香港民主活動家の周庭氏「香港には戻らない」現在はカナダ滞在

日本でも知られている香港の民主活動家の女性がおよそ2年ぶりにSNSに投稿し、現在はカナダに滞在していて、香港には戻らないと決めたと明らかにしました。

香港の民主活動家、周庭氏は、9年前の「雨傘運動」と呼ばれる抗議活動の中心メンバーの1人で、SNSを通じて流ちょうな日本語で発信するなどその活動は日本でも知られていました。

周氏は3年前、抗議活動に関連して実刑判決を受けて刑務所に収容されました。

出所したあとも定期的に警察に出頭するよう求められたということです。

周氏は3日、およそ2年ぶりにSNSのインスタグラムに投稿し、ことし9月に香港を出て現在、カナダのトロントに滞在していることを明らかにしました。

そのうえで「当初は12月に香港に戻り、警察に行く予定だったが、香港の情勢や自分自身の身の安全、心身の健康状態などを考慮した結果、香港には戻らないと決めた。おそらく一生戻ることはないだろう」と述べています。

香港の警察は4日朝「公然と法律に反する無責任な行為を厳しく非難する」とするコメントを出したうえで周氏に対して香港にもどるよう呼びかけました。

中国報道官「いかなる違法犯罪行為も必ず法によって処罰」

周庭氏について、中国外務省の汪文斌報道官は4日の記者会見で「香港の警察が、公然と法に挑戦する無責任な行為だと強く非難した」としたうえで「いかなる人にも法がおよばない特権はなく、いかなる違法な犯罪行為も必ず法によって処罰されることを強調したい」と述べました。

中国メディア「香港の警察は出国を制限していた」

中国共産党系のメディア「環球時報」は周庭氏をめぐり、香港メディアを引用する形で「逃亡した」などと伝えました。

また「香港の警察は香港国家安全維持法の第43条第2項に基づき出国を制限していた」としています。

香港国家安全維持法の第43条第2項では「国家の安全を脅かす犯罪を犯した疑いのある者に対し、渡航書類の提出を要求するか、出国を制限する」と規定されています。

周氏について香港の警察は、外国の勢力と結託して国家の安全に危害を加えたなどとして香港国家安全維持法に違反した疑いで捜査を続けていて、香港の警察はこの法律に違反したとしているとみられます。

香港の警察は、これまでにも海外に逃れた民主活動家らを香港国家安全維持法に違反したとして指名手配し圧力を強めていて、環球時報はインターネット上に投稿されたとする「反中国で、香港を乱す分子だ」とか「指名手配すべきだ」といった声も取り上げています。