住宅価格の上昇 バブルと違う?みずほ信託銀行 梅田社長に聞く

都心を中心とした地価や住宅価格の上昇について、不動産事業を大きな柱とするみずほ信託銀行の梅田圭社長がNHKの取材に応じ、実需がベースにあり、実体以上に価格が跳ね上がったとされる1990年前後のバブル期とは状況が異なるという見解を示しました。

みずほ信託銀行の梅田社長は1988年に当時の安田信託銀行に入社し、20年以上にわたって不動産畑を歩み続けアメリカ駐在で得た知見から、日本に不動産証券化ビジネスを広げたことでも知られています。

2022年の1年間に首都圏の1都3県で発売された新築マンションの平均価格は6288万円と、バブル期の1990年を上回り過去最高となっています。

梅田社長に聞く

バブル期と今 どう見ているのか
梅田社長は「バブル時代はどちらかというと相場観がベースで今後土地は上がっていくとか、当然その時代は高度経済成長の名残りがある中で、土地を持っていることで資金調達ができる、いろんな投資ができる、場合によっては投機ができるといった考えがあった」と述べました。

その上で今は、共働き世帯が高額のマンションを購入していることや、外国人投資家も比較的中長期で貸し出して、値上がり益より賃貸収益を目的とするケースが多いことを挙げ、「今は利用することなどによって価格が作られてきているので、いわゆる30年前のバブルとは少し様相が違う」と述べ、実需がベースにあり、バブル期とは状況が異なるという見解を示しました。

分譲マンションの価格について
梅田社長は「物価上昇前と同じように土地を取得して建物を建てても原価はかなり高くなっているため、以前のような価格では売れないという水準のものもたくさんある。それを厳選していって、需要に合わせていこうとすると必然的に供給戸数がある程度抑えられる」と述べ、地価の上昇や建設コストの値上がりに加え、不動産の開発事業者が供給量を絞る傾向にあることも要因だと指摘しました。

今後の不動産市場について
梅田社長は「先進諸国との比較でいうと資産価格が20年、30年ずっと変わらなかったのはむしろマイノリティーで、これからは健全なインフレーションと景況拡大が本当にサイクルに乗っていくのかがまさにポイントになる。ここ30年を振り返ってみたときにずっとデフレの環境が続いて物価も上がらない代わりに賃金も上がらず、資産価値も大きく上がらなかった。特に今注目されている賃上げの定着を含めて複数年にわたって軌道に乗っていくかが1つ、大きな話になる」と述べました。

不動産市場では、日銀の金利操作の見直しを背景とした長期金利の上昇を受けて、住宅ローンの固定金利が上昇傾向となっていて、不動産価格とともに金利動向への関心も高まっています。