国産の新型コロナワクチン 実際の接種で初使用へ 厚労省

製薬大手の「第一三共」が開発した新型コロナウイルスワクチンについて、厚生労働省の専門家部会は、使用することを了承しました。厚生労働省の正式な承認を経て、早ければ来月上旬から自治体に配送され、国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

使用が了承されたのは、製薬大手の「第一三共」が開発した、新型コロナウイルスのオミクロン株の派生型「XBB」系統に対応するワクチンで、ことし9月、厚生労働省に承認申請が行われました。

27日に開かれた厚生労働省の専門家部会では、有効性が確認でき、安全性にも重大な懸念はないとして使用を認めることを了承しました。

厚生労働省によりますと、国内の新型コロナウイルスのワクチン接種は、これまで海外の製薬メーカーのものが使われ、国産のワクチンとしては、ことし8月に、「第一三共」が開発した従来株のワクチンが承認されましたが、実際の接種では使われていませんでした。

今回の「XBB」系統対応ワクチンについて、厚生労働省は製造・販売を承認したあとに140万回分を購入することでメーカーと合意したと、先日発表しています。

承認後、早ければ来月上旬から自治体に配送されるということで、国産のワクチンが初めて実際の接種で使えるようになります。

第一三共のmRNAワクチン ほかとの違いは

第一三共の新型コロナウイルスワクチンは、国内の製薬会社が開発したものとしては、初めてのmRNAワクチンです。

mRNAはたんぱく質の「設計図」にあたる遺伝情報で、ワクチンを体内に投与すると、体内で新型コロナウイルスが感染するときの足がかりとなるスパイクたんぱく質が作られ、これに対する免疫の働きで抗体が作られます。

ファイザーやモデルナが開発したmRNAワクチンは、ウイルスのスパイクたんぱく質全体が作られますが、第一三共のワクチンは、スパイクたんぱく質の中でも、ヒトの細胞と結合するRBD=受容体結合ドメインという部分だけが作られるため、設計図となるmRNAの長さがより短くなっています。

第一三共によりますと、mRNAの長さが短いため、製造工程で品質を管理しやすいほか、変異ウイルスに対応してmRNAを作り直す作業が進めやすいといった利点があるということです。