「餃子の王将」社長殺害事件から10年 全容解明へ捜査続く

京都市で「餃子の王将」を展開する会社の社長が殺害された事件から、19日で10年です。銃撃の実行役として殺人などの罪で起訴された暴力団幹部の裁判を前に、証拠や争点などを絞り込む公判前整理手続きが来年2月から始まる予定で、警察は指示した人物がいるとみて全容解明に向けた捜査を続けています。

10年前の2013年12月19日「王将フードサービス」の京都市の本社前で、社長だった大東隆行さん(当時72)が拳銃で撃たれて殺害された事件では、福岡県の特定危険指定暴力団・工藤会系の暴力団幹部、田中幸雄被告(57)が銃撃の実行役として去年10月に逮捕され、殺人と銃刀法違反の罪で起訴されています。

京都市の本社前の現場では、19日も花束や飲み物などが供えられていました。

田中被告の裁判を前に、裁判所と検察、弁護士の三者で証拠や争点などを絞り込む公判前整理手続きが来年2月7日から始まりますが、捜査関係者によりますと、被告と大東さんとの間に接点は確認されていないということで、警察は指示した人物がいるとみて全容解明に向けた捜査を続けています。

また、会社の第三者委員会が報告書で指摘した、特定の企業グループとの間で不動産売買などの不適切な取り引きが繰り返され巨額の資金が流出した問題について、事件に関係していなかったか関係者から事情を聞いて慎重に調べています。

次女 真弓さん「早く裁判が進んでほしい」

「王将フードサービス」の京都市の本社前の現場には、花束や飲み物などが供えられていました。

19日朝7時半ごろには亡くなった大東さんの次女の真弓さんも訪れて花を手向け「事件があってから、家族は毎日苦しい思いをしていて10年たった今も変わらない。まだ話したいこともあったのに父は一瞬でいなくなってしまって、まだ信じられない気持ちもある。早く裁判が進んでほしい」と話していました。

長男 剛志さん「真相解明を強く望む」

亡くなった大東さんの長男の剛志さんは「一生忘れる事のない、当たり前の日常が一瞬で奪われたあの日から、長い月日がたちました。私たちが受ける果てしない苦しみ、悲しみ、ぶつけどころのない怒り、憎しみから、何年たとうが、解放されることはありません。『なぜ、父の命を奪ったのか』つらく、悲しく、ただただ私たちは生きてきました。心から笑える時は一生ありません。今後、裁判が始まりますが、犯人には極刑以外あり得ません。しかし、極刑が下ったとしても、以前の父との日常に戻ることはありません。警察の方々には、少しでも早く、犯人の背後関係を含め、真相解明を強く望みます」とコメントしています。