オスプレイ墜落 残骸を米側に引き渡し 米軍は空母派遣し捜索

アメリカ軍の輸送機「オスプレイ」が鹿児島県の屋久島沖に墜落した事故は発生から4日がたち、行方がわからなくなっている乗員7人の捜索が続いています。一方、地元の漁業者などが回収した機体の一部とみられる残骸などは3日アメリカ側に引き渡されました。

先月29日、アメリカ空軍の輸送機「オスプレイ」が屋久島沖に墜落し乗員1人が死亡した事故では、乗員8人のうち残る7人の行方が分かっておらず、3日で発生から4日となる中、海上保安庁や自衛隊などが捜索を続けています。

また、アメリカ空軍は捜索活動に当たるため原子力空母「カール・ビンソン」を派遣していることを明らかにしました。

一方、屋久島沖で地元の漁業者などが回収した機体の一部とみられる複数の残骸は、屋久島町が所有する倉庫に保管されていましたが、3日、アメリカ軍の関係者が倉庫を訪れ、こん包した残骸をトラックに載せていました。

そして、屋久島空港に運び込んだあとアメリカ軍の輸送機に積み込まれ、アメリカ側に引き渡されました。

一方、屋久島沖では3日オスプレイ2機が上空を旋回する様子が見られ、九州防衛局によりますと、2日に続いて沖縄県の普天間基地所属の海兵隊のオスプレイが捜索活動を行っているということです。

オスプレイの飛行をめぐって鹿児島県の塩田知事は安全に万全を期すとともに、県民に事故のリスクが及ばないよう、九州防衛局を通じてアメリカ軍に要請しています。

駐日米大使「原因究明など透明性持って共有」

今回の事故についてアメリカのエマニュエル駐日大使は、訪問先の長崎県対馬市で報道各社の取材に応じました。

まず、亡くなった男性の身元が明らかになったことについて「彼はアメリカの安全保障や理想のために働いていてまだ小さな子どもがいる。前途有望な若い力をなくしたのは悲しい」と述べました。

また、今回の事故について「いまだに解明されていないことが多くある。原因究明と再発防止について、日本側と透明性を持って共有していく」と述べました。

一方で、日本側が安全が確認されるまでオスプレイの飛行停止を求めているにもかかわらず現場周辺では飛行が続いていることについて「隊員が使う機体はこれまでも現在も安全が確認されてから使われている。私も大使としてオスプレイで飛行したことがあるので、安全が確認されてから使用されていることはわかっている」と述べ、安全性を強調しました。

米軍のオスプレイ2機が奄美空港に着陸

奄美空港には3日午前9時半ごろ、オスプレイ2機が相次いで着陸しました。着陸したあと乗っていたアメリカ軍の関係者は、機体から出て空港の建物に入っていきました。また、機体のプロペラの下の部分を確認する様子も見られました。

九州防衛局によりますと、沖縄県普天間基地のアメリカ海兵隊のオスプレイが屋久島沖での墜落事故の捜索のため着陸したということです。

奄美空港には2日から屋久島での捜索などに向かうオスプレイの飛来が相次いでいて九州防衛局によりますと、今回の飛来で5機目だということです。

2機のオスプレイは、着陸から1時間20分ほどたった午前10時50分ごろ相次いで離陸し東の方に向かいました。

屋久島漁協“米軍から謝罪受けた”

屋久島漁協の羽生隆行代表理事組合長は3日午前9時すぎから1時間以上にわたり、現地の対策本部でアメリカ軍の関係者と会談しました。

会談のあと、羽生組合長は記者団に対し「アメリカ軍から謝罪を受けた」と述べました。

同席した出席者によりますと、会談ではアメリカ軍側からこれまでの漁協による捜索活動に対して謝意が伝えられたということです。