作家で詩人の三木卓さん死去 88歳「鶸」で芥川賞

小説から児童文学まで幅広い分野で作品を書き続けた、芥川賞作家で詩人の三木卓さんが先月、老衰のため亡くなりました。88歳でした。

三木卓さんは東京出身で、旧満州で過ごしたあと引き揚げを経験し、大学卒業後、東京の出版社に就職してロシア文学の翻訳を手がけるかたわら、詩や小説の執筆を始めました。

1973年には、少年時代の体験をもとに描いた小説集『砲撃のあとで』の中の短編「鶸」で芥川賞を受賞し、それ以降、本格的に作家としての道を歩み始めた三木さんは、生々しい人物描写を特徴とした作品を次々と発表して多くの文学賞を受賞しました。

また、詩や小説のほかにも、児童文学や絵本など幅広い分野で作品を書き続け、アメリカやロシアなど海外の児童文学の作品の翻訳も手がけてきました。

芸術の分野で優れた業績が評価され、2007年の日本芸術院の恩賜賞を受賞したほか、幅広い分野にわたる長年の功績から2011年には旭日中綬章を受章しています。

出版関係者によりますと、三木さんは最近まで執筆活動を続けていたということですが、先月18日、老衰のため神奈川県鎌倉市の自宅で亡くなりました。

88歳でした。