前原氏 新党結成を表明 与野党各党は影響見極め

国民民主党の前原代表代行は非自民・非共産の野党勢力の結集を目指し、新党を結成することを表明しました。今後、日本維新の会を中心に連携を模索するものとみられ、与野党各党は影響を見極めることにしています。

11月30日、国民民主党に離党届を提出した前原代表代行は自身も含め、5人で新党「教育無償化を実現する会」を結成することを表明し、「政策本位で非自民・非共産の野党結集を進めたい」と述べました。

新党は教育の無償化や奨学金の返済免除などを掲げていて、同じく教育の無償化を訴えている日本維新の会の馬場代表は「しっかりスクラムを組んでいきたい」と連携に前向きな姿勢を示しました。

前原氏らとしては今後、維新の会を中心に連携を模索するものとみられます。

一方、国民民主党の榛葉幹事長は「政党交付金目当てか分からないが、国民・有権者はうんざりではないか」と前原氏らを批判しました。

党内では、「所属議員が減るダメージは少なくないが、玉木代表との路線対立はかねてから表面化しており、想定の範囲内だ」という受け止めが出ています。

また、ほかの与野党各党からは「大規模な野党勢力の再編にはつながらない」という指摘に加え、国民民主党が岸田政権との協調をさらに強めるのではないかという見方が出ており、各党は影響を見極めることにしています。

前原誠司氏の経歴は

前原誠司氏は衆議院京都2区選出の当選10回で、61歳。

松下政経塾出身で、京都府議会議員を経て、平成5年の衆議院選挙に当時の日本新党から立候補して初当選しました。

その後、民主党政権では外務大臣や国土交通大臣などを歴任したあと、民進党の代表に就任し、希望の党に合流する方針を決めました。

そして、国民民主党ではことし9月の代表選挙で、非自民・非共産の枠組みで野党結集を進める必要性を訴えましたが、玉木代表に敗れました。

国民 榛葉幹事長「裏切りだ」

国民民主党は前原代表代行が離党する意向を固めたことを受け、11月30日午後1時からおよそ30分間、国会内で緊急の執行役員会を開き、対応を協議しました。

そして、今後の対応について、玉木代表と榛葉幹事長に一任することを確認しました。

その後、榛葉幹事長は記者会見し、「政党交付金目当てか分からないが、年の暮れに新党をつくろうとする行動は国民・有権者はうんざりではないか。新党の綱領や政策はほとんど国民民主党のパクりだ。極めて残念で、筋が通らず、裏切りだ」と批判しました。

その上で、「仲間や支援者をだます政治家を国民が信頼するとはとても思えない。そもそも比例代表で当選した人は議員辞職すべきだ。われわれは政策実現のためにしっかりとスクラムを組み、確実に党勢拡大していく」と述べました。

また、前原氏らの離党届を受理するかどうかについては「中身を確認してからだ」と述べるとともに、除籍も含め、選択肢になり得るという認識を示しました。

自民 森山総務会長「今後もいろいろな動きが続く」

岸田総理大臣は11月30日午前、自民党本部で麻生副総裁、茂木幹事長、森山総務会長、萩生田政務調査会長、小渕選挙対策委員長の党執行部のメンバー5人とおよそ30分間、会談しました。

出席者によりますと、国民民主党の前原代表代行が離党する意向を固め、新党の結成を検討していることが話題になり、今後の政治情勢への影響などについて意見を交わしたということです。

また、自民党の森山総務会長は派閥の会合で、「今後もいろいろな動きが続くと思うが、今は自民党と岸田政権にとって極めて大事なときだ。一致団結して政権を支え、自民党の将来を間違いのない方向に持っていくことがいちばん大事だ」と述べました。

立民泉代表「野党議席 最大化を」

立憲民主党の泉代表は記者団に対し「支持率が下がっている岸田政権を補完する国民民主党の動きに耐えられなかった気持ちは分からなくもない。前原氏はおかしなことには『おかしい』と声を上げなければならないという思いを持っているのではないか。なぜ行動に出たのかを受け止め自民党に代わる勢力をつくり野党議席を最大化することが大事だ」と述べました。

一方で、新党との連携については「まだどんな政党なのか聞いていないので、やり取りは始まっていない」と述べるにとどめました。

維新 馬場代表「『教育無償化を実現する会』と協調」

日本維新の会の馬場代表は記者会見で、「いろいろな場面で前原氏とつきあいがあるので、いつとは言えないが、新党を考えていることは事前に聞いていた。前原氏は議員経験が長く、豊富な経験を持っていて、政策面ではずいぶん勉強している」と述べました。

また、馬場氏は「前原氏が結成する運びの『教育無償化を実現する会』と来年2月の京都市長選挙で協調していくと思う。われわれは是々非々で各政党とつきあうことを基本原則で政治活動をしているので、前原氏の新党とも協調できる部分は積極的に協調していく」と述べました。

共産 志位委員長「新しいもの生まれない」

共産党の志位委員長は記者会見で「国民民主党と日本維新の会は今回の補正予算に賛成し、憲法改定や原発推進の旗振りをしていて、自民・公明両党と同じだ。野党ではないので、野党が分裂しているという話ではない。『悪政4党連合』の中での離合集散にすぎず、新党結成で新しいものが生まれてくるようなことはない」と述べました。