静岡 3年前のヘリ墜落事故 ブレード異常で操縦不能に陥ったか

3年前、静岡県島田市の山林にヘリコプターが墜落して機長の男性が死亡した事故で、国の運輸安全委員会は強い下降気流に遭ったことをきっかけに、メインローターブレードに異常が起きて操縦不能に陥り、墜落したとみられるとする調査報告書をまとめました。

2020年12月、静岡県島田市の山岳地域の山林で、三重県津市から横浜市に向けて飛行していたヘリコプターが墜落し、機長の46歳の男性が死亡しました。

この事故について国の運輸安全委員会は回収した機体や気象の解析、それに目撃情報について調べを進め、30日、事故原因などをまとめた調査報告書を公表しました。

それによりますと、事故機は当時、強い下降気流に遭い、その後も飛行速度を維持したことで一時的に、機体にかかる重力が低い状態になったとみられるということです。

この際、機体後部の左側に設置されたテールローターの影響で機体が右に傾き、さらに姿勢を戻そうとした結果、メインローターブレードが機体に対して大幅に傾く「マスト・バンピング」という現象が起きたとみられるということです。

そして、ブレードに異常が起きて操縦不能に陥り、墜落したとみられると結論づけています。

また、この機種では下降気流に遭った際には速度を下げることがマニュアルに記載されているものの、目的地に夜間の施設がなく、日没までの着陸に余裕がなかったことで減速する判断をちゅうちょした可能性があるとしています。

運輸安全委員会は再発防止策として、
▽山岳地域など、乱気流が発生しやすい場所では適切な速度や高度で飛行すること、
▽出発前に必要な気象情報を入手し、運航の妨げになる状況が予想される場合は出発を取りやめることなどを挙げています。