“ウクライナ支援打ち切るより継続がコスト減” 米 戦争研究所

アメリカのシンクタンクは、ロシアがウクライナに勝利するとアメリカは、再び高まるロシアの脅威からヨーロッパを防衛する必要が生じるなどとしてウクライナへの支援を打ち切るよりも続けたほうが有益でコストを抑えられることになると指摘しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は14日、西側諸国の支援を受けたウクライナ側は、ロシア軍の90%近くの兵力を壊滅させたものの、その後、ロシア側は損失を補い、戦前の能力をはるかに上回る速度で軍需産業の基盤を強化しているとしています。

アメリカがウクライナへの軍事支援を打ち切り、ヨーロッパ各国も追随すれば、ロシアによるウクライナ全土の征服は決して不可能ではないと指摘しています。

一方、ロシアが勝利すると、アメリカは、再び高まるロシアの脅威からヨーロッパや東ヨーロッパを防衛する必要が生じ、地上軍や空軍を駐留させるなど多大な費用がかかるとしています。

ウクライナ支援を巡っては、アメリカで与野党の対立などを背景に滞っていますが、「戦争研究所」は、支援を打ち切るよりも続けたほうが有益で、コストを抑えられることになると指摘しました。

ウクライナ兵士「軍事支援なければ事態は本当に悪くなる」

ウクライナへの欧米による軍事支援が停滞する中、支援の継続を訴える前線の兵士たちの声をイギリスの公共放送BBCが14日、伝えています。

それによりますと、激戦地の1つ、東部ドネツク州のバフムト近郊にいる部隊は、防衛線を突破しようとするロシア側の攻撃を欧米から供与された自走式りゅう弾砲などを使って撃退しているということです。

ただ、弾薬不足が大きな課題になっているとしています。

部隊の兵士はロシア側との砲撃の割合について「反転攻勢が進んでいた数か月前までは同程度かそれ以上で、われわれが有利だった。しかし、今はロシア側が4発か5発撃つのに対してわれわれは1発だ」と述べウクライナ軍が砲撃の規模で劣勢になっていると証言しました。

BBCは、前線では双方が要塞化を進め「陣地戦」ともいえる状況になっていて砲撃の役割がいっそう重要になっているため、弾薬の供給が生命線になっていると指摘しています。

兵士の1人は「西側からの軍事支援がなければ事態は本当に悪くなる」と述べ欧米各国に対して軍事支援を継続する必要性を訴えました。