COP28首脳級会合終わる 再生エネ発電容量3倍へ110か国以上誓約

UAE=アラブ首長国連邦で開かれている気候変動対策を話し合う国連の会議、COP28は2日、首脳級会合が終わりました。2030年までに世界全体の再生可能エネルギーの発電容量を3倍に引き上げることに110か国以上が誓約する一方で化石燃料の利用をどう減らしていくかについては、今後、交渉が本格化することになります。

UAEのドバイで開かれているCOP28は、2日間にわたった首脳級会合が終わり、およそ140の国と地域の首脳らが演説を行ったほか、各国の首脳級が参加して温室効果ガスの排出削減を今後、どう進めていくかも議論しました。

首脳級会合で議長国のUAEは、2030年までに世界全体の再生可能エネルギーの発電容量を3倍に引き上げ、エネルギー効率を2倍にするという誓約に110か国以上が合意したと発表しました。

UAEのCOP28の特使を務めるスワイディ氏は、記者会見で、開幕初日に、気候変動による「損失と損害」の基金のルールで合意したことなどに触れた上で「すでに多くを達成したがまだ始まりにすぎない」と強調しました。

一方で、排出削減をめぐる議論では、ヨーロッパや島しょ国の首脳らから対策がとられていない化石燃料の利用を段階的に廃止すべきだという発言が相次ぎましたが、具体的な成果は出ていません。

化石燃料の利用をどう減らしていくかについては、各国の間で温度差もあり、今後、交渉が本格化することになります。

米 気候変動問題担当特使 「脱石炭連盟」への参加表明

アメリカのバイデン政権で気候変動問題を担当するケリー特使は、2日、SNSでアメリカが「脱石炭連盟」に参加すると明らかにしました。

アメリカは、排出削減対策がとられていない石炭火力発電所について、新規の建設を行わないほか、既存のものについても段階的に廃止することになりました。

ケリー特使は「世界中のパートナーと協力して対策がとられていない石炭火力を段階的に廃止する。気温の上昇を1.5度に抑えるため、絶対に欠かせないステップだ」と強調しました。

「脱石炭連盟」は、石炭火力発電からの脱却を目指そうと2017年に各国政府や企業などが立ち上げた国際的なグループです。

ホームページによりますと、これまでに57の国や51の自治体などが参加していて、各国政府は排出削減対策がとられていない石炭火力発電所の廃止時期を表明しています。

アメリカの参加によって、G7=主要7か国の中で参加していない国は日本だけとなりました。

日本政府は、排出削減対策の講じられていない石炭火力発電所の新規建設は行わない方針を示していますが、稼働中の発電所の廃止時期については明らかにしていません。

これについて日本の環境NGOからは、「石炭火力発電の廃止を明言しない日本の取り組みの遅れがあらわになった」などとの声が上がっています。