オスプレイ墜落 乗員死亡受け 岸田首相がバイデン大統領に弔意

アメリカ空軍のオスプレイが鹿児島県の屋久島沖に墜落し、乗員が亡くなったことを受け、岸田総理大臣はバイデン大統領に宛てて弔意を表すメッセージを送りました。

アメリカ空軍のオスプレイが鹿児島県の屋久島沖に墜落した事故をめぐり、アメリカ軍は乗員の生存が見込まれないとして、救助活動から遺体の収容活動に移行したと発表しました。

これを受けて岸田総理大臣は6日、バイデン大統領に宛てて弔意を表すメッセージを送りました。この中では、「8人が亡くなったとの悲報に接し、深い悲しみに包まれている。日本政府と日本国民を代表し、亡くなられた方々の家族、そしてアメリカの皆さまに心から哀悼の意を表する」としています。

そのうえで、在日アメリカ軍関係者が日本や地域の平和と安全を維持するために、ふるさとや家族と離れて日夜任務に励んでいることや、亡くなった乗員のこれまでの献身に対して感謝の意を伝えるとしています。

松野官房長官「安全確保へ緊密に連携しつつ対応」

松野官房長官は午前の記者会見で、「日米の協力のもと、捜索救助に全力を尽くしたが、全員が無事に家族のもとに帰ることができなかったことは誠に残念だ。わが国と地域の平和と安全を維持するため、日夜、任務に献身していた方々だった。心より哀悼の意をささげ、感謝を申し上げたい」と述べました。

そのうえで、事故の再発防止や安全の確保について、「これまでアメリカ側に対し、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう求めてきており、引き続き、アメリカ側とも緊密に連携しつつ、適切に対応していく」と述べました。

屋久島空港 機体の一部とみられる大型の残骸運び込まれる

屋久島空港には6日午後2時半すぎ、機体の一部とみられる大型の残骸がトラックに積まれて運び込まれました。

この残骸は長さおよそ5メートル、高さおよそ3メートルで、アメリカ軍の関係者などが午後3時40分ごろ、フォークリフトを使って空港の中にある建物に運び込んでいました。

屋久島町の住民 早期発見願う一方 不満の声も

アメリカ空軍の輸送機「オスプレイ」が鹿児島県の屋久島沖に墜落した事故から6日で1週間となり、屋久島町の住民からは行方がわからない2人の乗員の早期発見を願う声が聞かれる一方、アメリカ軍から十分な情報提供がないことや、アメリカ軍主導で原因究明が進むことに対して不満の声が聞かれました。

屋久島町安房地区の31歳の男性は「とにかく残りの人が早く見つかってほしいし、平穏な屋久島が帰ってきてほしい。今回の事故について、住民はみんな、説明がないことがいちばん不安みたいなので、安心するためにもう少し情報がほしい」と話していました。

また、86歳の女性は「あのような事故はないようにしてほしい。まだ2人見つかっていないのはかわいそうなので早くさがしだしてほしい」と話していました。

75歳の男性は「次に事故を起こさないよう原因の究明がいちばん大事だと思うが、日本で墜落したにもかかわらず、日本側が主導で原因究明をできないのはやるせない。日米地位協定を撤廃してほしい。捜索のためにアメリカ軍がこれだけ屋久島にいると違和感もある」と話していました。

漁協組合 国に補償求める考え示し 米軍に情報提供求める

アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」が鹿児島県の屋久島沖に墜落した事故で、地元の漁業協同組合の組合長が取材に応じ、行方不明の乗員の捜索活動のため漁を自粛している組合員もいるとしたうえで、この間の損失などについて、補償を求める考えを示すとともに、アメリカ軍に対して適切な情報提供を求めました。

アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」が、鹿児島県の屋久島沖に墜落した事故では、乗員の捜索活動などが続いていることから、屋久島漁協では墜落現場付近で旬のシマアジ漁を自粛する組合員もいて、防衛省が経済的な補填(ほてん)を検討しています。

屋久島漁協の羽生隆行組合長は、「漁獲量だけでなく、捜索で艦艇などが出ている中で、自分たちの船が邪魔になるのではと不安になる組合員もいる。国から提案があったとおり補償はあるべきものだ」と述べ、漁を自粛している期間の損失などについて、補償を求めていく考えを示しました。

また、アメリカ軍の対応について「コミュニケーションが取れておらず、対応には不満や不信感があった。互いの意思の疎通が必要だということで協議の場が実現したので、今後はきちんと対応してもらいたい」と述べ、アメリカ軍に対して適切な情報提供を求めました。