日立市役所 東海村役場に相次いで車突っ込む 53歳容疑者逮捕

6日午後、茨城県の日立市役所前の広場と東海村役場に相次いで車が突っ込み、日立市では3人がはねられてけがをしました。東海村役場に突っ込んだ車を運転していた53歳の容疑者が建造物損壊の疑いで逮捕され、調べに対し「東海村役場と日立市役所に恨みがあった」などと供述をしているということです。

逮捕の男「東海村役場と日立市役所に恨みがあった」

6日午後1時前、茨城県日立市の市役所の前にある広場に黒の車が突っ込み、複数の人がはねられました。

警察によりますと、40代の女性が骨を折る大けがをし、20代と30代の男性2人が軽いけがをしました。

日立市によりますと、市役所の正面にある広場では障害者週間に合わせて、障害のある人が所属する11の施設が木工製品や陶芸品、アクセサリーなどを展示したり販売したりするイベントが行われていました。

けがをした3人は、このイベントに参加していたということです。

これまでの調べによりますと、車は意図的にイベントに突っ込んだとみられ、そのまま現場から逃走しましたが、その後、車は日立市内で見つかりました。

この30分ほどあとの午後1時半ごろには、16キロほど離れた東海村役場の正面玄関に白の乗用車が突っ込みました。

けが人はいませんでした。

警察はこの車を運転していた日立市に住む、益子 泰 容疑者(53)を建造物損壊の疑いで逮捕しました。

調べに対し容疑を認め、「2件とも自分がやった。東海村役場と日立市役所に恨みがあった」などと供述をしているということです。

警察は容疑者が日立市で事件を起こしたあと、車を乗り換えて東海村役場に突っ込んだとみて、詳しい状況を調べています。

日立市役所前ではねられた40代女性は重傷

日立市消防本部によりますと、日立市役所の前にある広場に乗用車が突っ込み、はねられた3人のうち、40代の女性は骨折するなどし重傷だということです。また、20代と30代の男性もけがをして病院に搬送されました。3人はいずれも意識はあり、命に別状はないということです。

日立市役所と東海村役場 位置関係は

最初に黒い乗用車が突っ込んだ日立市役所の広場と、およそ30分後に白い乗用車が突っ込んだ東海村役場の距離は、直線距離でおよそ16キロ離れた場所にあります。

東海村役場によりますと、車で日立市役所から東海村役場まで向かう場合、高速道路を使うとおよそ30分かかるとみられるということです。

ドライブレコーダーに よく似た黒い乗用車

6日午後1時前に、日立市役所から南に1キロ余り離れた国道6号線を走行中の車のドライブレコーダーに写っていた映像です。

市役所前の広場に突っ込んだ車と特徴がよく似た黒い乗用車が、市役所方面から走ってくるようすが写っています。

車のボンネットの一部がゆがむなど、破損しているのがわかります。

また、タイヤから白い煙が立ち上っているのが確認できます。

車が通ったあとには、道路に何かが散乱しているのも見えます。

車を目撃した40代の男性は、「黒い車が信号無視をして猛スピードで出てきた。一瞬のことだったので何だろうと思った。その後、ラジオで事件のニュースを聞いてこの車のことかなと思った」と話していました。

日立市役所の現場では

午後2時半前にNHKが日立市役所前で撮影した映像では、果物や野菜などが地面に散乱しているようすが確認できます。

現場では規制線が張られ、規制線の内側に止まっている複数の車体がへこんでいました。大勢の警察官が対応にあたっていて、不安そうに見つめる人の姿もみられました。

「アクセルを踏んで入ってきた」

現場に居合わせた女性は「急に車が1台入ってきて、スピードを上げていろいろなものをなぎ倒して車に当たって止まったが、向きを変えて走って逃げた。間違いなくアクセルを踏んで入ってきた。ふつうではない感じで、けがをしている人もいるのでつらい」と話していました。

また、「一瞬のできごとで、逃げた方もいるがびっくりして動けなくなる感じだった。どうしてこんなことをするのか」と話していました。

「速いスピードでバックした」

催しに出店していて、現場に居合わせたという女性たちは「気が付いたら、車が走り出ていて、出店していたブースにぶつかってきた感じです。運転を間違えたのかなと思いました。駐車している車両にぶつかってそのまま止まるかと思ったら、速いスピードでバックし周囲をなぎ倒して国道のほうにいきました。あと数秒遅れていたら、ひかれていたかもしれません」と話していました。

また、被害にあった人のようすについて「顔面そう白で倒れていて、額に血が見えました。目の前にあるテーブルに押されて倒れたように見えました」と話していました。

「運転している人 高齢者に見えなかった」

当時、日立市役所の建物内で休憩していたという女性は、「急に大きな音がしてそちらの方に振り向くと、車が暴走して市役所前の広場に入ってくるのが見えました。方向転換して、自分がいる方に向かってくるのではないかと思って焦りました。車には高齢ドライバーを示すステッカーが貼られていましたが、運転している人は高齢者には見えませんでした」と話していました。

東海村役場の現場では

6日午後1時半ごろ、茨城県東海村役場の正面玄関に乗用車が突っ込みました。運転していた50代の男性がけがをしたということです。

警察や消防によりますと、午後1時半ごろ、村の職員から「役場の1階正面玄関に車が突っ込んだ。運転手がけがしている」と通報がありました。

警察は日立市役所前の広場で複数人をはねた車に乗っていた人物がその後、車を乗り換えて東海村役場に突っ込んだとみていて、詳しい状況を調べています。

「自動ドアが粉々に」

事故の30分ほど後に東海村役場を訪れた男性は「白い車のそばで役場の自動ドアが粉々になっている状態で、役場の中にいた人は、『すごい音がした』と話していて、とても驚いた様子でした」と話していました。

日立市長「誠に遺憾」

日立市総務課の千葉祐一課長は、報道陣の取材に応じ、日立市の小川春樹市長のコメントとして、「キャンペーンの一環として主催したイベントが、突然の事故により負傷者がでるなど、多くの人が恐怖にさらされるなどありえないことです。このようなことにより突然の中止を余儀なくされたことは誠に遺憾に思います。事件が二度と発生しないよう対策し、安全安心の確保に努めたい」と読み上げました。