ラグビー 堀江翔太 今季かぎりでの引退表明【会見一問一答も】

ラグビー日本代表として4大会連続でワールドカップに出場したリーグワン、埼玉パナソニックワイルドナイツの37歳、堀江翔太選手が記者会見で今シーズンかぎりでの現役引退を表明しました。

記事の後半には記者会見での主なやり取りを「一問一等形式」で掲載しています。

堀江選手は日本代表として歴代6位となる76キャップを持っているほか、ワールドカップには今回のフランス大会を含め4大会連続で出場している日本を代表するフォワードです。

6日、所属するワイルドナイツの拠点がある埼玉県熊谷市で会見を行い、このなかで「今シーズンをもってラグビーを引退しようと思っています」と話し、今シーズン限りで現役を引退することを明らかにしました。

「1年半前にこのタイミングで引退しようと決めた」

引退の理由については、正しいトレーニング方法や体の使い方を教えるコーチとしての活動に興味を持ったことをあげ「1年半前にこのタイミングで引退しようと決めた。トレーニングをしてきた中でけがをしても正しい体の使い方をすれば状態がよくなっていくことがわかったので、そこに目を向けたいと思った。一般の方やスポーツ選手、未来のある子どもにも広めていきたい」と話していました。

また、これまでのラグビー生活を振り返り「ターニングポイントで運よくいい人と知り合っていいラグビー人生を送れた。いろいろな人の支えがあってここまで来られた」と感謝の気持ちを述べました。

今月9日に開幕する現役最後となるリーグワンのシーズンに向けては「あした引退しても後悔がないように常にやってきた。今シーズン、どんなパフォーマンスを出せるか、ラグビー選手として最後までやりきりたい。優勝して最後は終わりたい」と力強く話していました。

そしてファンに向けて「最後の試合を見てほしいのでシーズン前のこのタイミングで発表した。生の僕を見てほしい」と呼びかけていました。

リーグワンは今月9日に開幕し、堀江選手が所属するワイルドナイツは10日にホームの埼玉県熊谷市で横浜キヤノンイーグルスと対戦します。

W杯4大会連続出場 トレードマークはドレッドヘア

堀江選手は大阪府出身の37歳。力強いスクラムだけでなく、パスやラン、それにキックといったプレーも高いレベルでこなす日本を代表するフォワードです。

ワールドカップには2011年から4大会連続で出場し、スクラム最前列の真ん中に位置するフッカーとして日本のセットプレーを支えてきました。

2015年のイングランド大会では歴史的勝利をあげた南アフリカ戦で先発出場したほか、2019年の日本大会では5試合すべてに出場し、日本として史上初のベスト8進出に貢献しました。

そして、ことし行われたフランス大会ではチーム最年長として日本代表をけん引しました。

国内ではリーグワンの強豪、埼玉パナソニックワイルドナイツの中心選手として活躍し、これまでに前身のトップリーグ時代も含め通算で3回のリーグMVPに選ばれています。

また、2013年には世界最高峰のリーグ、スーパーラグビーのレベルズに加入し、日本のフォワードの選手として初めてスーパーラグビーの試合に出場しました。プレー以外では、トレードマークのドレッドヘアでも人気を集めています。

会見冒頭「10歳からいいラグビー人生が送れた」

堀江翔太選手
「唐突ですが、今シーズンをもってラグビーを引退しようと思っています。今までありがとうございました。僕自身10歳からいいラグビー人生が送れたと思っています。ターニングポイントで運よくいい人と知り合い、いいラグビー人生を送ることができました。僕自身、上まで上がっていけるようなラグビー選手ではなかったと思います。いろんな人の支えでここまで来られたと思います。一番は家族が常に横にいてくれて、全力でサポートしてくれました」

《会見 一問一答》

最後のシーズンへ「たくさんのファンに僕の試合を見てほしい!」

Q.引退を決めた理由は?
A.僕自身、2015年に大きな首のけがをして、8年間トレーニングをしてきました。そのときに正しい体の使い方をすれば体の状態が良くなるとわかりました。もっと若い子なら大けがをする前に自分のパフォーマンスが出せて、若い子のレベルが上がればトップアスリートが増える気がしていて、そこに目を向けたい思いがすごくあります。ラグビー主体ですが、正しい体の使い方はラグビー以外でもあります。トレーニングをする中でサッカーやバスケットボールの選手も、正しい体の使い方をすれば大きくパフォーマンスが変わることを実感してきました。そういうのを広めていかないといけないと思います。けがで苦しんで、日常生活で腰が痛いとかそういう人たちも助けたいという思いが強くなりました。
Q.引退を決意したのはいつか?
A.ワールドカップの1年半前ぐらいにはワールドカップの結果が良くても悪くても、このシーズンで引退しようと思っていました。
Q.長いキャリアで印象的な試合は?
A.2019年のワールドカップでアイルランドに勝ったのはすごく心に残っています。そこにすべてをかけてプレーしていたので。今回のワールドカップの最後のアルゼンチン戦も印象に残っています。

歴史的勝利のアイルランド戦にはフル出場

Q.今シーズンはどんな気持ちで臨むか?
A.優勝を目指すためにどう成長できるか。そこは変わらない。こういうコンタクトをしたとかタックルをどう意識するかとか。そこが試合で出せたらいいと思います。
Q.チームの若い選手へのメッセージを。
A.一日一日を大切にしてほしい。あのときこうしておけばよかったと思っても後戻りできない。ベストな練習ができるかが優勝の近道なのでそれは大事にしてほしいです。
Q.シーズン開幕前の発表の理由は?
A.たくさんのファンに僕の試合を見てほしいという思いがありました。リーグ戦が終わってからだと無理してでも見ておけばよかったと思うはずですし、早く「引退する」と言って試合を見てほしいと思いました。
Q.今後やりたいことは?
A.若い選手に体の使い方でパフォーマンスが上がることを伝えたいです。

Q.今シーズンの個人的な目標とチームとしての目標は?
A.個人的な目標は昨シーズンよりもいいプレーをすることです。体重を減らしてでもちゃんとした体の使い方でフィジカルの強さを出せるようにしたいです。チームとしては、決勝に向けて、プレッシャーがかかる中でもいいパフォーマンスができるようにやっていきたいです。
Q.引退に対する家族の反応は?
A.妻に1年半前に伝えたら賛成してくれました。子どもたちにはきのう伝えました。「へー」や「家にいるんや、これから」「試合はやめちゃうの」などと言っていましたが、父親が家にいる時間が長くなることをよく思ってくれているんだと思います。
Q.堀江選手にとってラグビーとは?
A.こんな言い方がいいか分かりませんが、僕にとってラグビーは「趣味」です。すごく楽しんでやっています。
Q.これからの日本代表を背負う選手にメッセージは?
A.誇りを持って戦うのが日本代表です。心・技・体でトップでいられるように育ってほしいと思います。