イスラエル軍 “ハマス幹部が潜伏” ハンユニスの攻勢強めるか

パレスチナのガザ地区では、イスラエル軍が南部の中心都市ハンユニスに地上部隊を進め、これに対してイスラム組織ハマスが抵抗し、戦闘が繰り広げられています。現地メディアは、ハンユニスにハマスの幹部が潜伏している可能性があるというイスラエル軍の見立てを伝えていて、地下のトンネル施設の捜索に向け攻勢を強めるものと見られます。

ガザ地区を実効支配するハマスへの軍事作戦を進めるイスラエル軍は6日、過去24時間でおよそ250回の空爆を行ったと発表しました。

このうち南部の中心都市ハンユニスでは空爆に加え、市内に戦車などの地上部隊を進めたことを明らかにしました。

一方のハマス側も、ハンユニスでの戦闘でイスラエル軍の車両24両を破壊し、兵士8人を死傷させたと主張し、激しい戦闘が繰り広げられているもようです。

イスラエルの有力メディアハーレツは、イスラエル軍のねらいについて「ハンユニスの地下トンネル施設にハマスのガザ地区の指導者、ヤヒヤ・シンワル氏をはじめ幹部が潜んでいる可能性があると見ている」と伝えていて、イスラエル軍は地下のトンネル施設の捜索に向け攻勢を強めるものと見られます。

こうした中、戦闘の犠牲になる市民が増えていて、ハンユニス市内の病院には6日、救急車が次々と到着し、子どもを含む多くの負傷者が搬送されています。

ガザ地区の保健当局によりますと戦闘開始からこれまでの死者数はガザ地区で1万6248人に上っています。

空爆などで住まいを追われる人も相次いでいて、WHO=世界保健機関は衛生環境が悪化する中、戦闘だけでなく感染症によって命を落とすリスクが増していると警鐘を鳴らしています。

また、ハンユニスから逃れる住民の避難先となっているラファでは、海水を処理して淡水にする設備が燃料不足から十分に稼働できず、飲料水が行き渡らない事態となっています。

5日に撮影された映像では、飲み水を求める子どもたちが空のペットボトルを抱えて列をつくる様子が映っています。

家を追われてハンユニスにたどりついたあと、さらにラファへの避難を余儀なくされたという男性は「子どもたちに水を飲ませるため、12、3キロ歩いてここにたどりついた。この惨状がいつまで続くのか」と訴えていました。