資産運用立国の実現に向け 具体的な政策プラン公表 政府

政府は資産運用立国の実現に向けて、資産運用会社やアセットオーナーと呼ばれる年金など資金の出し手の改革を柱とした具体的な政策プランをまとめ、13日公表しました。

政府はことし10月に新しい資本主義実現会議のもとに分科会を設け、有識者の意見などを参考に資産運用立国の実現に向けた具体的なプランの策定を進めていました。

政府が13日公表したプランの柱の1つが資産運用業の改革です。

国内の資産運用会社の多くが大手金融グループの傘下にあることを踏まえ、大手金融グループに対し、ガバナンス体制を強化し運用力を向上させるためのプランを策定して公表するよう求めることにしています。

また、金融商品の品質管理に向けた原則を策定し運用担当者の氏名の開示などを検討すべきだとしています。

もう1つの柱がアセットオーナーと呼ばれる年金基金や保険会社など資金の出し手の改革です。

政府はアセットオーナーには公的年金や企業年金、保険会社や大学ファンドなどが含まれるとしたうえで、これらの機関が順守すべき共通の原則「アセットオーナー・プリンシプル」を来年夏をめどに策定することにしています。

また、公的年金を運用するGPIF=年金積立金管理運用独立行政法人などにもこの原則を適用し、新興であっても資産運用力が高い会社に運用を委ねることも検討すべきだとしています。

政府は今回とりまとめた政策プランの進捗(しんちょく)状況を来年6月をめどに確認することにしています。

“5つの柱”

資産運用立国実現プランでは5つの柱を掲げています。

1.資産運用業の改革

1つ目は資産運用業の改革です。

国内の資産運用会社の多くが大手金融グループの傘下にあるという現状を踏まえ、大手金融グループに対し、資産運用ビジネスの経営戦略上の位置づけを明確にするよう求めています。

さらに大手金融グループに対してはガバナンス体制を強化し運用力を向上させるためのプランを策定して公表するよう求めるとしています。

また、金融商品の品質管理に向けた原則を策定し運用担当者の氏名の開示などを検討すべきだとしています。

このほか、資産運用に関連した日本独自のビジネス慣行や参入障壁を是正し「金融・資産運用特区」を創設することも盛り込んでいます。

2.アセットオーナーの改革

2つ目はアセットオーナーと呼ばれる年金基金や保険会社など資金の出し手の改革です。

公的年金や企業年金、保険会社や大学ファンドなどが順守すべき共通の原則「アセットオーナー・プリンシプル」を来年夏をめどに策定することにしています。

また、公的年金を運用するGPIF=年金積立金管理運用独立行政法人などにもこの原則を適用し、新興であっても資産運用力が高い会社に運用を委ねることも検討すべきだとしています。

3.成長資金の供給と運用対象の多様化

3つ目は成長資金の供給と運用対象の多様化です。

スタートアップ企業への成長資金を促進し、デリバティブなどいわゆるオルタナティブ投資などを含めた運用対象の多様化をはかるとしています。

4.スチュワードシップ活動の実質化

4つ目はスチュワードシップ活動の実質化です。

政府は市場で評価されるような企業の取り組みを促すため東京証券取引所と連携して企業の活動を支援することにしています。

5.対外情報発信・コミュニケーションの強化

5つ目は、対外情報発信とコミュニケーションの強化です。

国内の資産運用業の改革を進めて日本の金融市場の魅力を発信するため「資産運用フォーラム」を立ち上げることとし、そのための準備委員会を近く設立することにしています。