「寺尾ありがとう」大相撲 錣山親方の告別式 ファン別れ惜しむ

大相撲の元関脇・寺尾の錣山親方の告別式が都内で営まれ、関係者やファンが別れを惜しみました。

現役時代、細身の体から繰り出す激しい突っ張りを持ち味にファンの人気を集めた錣山親方は、引退後は元小結・豊真将の立田川親方や去年の九州場所で初優勝した小結の阿炎などを育て、今月17日、うっ血性心不全で60歳で亡くなりました。

23日は東京・江東区の錣山部屋で告別式が営まれ、元横綱・大乃国の芝田山親方や同じ井筒部屋だった元大関・霧島の陸奥親方など大相撲関係者を中心に、およそ400人が参列しました。

焼香に続き、親族や関係者がひつぎの中に花を手向けたあと、立田川親方や弟子たちなどの手でひつぎが運び出され、阿炎は何度も涙を拭うしぐさを見せていました。

そして、親族を代表し、錣山親方の長男、福薗晴也さんが「身内がこのようなことを言うと怒られることを承知していますが、本当に優しくて、いい人でした。これからも思い出してもらえると幸いです」とあいさつしました。

告別式には多くのファンも訪れ「寺尾ありがとう」と現役時代のしこ名で声をかけて、別れを惜しんでいました。

大関・霧島 最後に感謝の思い伝える

大関・霧島は亡くなった錣山親方の思い出を聞かれ「大関昇進のパーティーの後、部屋にあいさつに行った時『よかったな、けがしないように頑張ってくれ』と言われて心に残っている」と話していました。

そして、最後にどういうことばをかけたかを聞かれると、「今まであたたかいことばをかけてくれて本当にありがとうございました」と感謝の思いを伝えたということです。

元関脇の豊ノ島さん「本当に尊敬する力士」

告別式に参列した元関脇で現在はタレントの豊ノ島さんは「調子が悪いとは聞いていたが、亡くなったと聞いたときは信じがたかった」と話しました。

その上で「自分が入門した時が引退される時期で、出稽古に行ったときに声をかけてもらってかわいがってもらった。回転の速い突っ張りという、小さい力士にはいないタイプで本当に尊敬する力士だった」としのんでいました。

そして「相撲界を代表する人気力士だった親方のような力士が弟子の中から出てきてくれれば親方も喜ぶと思う。阿炎を筆頭に頑張ってほしい」と話していました。

元格闘家の高田延彦さん「人生を彼らしく全うしたと思う」

錣山親方と20代の頃から親交があったという元格闘家の高田延彦さんはここ10年ほど、会っていなかったということで「受け止められない。なんで連絡を取らなかったのかを悔やむそんな日々だ」と話しました。

錣山親方の人柄については「むくな少年がそのまま大人になった感じだ。2人でばかばっかりやっていたが楽しかった。10年くらい時を巻き戻して会っていなかった時間を埋めて『大人のばか』をやり続けたかった」と述べました。

相撲については「きっぷがよくて強い相手でも大きい相手でもまっこうから向かっていった。テレビの画面越しに勇気をもらっていた」と振り返っていました。

そして「早すぎるし、悔しいし、残念だが、相撲取りとしての寺尾、親方としての錣山親方はその人生を彼らしく全うしたと思う」と話していました。