のための緊急避難所が内部に見つかったほか、10月7日の大規模な攻撃を指揮したとされる北部地区の司令官の自宅につながっていたということです。

また、トンネル内からはイスラエル人の人質5人の遺体も収容され、イスラエル軍はこのトンネルがハマスのガザ地区北部での中核的な司令部だと主張し、破壊しました。

イスラエル軍は、北部をほぼ制圧したとしてハマスの指導部が潜伏しているとみている南部で攻勢を強めていて、南部のハンユニスでは24日、幹部の潜伏先とする建物を戦闘機で爆撃した様子などを映像で公開しました。

一方で、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは24日、南部で軍の予想を上回る多くのトンネルや武器が見つかっていて、部隊を指揮する軍の幹部は、ハマスの軍事ネットワークの広さに驚いていると報じました。

その上でハンユニスを制圧するまでには北部と同様に、数か月が必要になるという見方を伝えています。

“市民の命守るため年内での停戦を” 日本の支援団体会見

イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への地上侵攻が続く中、日本のNGOなどが会見を開き、十分な支援活動ができない状況だとしたうえで、市民の命を守るために年内での停戦を訴えました。

会見はガザ地区での支援活動を行ってきたNGOなど6つの団体が国内のおよそ160の団体の賛同を得て、25日、東京都内で開きました。

この中で、国際NGO「国境なき医師団日本」の金杉詩子さんは「市民への人道支援すら許されないガザの状況はこれまで紛争地で医療活動を行った医師から見ても越えてはいけない一線を越えている。医療活動が守られ、支援物資が届くような体制が必要だ」と現地の惨状を訴えました。

また、国際NGO「ピースウィンズ・ジャパン」の内海旬子さんは、「ガザから届く人々の悲鳴が大きくなっているのに、搬送中のリスクが大きく十分な支援物資を届けることができず、とても苦しく思っている。この戦闘を私たちだけで止めることはできず、世界に訴えて一刻も早い停戦を求めたい」と呼びかけました。

会見を開いた団体は、一刻も早い停戦を求めて今後、国会議員への働きかけや署名活動などを行っていくということです。

“キリスト生誕の地”ベツレヘムでクリスマスミサ 平和を祈る

イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突で犠牲者が増え続けるなか、中東のベツレヘムでクリスマスのミサが行われ、人々は平和への祈りをささげました。

パレスチナ暫定自治区のベツレヘムにはキリスト生誕の地に建つとされる「聖誕教会」があり、25日、恒例のクリスマスのミサが行われました。

ミサのなかでピッツァバッラ総大司教は「ことしのクリスマスには喜びと平和はない。2万人以上が犠牲になり、多くの人が避難生活を送るガザ地区に思いをはせている。政治的なことに立ち入りたくはないが、言わねばならない。停戦について話すだけでなく暴力の応酬を完全に止めなければいけない。暴力は暴力を生み出すだけだ」と説きました。

10月7日のハマスによる大規模な攻撃以降、イスラエルとハマスの衝突が続き、ガザ地区の保健当局によりますとイスラエル軍の攻撃でパレスチナ人2万人以上が死亡しています。

また、国連機関のまとめではヨルダン川西岸と東エルサレムでもイスラエルの治安部隊との衝突などでパレスチナ人293人が死亡し、死者の数は2005年以降で最悪の水準となっています。

かつてない規模の犠牲者が出るなかで、教会に集まった地元のキリスト教徒や各地からの巡礼者は平和への祈りをささげていました。

難民キャンプでイスラエル軍の攻撃 “70人死亡”と発表

ガザ地区の保健当局は24日、ガザ地区中部にあるマガジ難民キャンプでイスラエル軍による攻撃があり、これまでに70人が死亡したと発表しました。

保健当局の報道官は「人口が密集する地域での集団虐殺だ」などと攻撃を非難しています。

ガザ地区 これまでに2万424人が死亡

イスラエル軍は24日、南部ハンユニス中心部で地下トンネルを使って攻撃を仕掛けてくるハマスの戦闘員との間で激しい戦闘となり、空爆を行うなどして複数の戦闘員を殺害したとしています。

一方のハマスは、イスラエル軍が「ほぼ制圧した」とするガザ地区の北部でもイスラエル軍の兵士や車両に打撃を与えたとして、戦闘を続けていると主張しています。

ガザ地区の保健当局は24日、過去24時間だけでガザ地区では166人が死亡し、これまでに2万424人が死亡したと発表しました。

ネタニヤフ首相 “ハマス壊滅まで軍事作戦を止めることはない”

今後の軍事作戦について同盟国のアメリカが小規模な作戦への移行に向けてイスラエル側と協議をするなか、ネタニヤフ首相は24日の閣議の冒頭、「アメリカのバイデン大統領には、どれだけ時間がかかっても完全に勝利するまで戦うと伝え、理解を得ている」と述べました。

そのうえで「作戦上の決定はわれわれの判断に基づいて下される。ハマスとの戦いは長期戦になるが、最後まで戦い続ける」と述べて、あくまでもハマスの壊滅まで軍事作戦を止めることはないと国内向けにアピールしました。

閣議では有力な閣僚のひとり、バルカト経済産業相も軍事作戦の進め方について「事前に空爆していない建物に兵士を送り、危険にさらすなどありえない。外圧に屈することは重大な間違いだ」と発言したと伝えられていて、イスラエル国内では地上侵攻をめぐって強硬な意見が根強いのが実情です。

こうした世論を背景に、イスラエル軍は引き続きガザ地区への激しい攻撃を続ける構えで、ガザ地区での住民の犠牲が増え続けることが懸念されています。

キリスト生誕の地で子どもたちがパレスチナへの連帯呼びかけ

クリスマスイブの24日、イエス・キリストが生まれたとされるパレスチナ暫定自治区のベツレヘムでは、地元の子どもたちが世界に向けて犠牲者が増え続けるパレスチナへの連帯を呼びかけました。

ヨルダン川西岸のベツレヘムでは、キリストが生まれたとされる場所に建てられた「聖誕教会」の前の広場で、地元パレスチナの子どもたちが世界の子どもたちに向けてメッセージを読み上げました。

5人の子どもたちは、犠牲者が増え続けるガザ地区やヨルダン川西岸の状況を英語やフランス語など5つの言語でかわるがわるに訴えていました。

このうち、ベツレヘムに住む14歳の少女は英語でメッセージを読み上げ、「私の家族や隣人は攻撃にさらされ、平和を求めている。人類のために変化を起こそう。手を取り合って声をあげよう。ガザの子どもたちに自由を」とパレスチナへの連帯を呼びかけました。

また、集まった人々は長さがおよそ20メートルの巨大なパレスチナの旗を広場の中心に広げて、イスラエルの攻撃に対する抗議の意思を示していました。

クリスマスは、もともとキリストの生誕を祝う祭りということもあり、ベツレヘムは例年、この時期は世界中から訪れる多くの観光客でにぎわいますが、ことしは名物となっていた巨大なクリスマスツリーも広場に飾らず、宗教の行事以外の催しを自粛しています。