【17日詳細】“ケレム・シャローム検問所から支援物資搬入”

ロイター通信などは、イスラエル首相府が17日、ガザ地区とイスラエルの境界にあるケレム・シャローム検問所から人道支援物資の搬入が始まったと発表したと伝えました。

イスラエルやパレスチナに関する、日本時間12月17日の動きをお伝えします。

“ケレム・シャローム検問所から支援物資搬入開始”イスラエル

ロイター通信などは、イスラエル首相府が17日、ガザ地区とイスラエルの境界にあるケレム・シャローム検問所から人道支援物資の搬入が始まったと発表したと伝えました。

これまでガザ地区への物資の搬入は、エジプトとの境界にあるラファ検問所に限られていて、ケレム・シャローム検問所からの物資の搬入が始まったことで、深刻な人道状況の改善に結びつくのか注目されます。

イスラエル ガザ地区広範囲で空爆か 難民キャンプで20人超死亡

ガザ地区でイスラエル軍の兵士が人質3人を誤って射殺したことを受けて、イスラエルのネタニヤフ首相は16日の記者会見で哀悼の意を示した上で、イスラム組織ハマスの壊滅まで軍事作戦を続ける意志を改めて強調しました。

イスラエル軍による激しい攻撃が続くガザ地区では17日、北部や中部など広い範囲で空爆が行われているとみられ、一帯が黒い煙に覆われている様子が確認されました。

ガザ地区の保健当局によりますと、このうち、北部のジャバリア難民キャンプでは住宅地への空爆でこれまでに24人が死亡し、80人以上がけがをしたということです。

現地では今月14日からインターネットなどの通信ができなくなっていて、保健当局はこの日以降、ガザ地区全体の死者数を発表できずにいます。

一方、国連機関によりますと、検問所がある南部のラファにはほかの地域から退避してきた住民が集中し、人口密度は戦闘が始まる前のおよそ4倍の、1平方キロメートルあたり1万2000人にまで増えたと推定されるということで、人道状況の悪化が深刻になっています。

イスラエル軍 “発砲は規定に反していた” 全面的に責任認める

イスラエル軍は16日もガザ地区への激しい攻撃を続け、ロイター通信は南部ハンユニスの病院で空爆による20人の死亡が確認され、北部ガザ市でも多くの人が避難する建物が攻撃され、死傷者が出たと伝えています。

激しい戦闘が続くなか、イスラエル軍は15日、北東部シュジャイヤでイスラエル人の人質3人を誤って射殺したと明らかにし、衝撃が広がっています。

イスラエル軍トップ「3人は“白旗”を掲げていた」

イスラエル軍トップのハレビ参謀総長は16日、動画で声明を発表し、当時、3人は爆弾を身につけていないことを示すためにシャツを脱いだうえに、白い布を「白旗」として掲げて抵抗の意思がないことを示していたにもかかわらず、兵士が発砲したと明らかにしました。

そして、「白旗を掲げ、投降の意思を示す人物を攻撃することは禁じられている。再発防止のためにあらゆることをする」と述べ、発砲は軍の規定に反していたと全面的に責任を認めました。

ガザ地区にはいまも130人以上の人質が拘束されていて、家族などからは軍事作戦を続ける政府に反発するとともに、人質解放に向けた交渉の再開を求める声があがっています。

一方、ハマスは16日、イスラエルの攻撃により人質が相次いで死亡したと主張する動画をSNSに投稿し、イスラエル側に交渉に応じるよう圧力をかけるねらいがあるとみられます。

“イスラエル情報機関長官がカタール首相と会談”米メディア

アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは16日、関係者の話として、イスラエルの情報機関モサドの長官が、前回の戦闘休止と人質解放の交渉で仲介役を担ったカタールのムハンマド首相兼外相と北欧のノルウェーで会談したと伝えました。モサドの長官は同じく仲介役を担ったエジプトの当局者とも会う予定だと伝えていて、戦闘休止に向けた交渉の再開に結びつくのか注目されます。

