松野氏 高木氏 萩生田氏らに任意聴取要請 政治資金 東京地検

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部が、松野博一前官房長官や、高木毅国会対策委員長、萩生田光一政務調査会長ら安倍派の複数の幹部側に任意の事情聴取を要請したことが関係者への取材で新たにわかりました。安倍派ではパーティー収入の一部を裏金化する運用が組織的に行われていた疑いがあり、特捜部は、派閥の幹部としての認識や、キックバックを受けた議員側としての認識について、それぞれ確認を進めるものとみられます。

最大派閥の安倍派「清和政策研究会」や二階派「志帥会」では、所属議員がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分の収入を議員側にキックバックし、その分を派閥の政治資金収支報告書にパーティーの収入として記載していなかった疑いがあり、東京地検特捜部は政治資金規正法違反の疑いで安倍派と二階派の事務所を捜索し、捜査を進めています。

このうち安倍派では、派閥の幹部6人を含む大半の所属議員側に、パーティー収入の一部がキックバックされ、特捜部はこれまで、キックバックされた金額が多い複数の議員などから任意で事情を聴いていますが、新たに、安倍派幹部の松野博一前官房長官、高木毅国会対策委員長、萩生田光一政務調査会長ら複数の幹部側に対しても任意の事情聴取を要請したことが関係者への取材でわかりました。

派閥の運営を取りしきる安倍派の事務総長は、松野前官房長官が2019年9月からおととし10月まで、去年8月からは高木国会対策委員長が務めています。

安倍派では、パーティー収入の一部を裏金化する運用が組織的に行われていた疑いがあり特捜部は、派閥の幹部としての認識や、キックバックを受けた議員側としての認識について、それぞれ確認を進めるものとみられます。

安倍派の座長 塩谷元文科相「非常に重大に受け止め」

自民党安倍派の座長を務める塩谷 元文部科学大臣は、国会内で記者団に対し「非常に重大に受け止めている。捜査がどのように進展していくか把握しながら、適切に対応していく」と述べました。

一方、自身に事情聴取の要請はあるのかを問われ「まだだ」と述べました。

安倍派の事務総長 高木国対委員長「適切に対応していく」

自民党安倍派の事務総長を務める高木国会対策委員長は、国会内で記者団から「聴取の要請があったのか」と問われたのに対し、「派閥の政治資金に関しては刑事告発され、現在、捜査も行われているので、事実関係をしっかりと調査・確認して適切に対応していく」と述べました。

安倍派 野上参院国対委員長「捜査に最大限協力 真摯に対応」

自民党安倍派の事務総長代理を務める野上参議院国会対策委員長は、国会内で記者団に対し「具体的なことは承知していないが、派閥に対する強制捜査があったことなどを深刻に受け止めなければならず、大きな政治不信を招いていることは誠に申し訳ない。政策集団として捜査に最大限協力して真摯(しんし)に対応していくことが重要だ」と述べました。

また、パーティー券収入のキックバックを受けたことがあるかを問われ「捜査が行われている案件なので、事実関係を慎重に確認して適切に対応したい」と述べました。

立民 泉代表「洗いざらい話してもらいたい」

立憲民主党の泉代表は、東京都内で記者団に対し「捜査に協力すると言ってきたわけだから、洗いざらい話してもらいたい。収支報告書への意図的な不記載が何年も続いてきたならば、政治資金規正法に真っ向から反する行為で、国民から批判されて当然だ」と述べました。

そのうえで、岸田総理大臣の責任について「当然ある。ひと事だと思っているかもしれないが、決してそうではなく、岸田内閣には強制捜査を受けた派閥の人物が入っている。自浄作用を働かせなければならず、そうでなければ『退陣せよ』となる」と述べました。

立民 長妻政調会長「首相の知る情報 国民に説明する義務」

立憲民主党の長妻政務調査会長は、党の調査チームの会合で「岸田総理大臣の側近だった松野前官房長官が任意の事情聴取を要請されたということだ。岸田総理大臣は一連の問題について『火の玉になって取り組む』と言っているならば、知っている情報を国民に説明する義務がある」と述べました。

立民 斎藤参院国対委員長「憲政史上に残るような出来事」

立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長は記者団に対し「先の国会で立憲民主党は当時の松野官房長官に対する不信任決議案を提出したが、それを与党が否決した。信任されたはずの松野氏が任意とは言え、検察から事情を聴かれることになれば本当に遺憾だ。憲政史上に残るような極めて大きな出来事だと言わざるをえない」と述べました。

公明 北側副代表「大いに反省し派閥のあり方議論を」

公明党の北側副代表は記者会見で「自民党は大きな政党なので政策集団的なものがあるのはしかたないが、大いに反省して派閥のあり方も議論していただきたい。また、派閥に任せず党として事実関係の解明に努め、再発防止に向けた方向性も出してもらいたい。公明党もひと事ではなく、政治資金規正法の見直しも含めて論議し、通常国会が始まるまでに考え方を取りまとめたい」と述べました。