咽頭結膜熱 7週連続で「過去10年最多」溶連菌感染症も最多更新

子どもを中心に流行が続く咽頭結膜熱の12月3日までの1週間の患者数は、前の週からさらに増えて、過去10年間で最も多い状況が7週連続で続いています。
また、「溶連菌感染症」の一種も、感染者数が過去10年間で最多の状況が続いていて、専門家は「症状が軽いからといって無理をせず体を休ませるようにしてほしい」と話しています。

咽頭結膜熱 29都道府県で警報レベルの目安超え

咽頭結膜熱は、子どもを中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルなどを介しても感染します。

国立感染症研究所によりますと、12月3日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関から報告された患者数は、前の週より563人多い1万1702人となりました。

1医療機関あたりでは前の週を0.18人上回って3.72人となり、過去10年間での最多を7週連続で更新しました。

都道府県別では
▽福井県が8.72人
▽北海道が8.05人
▽佐賀県が6.87人
▽福岡県が6.63人
▽石川県が6人
などとなっていて、あわせて29の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 3週連続で過去10年間最多を更新

また、主に子どもが感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者も増加が続いています。

12月3日までの1週間に報告された患者数は、前の週から957人増えて全国であわせて1万3103人、1医療機関あたりでは4.17人となっていて、過去10年間での最多を3週連続で更新しました。

都道府県別では
▽鳥取県が10.53人
▽宮崎県が8.14人
と、2つの県で国の警報レベルの基準となる「8」人を超えているほか、
▽富山県が7.79人
▽埼玉県が6.76人
▽千葉県が6.36人
▽福岡県が6.02人
などとなっています。

専門家「症状軽くても 無理して学校や仕事に行かないで」

子どもの感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「症状が悪化して入院する子どもも多くなっている。症状が軽いからといって無理をして学校や仕事に行かず体を休ませてほしい。地域の感染状況に応じてマスクの着用や手洗いなどの対策を取ることが重要だ」と話しています。

小児科クリニック「検査キットの不足が心配」

患者数の増加で、医療の現場では「検査キット」の不足を心配する声があがっています。

東京都内にある小児科のクリニックでは、連日のように発熱などの症状を訴える子どもが受診していて、今シーズンは咽頭結膜熱や溶連菌感染症と診断される子どもが多くなっています。

東京 港区にある小児科のクリニックでは、ことしは発熱などで受診する子どもがコロナ禍前の1.2倍から1.5倍程度になっているということです。

12日も午前中から受診する子どもが相次いでいて、このうち発熱の症状で訪れた5歳の男の子は、のどの奥を綿棒で拭って検査したところアデノウイルスと溶連菌がいずれも陽性となっていました。

クリニックによりますと、この時期は通常、胃腸炎が多いということですが、ことしはアデノウイルスの患者が先週だけで44人いて、コロナ禍前と比べて1.5倍から2倍ほど多い印象だということです。

アデノウイルスは咽頭結膜熱の原因となるウイルスですが、このクリニックでは結膜炎を併発していない人も多いということです。

また、先々週あたりからは溶連菌感染症の患者も増えていて、先週は12人が診断され、発熱やのどの痛みに加え中には体に発疹が出る子もいるということです。

クリニックによりますと、アデノウイルスや溶連菌の流行で検査キットの不足が心配だということで、流行状況を予測しながら早めに発注するようにしていますが、発注しても届くまでに時間がかかることがあるため、家族の中で同じ症状の人が複数いる場合は検査は1人だけに限定するなど、工夫しながら使っているということです。

「クリニックばんびぃに」の時田章史院長は、「ことしは患者が多く、忙しい状況がずっと続いている。ここのところ寒くなってきて、これからさらにインフルエンザが増えてくる可能性もある。大人が広げることもあるので、これから忘年会など人が集まるイベントが増えてくると思うが、マスクの着用や体調の悪いときは外出しないなど、小さな子どもたちを守る対策を心がけてほしい」と話していました。