福島第一原発 廃液トラブルは 「実施計画」違反 原子力規制庁

福島第一原子力発電所で、複数の作業員が放射性物質を含む廃液を浴びたトラブルについて、原子力規制庁は、東京電力のリスクの検討や現場の確認が不十分だったなどとして、作業ルールや安全対策を定めた「実施計画」の違反にあたると指摘しました。

福島第一原発ではことし10月、汚染水の処理設備で行われていた配管の洗浄作業中にホースが外れて作業員に放射性物質を含む廃液がかかり、皮膚に汚染が確認された男性2人が、除染のため一時入院しました。

18日開かれた原子力規制委員会の会合では、東京電力の担当者が
▽現場で予定していない設備の操作が行われたことが廃液の飛散につながったとする調査結果や
▽入院した作業員2人の被ばく線量はいずれも法令で定める限度を下回ったとする推計結果などを報告しました。

これに対し、原子力規制庁の検査官は、影響としては「軽微」だという暫定的な評価を示した一方
▽業務を計画した段階での東京電力によるリスクの検討が十分でなく
▽作業現場や体制の確認も不十分だったなどとして
作業ルールや安全対策を定めた「実施計画」の違反にあたると指摘しました。

規制委員会の伴信彦委員は「『軽微』というのは結果論でしかなく、もっとひどい汚染になる可能性もあり得た。扱っているものを考えたら2重3重の対策を考えていて当たり前だ」と述べ、今後、委員会として違反の程度などについて判断する考えを示しました。