ENEOS社長 酒に酔い女性に抱きつき解任 度を超えた飲酒と説明

石油元売り最大手のENEOSホールディングスは、齊藤猛社長が懇親会の場で同席していた女性に酒に酔って抱きつくという不適切な行為があったとして解任したと発表しました。

ENEOSをめぐっては、去年も当時の会長が飲食店で女性に対して、性的に不適切な行為を行ったとして辞任しています。

ENEOSの会見

ENEOSの発表によりますと先月末、内部通報の窓口に、齊藤社長が懇親会の席で、酒に酔った状態で女性に抱きつくという不適切な行為があったと連絡があり、調査を行った結果、事実だと認められたということです。

これを受けて、会社では、19日の取締役会で
▽齊藤社長を解任したほか
▽同席していたコンプライアンスを担当する谷田部靖副社長に対し辞任を勧告
▽同じく同席していて、女性に対し不適切な発言をした須永耕太郎常務については月額報酬の30%を3か月間、減額にすることを決めました。

谷田部氏は勧告を受け入れ、副社長を辞任したということです。

会社の社長職については、宮田知秀副社長が新体制の決定までは代行を務めるとしています。

ENEOSをめぐっては、去年8月にも当時の杉森務会長が飲食店で接客をしていた女性に対して、性的に不適切な行為を行ったとして辞任しています。

当時、齊藤社長は、決算発表の会見の場で陳謝し「万一、不祥事が起きた時には、速やかに役員の責任を明確にし、解任や報酬の不支給などの厳正な対応を図る制度を構築していく」などと述べていました。

齊藤社長の解任の理由についてENEOSは「人権尊重やコンプライアンス徹底などの取り組みの陣頭指揮を執るべき立場にあり、齊藤氏の不適切な行為は到底容認しがたく、社長としてふさわしくないと判断した」としています。

齊藤社長 社内調査に対し「度を超えた飲酒」と説明

ENEOSホールディングスの西岡社外取締役は、記者会見の中で、齊藤社長が社内の調査に対して「記憶がない」としたうえで「度を超えた飲酒をしたこと自体が問題であり、自制ができておらず、大変恥ずかしく申し訳ない」と説明していることを明らかにしました。

また「会社の組織風土に問題があったという認識か」と問われたのに対し「どちらかと言うと、会社の幹部の意識が不十分だったというところが一番の問題点だ。社員の中にそういう風土があるという問題ではないと感じている」と述べました。

西岡社外取締役「不祥事連続を踏まえ再発防止策検討」

記者会見した、ENEOSホールディングスの社外取締役を務める西岡清一郎氏は、冒頭「昨年度の元会長の不祥事に続き、2年連続で経営トップによる不適切行為がなされたことは痛恨の極みで、すべてのステークホルダーの皆さんにご迷惑をおかけすることを深くおわび申し上げる」と陳謝しました。

再発防止策については「人権尊重やコンプライアンス徹底の強化を推進する立場の経営層にそういった意識が不足していると認識される。代表取締役の不祥事が連続して発生したことを踏まえて、より実効性のある再発防止策を検討していかなければならない」と述べました。

その上で、後任の社長人事については「現在の人事査定の仕組みに問題があったのか、ほかの対策が必要なのかも含めて、今後、慎重に検討したい」と述べ、社外取締役が過半数を占める指名諮問委員会でコンプライアンスの観点から慎重に検討し、来年2月末をめどに選任する考えを示しました。

齊藤猛社長とは

ENEOSホールディングスの齊藤猛社長は61歳。

1986年に当時の日本石油に入社したあと、主に販売分野を担当し、常務や副社長などを歴任したあと、去年4月から社長をつとめていました。

経団連の環境委員長も務め、今月9日には、UAE=アラブ首長国連邦のドバイで開かれた国連の気候変動対策の会議、COP28で、経団連などが主催するイベントにも出席し、日本の産業界の脱炭素に向けた取り組みをPRしていました。