COP28 冷房機器の温室効果ガス排出削減を誓約 60か国余が賛同

UAE=アラブ首長国連邦で開かれているCOP28で、議長国のUAEなどが冷房機器による温室効果ガスの排出削減に取り組む誓約を発表し、日本など60か国余りが賛同しました。

この誓約は議長国のUAEなどがCOP28の会場で5日に発表したもので、「2050年までに冷房関連の温室効果ガスの排出量を、2022年と比べて少なくとも68%削減する」とし、日本やアメリカなど60か国余りが賛同しました。

誓約では世界には40億人以上が継続的に冷房を使えていなかったり、非効率な冷房を使っていたりするとして、安心して冷房を使える環境作りが必要だとしています。

しかし、一般的な冷房機器などに使われているフロン類は温室効果が二酸化炭素の100倍から1万倍とされることから、温室効果の低い物質を使った冷却システムなどの研究開発を支援するとしています。

また、誓約では、日本が主導する形で各国と連携して行う、すでに流通したフロン類の回収やリサイクルについての取り組みが紹介されています。

専門家「日本の技術や取り組み 他国と共有が大事」

今回の誓約について、フロンの研究をしている国立環境研究所の斉藤拓也 主幹研究員は「温暖化による猛烈な暑さから命や健康を守るためにエアコンを使用することが、温暖化をさらに進めてしまうというジレンマを抱えている。温暖化につながらないためのエアコンの普及において、日本の技術や取り組みを他国と共有することが大事だ」と話しています。

誓約の中では、世界で熱中症などで亡くなる人は2000年初めに比べて68%増えていると指摘し、斉藤主幹研究員は「温暖化による猛烈な暑さで高齢者や子どもが死亡していることから、エアコンの普及は不可欠だ。世界には何億人ものエアコンを買えない人がいて、そういった人たちを支援するという意味も誓約には込められている」と話しています。

IEA=国際エネルギー機関によりますと、2050年までに世界のエアコンはおよそ30億台増加すると予測されていますが、一般的な冷房機器には温室効果の高いフロン類が使用されていることについて、「今世紀末までにはフロンの排出だけで0.4度の気温上昇につながるという予測もあり、避ける必要がある」と話しています。

日本ではフロン類の漏れを防ぐことや、廃棄する際に回収する技術や法整備が進んでいて、日本の技術などを他の国と共有する取り組みについても誓約の中で紹介されています。

斉藤主幹研究員は「日本の強みである省エネ技術や、フロンに替わる物質の開発に期待し、日本がこれまで行ってきたフロンを排出させないようにする仕組みを他の国に広めることが大事だ」と話していました。