人質解放訴える市民団体が会見「交渉で最良の条件提示を」

イスラエル軍がガザ地区でハマスに拘束されていた人質3人を誤って射殺したことを受け、人質の解放を訴える市民団体は16日、テルアビブで会見を開きました。

このなかで、先月29日に解放された元人質で、いまも夫が人質にとられているラズ・ベンアミさんは「戦時内閣には攻撃が人質の命を危険にさらすと訴えていたが、残念ながら、私は正しかった。軍事行動だけで人質の命が助かることはない」と話していました。

また、19歳の息子が人質にとられているルビー・ヘンさんは「人質となっている人たちを生きて取り戻すために、交渉で最良の条件を提示すべきだ。時間はなくなっている」として、人質解放のための交渉をいますぐ再開すべきだと訴えました。

イスラエル軍に誤って射殺された人質の葬儀 約300人参列

パレスチナのガザ地区でハマス側に拘束され、イスラエル軍に誤って射殺された人質3人のうち、当時25歳だったサメル・タラルカさんの葬儀がイスラエル南部で行われました。

葬儀では多くの人たちが見守る中、遺体が運び込まれ、参列者はうつむきながらタラルカさんの死を悼んでいました。

ロイター通信によりますと、葬儀にはおよそ300人が参列したということです。

イスラエル テルアビブで市民がデモ 一刻も早い停戦訴える

軍事作戦が長期化するなか、イスラエルのテルアビブでは16日夜、市民たちが中心部でデモを行い、一刻も早い停戦が必要だと訴えました。

参加した数百人の市民は「即時停戦を求める」などと反戦のメッセージが書かれたプラカードを掲げながら、市内の広場から数百メートルを練り歩きました。

そして、「いつまで死者が増え続けるのか。交渉が唯一の解決策だ」などと声をあげて、イスラエル政府に停戦を訴えていました。

参加していたイスラエル人の女性は「ガザ地区で罪のない人がこれ以上犠牲になるのも、イスラエル人が命を落とすのも、耐えられません」と話していました。

別の参加者の男性は「これ以上、双方の死者が増えるべきではなく、停戦して交渉することが必要です。軍事作戦を続けるかぎり、今後も人質の誤射のような事態が起きるかもしれません。ただ、ハマスも壊滅させなければならないので、はっきりとした答えは見つかりません」と話していました。

英国防省 “無人機1機を撃墜” 紅海航行の貨物船を標的か

イギリス国防省は16日、海軍の駆逐艦が紅海を航行する貨物船を標的にしていた無人機1機を撃墜したと発表しました。

イギリス国防省は無人機がどこから飛来したものか明らかにしていませんが、この海域ではイエメンの反政府勢力・フーシ派が航行中の貨物船への無人機やミサイルによる攻撃を繰り返しています。

これについてイギリスのシャップス国防相は声明で、「最近相次いでいる違法な攻撃は紅海での国際貿易と海洋安全保障への直接的な脅威だ。イギリスはこれらの攻撃の撃退に引き続き注力していく」としています。

米軍 “無人機14機を撃墜 フーシ派の支配地域から飛来”

アメリカ中央軍は紅海に展開しているアメリカ海軍のミサイル駆逐艦「カーニー」が現地時間の16日早朝、無人機14機を撃墜したと発表しました。

周辺の船舶への被害はなく、けが人も報告されていないということです。

アメリカ中央軍は無人機はイエメンの反政府勢力フーシ派の支配地域から飛来したもので、「攻撃用の無人機とみられる」としています。

フーシ派はこれまでも、紅海につながるバーブルマンデブ海峡や周辺海域で航行中の貨物船への攻撃を繰り返しています。

攻撃が相次ぐなか、スイスに拠点を置く海運大手の「MSC」は16日、自社の船舶が攻撃されたことを受けて、「乗組員の生命と安全を守るため」、当面の間、紅海を避けてスエズ運河を通らないことを決定したと発表しました。

また、フランスの海運大手CMAも16日、同様の決定を発表しています。

スエズ運河につながるこの海域は、毎年、世界全体の貿易の10%、およそ1万7000隻の船が通る世界でも主要な航路で、う回するにはアフリカ南部を航行するなど、はるかに長い距離の航路をとる必要があるということで、影響の拡大が懸念されています。