墜落事故から3日 乗員7人捜索続く 現場周辺にオスプレイ不安も

アメリカ軍の輸送機オスプレイが鹿児島県の屋久島沖に墜落した事故は、2日で発生から3日となりましたが、行方不明となっている7人の乗員の手がかりは得られず、捜索活動が続いています。一方、アメリカ軍は救難活動などのためとして、海兵隊のオスプレイを現場周辺で飛行させ、地元の住民からは不安の声が聞かれました。

先月29日、アメリカ空軍の輸送機、オスプレイが屋久島沖に墜落し1人が死亡した事故では、乗員8人のうち残る7人の行方が分かっていません。

第10管区海上保安本部は、音波で海底を探知する装置で機体の一部の可能性がある反応が確認された屋久島空港の沖合の2か所で、2日も特殊救難隊による潜水での捜索を行いました。

また、大型の無人機「シーガーディアン」などによる上空からの捜索も行われましたが、7人の乗員の手がかりは得られておらず、事故の発生から3日となる中、捜索活動が続いています。

一方、奄美空港には午前9時前に沖縄県の普天間基地に所属するオスプレイ2機が着陸し、給油などを行ったあと空港を離れました。

九州防衛局によりますと、アメリカ側から屋久島沖で活動を行うと伝えられているということですが、陸上からその様子は確認できませんでした。

今回の墜落事故を受けて
▽鹿児島県は原因が究明され再発防止策が講じられるまで、オスプレイの飛行停止を求めているほか
▽沖縄県も沖縄防衛局などに対し、捜索・救助活動であってもオスプレイ以外の機体を使用し、飛行を停止するよう申し入れていました。

屋久島の住民からは、墜落直後のオスプレイの飛行に対して不安や不満の声が聞かれました。

2日の飛来を受けて鹿児島県の塩田知事は安全に万全を期すとともに、県民に事故のリスクが及ばないよう、陸上では飛行しないことをアメリカ軍に要請するよう九州防衛局に申し入れました。

大きな残骸 引き揚げ

鹿児島県屋久島町の安房港では、2日午前8時すぎ、墜落したオスプレイの機体の一部とみられる大きな残骸が引き揚げられていました。残骸は数メートルあり、全体が灰色で窓のような穴が空いていて、激しく壊れていました。

現場ではアメリカ軍とみられる関係者が見守っていて、作業員がフォークリフトでトラックの荷台に運び込んでいました。

屋久島町の住民から不安や不満

アメリカ海兵隊のオスプレイによる捜索救助活動について、屋久島町の住民からは不安や不満の声が聞かれました。

安房港で子どもと釣りをしていた父親は「墜落したばかりで、また同じことが起きるのではないかと不安になります」と話していました。

また、港にいた漁業者は「非常事態だからしかたないと思うが、自分たちの漁場で仕事ができなくなっているので困っています」と話していました。

安房地区の75歳の男性は「事故を起こして原因もはっきりしないのに、オスプレイが飛び回るのはちょっとおかしいと思う。日本もアメリカに対して弱気でもう少し強く言わないと国民は安心できない」と話していました。

一湊地区の37歳の男性は「国内で初めての死者も出た事故でこれ以上、飛ばさないでほしい。せめて安全性を確認してから飛ばしてほしい」と話していました。

鹿児島県知事 “市街地で飛行しないよう求めた”

鹿児島県の塩田知事はコメントを出し、「今回のオスプレイの使用目的については、九州防衛局からは救難活動に必要最小限のものと理解しているとの説明があり、県としては適正な使用届が提出された場合、法令上受理せざるを得ず、民間航空機の使用に支障がないことなども確認した上で使用届を受理した」と説明しています。

その上で、九州防衛局に対し、安全に万全を期すとともに県民に事故のリスクが及ばないよう、陸上、特に市街地では飛行しないことをアメリカ軍に要請するよう求めたとしています。