来年度予算案 一般会計の総額 2年連続で110兆円超の見通し

政府の来年度、2024年度予算案の編成は鈴木財務大臣と各大臣による閣僚折衝が終わり、焦点となっていた診療報酬の改定率などが決まりました。
来年度予算案は一般会計の総額が2年連続で110兆円を超える見通しとなっていて、政府は22日に閣議決定する方針です。

鈴木財務大臣と各大臣との閣僚折衝は2日間にわたって行われました。

診療報酬や介護報酬の改定率について

20日の午前中はまず、武見厚生労働大臣との間で、焦点となっていた診療報酬や介護報酬の改定率について協議が行われました。

その結果、診療報酬は本体を0.88%引き上げる一方、薬価は1%引き下げて、全体でマイナス改定とし、介護報酬は1.59%のプラス改定とすることが決まりました。

少子化対策強化のための費用を計上

加藤こども政策担当大臣との折衝では、児童手当の拡充や保育士の配置基準の見直しなど、政府の「こども未来戦略」に盛り込む少子化対策の強化のための費用を計上することで合意しました。

【児童手当】
来年12月に振り込まれる支給分から所得制限を撤廃し、今は中学生までとなっている支給対象を18歳まで広げます。
3人以上の子どもを扶養する世帯に対しては、第3子以降は月額3万円に増やし、第1子が22歳に達する年度まで増額措置を継続することとします。

【保育の質の向上】
4・5歳児の保育士の配置基準を来年度から、「子ども30人に1人」から「25人に1人」に見直します。

【学童保育】
職員の人手不足の解消につなげるため、常勤の職員を1クラス当たり2人以上配置した施設について、補助金の額を引き上げます。

【ひとり親世帯を対象にした児童扶養手当】
再来年1月に振り込まれる支給分から要件を緩和し、満額を受け取れる年収の上限を160万円未満から190万円未満に、所得に応じて減額しての支給が受けられる年収の上限を365万円未満から385万円未満に、それぞれ引き上げます。

このほか、子育て世帯への包括的な相談・支援にあたる「こども家庭センター」の整備や、地域の保育所などで障害児や「医療的ケア児」の受け入れを進めるために必要な費用を盛り込むことでも合意しました。

地方交付税の配分額 今年度より3000億円多い18兆7000億円

松本総務大臣との折衝では、地方交付税の国から地方に配分する額を今年度より3000億円多い18兆7000億円とすることが決まりました。

また、政府の経済対策で生じる住民税の減税に伴う自治体の減収分を全額国費となる地方特例交付金で補填(ほてん)することになりました。

地方交付税の財源の一部となっている所得税の減税についても、自治体に影響が出ないよう財源を確保しました。

農業 効率的経営の担い手に機械導入費用を補助

坂本農林水産大臣との折衝では、高齢化に伴う生産者の急速な減少に備えて、農地を集約して効率的な経営を行う担い手に農業用機械の導入費用を補助する事業などへの予算措置が認められました。

来年度予算案 政府 22日に閣議決定の方針

関係者によりますと、来年度予算案の一般会計の総額は今年度の当初予算を下回るものの、2年連続で110兆円を超える規模で調整されていて、政府は予算案を22日に閣議決定する方針です。