途上国の利払い負担増 公的債務の年間返済額 去年過去最高に

世界銀行は途上国の借金、債務について最新のリポートを公表しました。世界的な金利の上昇で利払い負担が増えており、途上国の公的債務の年間の返済額が去年過去最高にのぼり、多くの国が危機への道を歩んでいると警鐘を鳴らしています。

世界銀行は13日、途上国の債務状況を分析した最新のリポートを公表しました。

それによりますと去年1年間、途上国の対外債務は8兆9660億ドル、日本円でおよそ1300兆円で、前の年より3%余り減少しました。

世界銀行は、中国への債務が減少したことなどが影響したと分析しています。

一方、世界的な金利の上昇によって利払い負担が増え、途上国の公的な債務の年間の返済額は去年1年間で過去最高の4435億ドルにのぼり政府の予算を医療や教育などの分野に振り分けることが難しくなっているとしています。

また、債務の支払いに支障をきたしている過剰債務の国が11か国、過剰債務に陥るリスクが高い国が28か国となっています。

デフォルト=債務不履行に陥ったガーナとザンビアを除くと、37か国がデフォルトのリスクに直面していることになります。

世界銀行は「記録的な債務の水準と高金利によって多くの国が危機への道を歩んでいる」として債権国や民間の金融機関などが迅速に協調する必要があると警鐘を鳴らしています。

先進国間でも大きな課題に

債務問題は途上国だけでなく先進国の間でも大きな課題になっています。

アメリカの首都ワシントンに本部があるIIF=国際金融協会によりますと、2023年9月末時点の世界の債務残高は、307兆ドル日本円で4京4700億円余りと過去最高となりました。

ことしに入って9兆6000億ドル日本円でおよそ1400兆円増加しましたが増加分のうち60%以上をアメリカや日本、イギリス、フランスなど先進国が占めています。

また政府の債務が増加分の多くを占め、財政赤字は多くの国でコロナ禍前の水準を上回っているとしています。

来年の見通しについてIIFは来年はアメリカ大統領選挙をはじめ世界で多くの選挙が予定されていることから「政治において二極化が進み、地政学的な緊張が高まる中でこれらの選挙がポピュリズム的な政策への道を開く可能性がある」として「政府が借金を増やし財政規律がさらに緩むことが最大の懸念だ」と指摘しています。