松野官房長官に対する不信任決議案 立民が衆議院に提出

自民党安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題で、立憲民主党は、松野官房長官が説明責任を果たしていないなどとして、松野氏に対する不信任決議案を衆議院に提出しました。

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、松野官房長官側は、去年までの5年間で、みずからが所属する安倍派から1000万円を超えるキックバックを受け、政治資金収支報告書に収入として記載していない疑いがあることが明らかになっています。

これを受けて、立憲民主党は11日午後、松野氏に対する不信任決議案を衆議院に提出しました。

決議案では「松野氏は国会の質疑のみならず、官房長官会見でも説明拒否を続け、内閣の情報発信者としての機能は完全に停止した。国民の政治に対する信頼は失墜し、国益を大きく損ない続けると断ぜざるを得ず、ただちに職を辞すべきだ」としています。

提出後、安住国会対策委員長は記者団に対し「松野氏は国家・国民のため職を辞すべきだ。松野氏の態度を見てこのまま続けてほしいという人は自民党にもいないのではないか」と述べました。

決議案は、12日の衆議院本会議で採決されることになっています。

与野党 12日午後1時から本会議開き採決で合意

松野官房長官に対する不信任決議案について、11日夕方、衆議院議院運営委員会の理事会が開かれ、与野党は12日午後1時から本会議を開き、採決を行うことで合意しました。

自民・公明両党は反対する方針で、決議案は否決される見通しです。

松野官房長官「与えられた職責を果たしていきたい」

午前の会見

松野官房長官は午前の記者会見で「派閥で事実確認がなされている最中であり、また報道によれば刑事告発がなされ、関連して捜査が行われていると承知しており、私の政治団体についても精査して適切に対応していきたい」と重ねて述べました。

そのうえで記者団が「岸田総理大臣が近く、松野長官を更迭するとの報道があるが、官房長官としての任にあるのは適切と考えるか」と質問したのに対し「与えられた職責を果たしていきたい」と述べました。

一方、記者団が、去年、自民党の衆議院議員だった薗浦健太郎氏が政治資金パーティーの収入を記載していなかったことで議員辞職したことを踏まえ「パーティーの収入を正しく報告していなかったということなら議員辞職に値するのではないか」とただしたのに対し「個々の司法の判断に関して政府の立場で発言することは控えたい」と述べました。

松野官房長官「対応は国会で決めいただくものだと考えている」

午後の会見

松野官房長官は午後の記者会見で「決議案についての対応は、国会でお決めいただくものだと考えているが、私としては与えられた職責を果たしていきたい」と述べました。

また記者団が「裏金が数十人規模の議員に渡ったとなれば、選挙の公平性や政権の正当性が疑われる事態だが、衆議院を解散し、国民に信を問う考えはないか」と質問したのに対し「捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、政府として答えることは差し控える。そのうえで、解散は岸田総理大臣の専権事項であり、私は答える立場にない」と述べました。

維新 遠藤国対委員長「賛成せざるをえないと思う」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は記者会見で「国民生活が圧迫されている中で、一部の議員や派閥だけに政治資金の抜け道があると思われることは政治への大きな不信になる。賛成せざるをえないと思う」と述べました。

また内閣不信任決議案について「政治に対する国民の不信や怒りが出ている今、立憲民主党が内閣不信任決議案を出さない理由がわからない。内閣全体に関わることなので出すことが相当ではないか」と述べました。

公明 山口代表「事実だとすれば極めて遺憾」

公明党の山口代表は党の参議院議員総会で「事実だとすれば極めて遺憾で、政治資金規正法の趣旨を逸脱するような行いは決して許されない。国民の不信を招く一方なので、信頼回復のため、実態を解明した上で再発防止の手立てを確立していかなければいけない。謙虚に真摯(しんし)に政権運営に務めるという原点に立ち返りたい」と述べました。

共産 小池書記局長「信任に値しないこと明らか 賛成する」

共産党の小池書記局長は記者会見で「松野氏が信任に値しないことは明らかで、賛成する。ただ、安倍派だけを切り捨てれば解決するという問題ではない。この間に名前があがった議員は全員、国会での証人喚問が必要で、衆参両院の予算委員会での集中審議を求めたい。司法とともに、国会での真相解明を両輪で進めていくことが必要だ」と述べました。

また、内閣不信任決議案については「まさに不信任の内閣で、不信任決議案が出されるのであれば、当然、賛成する。他党とよく相談して臨んでいきたい」と述べました。